現役トップセールスの営業術
大手外資系生命保険会社へ入社後の初年度から、20年連続(2018年実績を含む)で保険業界の最高水準として世界中で認知されているMDRT基準を達成し、現在は自ら設立した保険代理店でトップセールスとして活躍している黒木勉氏。若い頃、父親が亡くなった際に保険に助けられた経験から、保険の重要性を伝えてきた。全世界の保険営業で頂点を極めた者のみに与えられる称号「TOT(Top of the Table)終身会員」でもある黒木氏に聞いた。第3回目は、クロージングまでの時間を最小に圧縮できる初回訪問の方法と、受注確度を上げる「保障発生タイミングの考え方」について。(編集構成:ZUU online 編集部 菅野陽平)※本インタビューは2018年12月27日に実施されました


まずは信頼を得るため容姿を整え自己キャラクターを分析
――テレアポや飛び込み営業でアポが取れたあとに取るべき最初のアクションは何でしょうか。
もしかすると、保険へのマイナスイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。それを払拭するためにまずはお客様との関係性を深めて信頼を得る、というマインドセットが重要です。また保険商品の特質上、のちのちお客様の資産状況をお聞きするのにも、信頼に足る人物である必要があります。
そのためには言わずもがなですが大前提として礼儀・礼節をわきまえること。次いで、提案したい商品や競合になりそうな商品を知り尽くすこと。そしてお客様である社長のお仕事や会社について可能な限り調べ尽くすことも基本です。
――外見についてはいかがでしょうか。
最低限、見た目には気を配りましょう。やはり人間、第一印象は大事です。そんなことは当たり前だと思うかもしれませんが、うまくいっていない人の中にはこのことに無自覚である方が多いものです。アポは取れるのに成約率がなぜか悪い、と思う方は一度ご自身の身なりについて見直すなり周囲に相談してみるのがいいかもしれません。
この初歩的で最も簡単なことは、頭に入れておいて損はありません。高いものを身につける必要は全くないのですから。私もつい最近までは量販店で買える2〜3万円のスーツを着ていました。あとは相手が不快に思わない程度にクリーニングに出すなど身ぎれいにしていれば十分です。私自身、気負いすぎない程度の格好でもTOT終身会員になれましたから。笑
――富裕層相手でも、高級なスーツでなくとも良いと。
もちろん富裕層相手に営業する場合は、高級なスーツやブランド品を身につける手段を取ることも悪くないと思います。しかし一般的な企業や個人のお客様では、それがプラスに働くことは特にないと思います。
それよりも、お客様に合わせた格好をするほうが重要です。特別に着飾る必要はないのです。
もう1つ事前準備として必要なのは、自分のキャラクターを知るということです。これは自分で自分をどう評価しているかではなく、相手からどう見えているかということ。たとえば私の場合は童顔なので、若い頃は頼りなく、実年齢よりも年下に見られることが多くありました。そのため実際は堅実な性格ですが、できるだけ明るくて若々しく見える工夫をしていました。そのほうが社長から可愛がっていただけたのです。
それは決して演じるわけではありません。相手にいい印象を与えるキャラクターを持つことが営業する際の武器になるからです。そのためには、自分がどのように見られているのか周囲に聞いてみるのもいいでしょう。私は童顔で頼りなく見られる点を知識武装することで補いました。裏を返せば親しみやすさでもあったので、その点は相手の懐へ飛び込む武器にしていました。だからこそ、誰かの真似をするのではなく、自分のキャラクターを自覚することが大事だと思います。
提案からクロージングまでの時間を最小に圧縮する初回訪問のコツ
――初めて訪問する際に工夫すべきテクニックはありますか。