日本の総人口・生産年齢人口が減少し、賃貸住宅の空室率上昇が懸念されていますが、外国人入居者は増加傾向にあります。日本を訪れる外国人の状況はどのようになっているのでしょうか。外国人を入居者として受け入れる際の注意点について考えてみます。

2019年4月に入管法改正、20年に東京五輪、25年に大阪万博

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(画像=fizkes / Shutterstock.com)

2019年4月、外国人労働者の受け入れを拡大する「改正入管法」が施行されます。深刻化する人手不足解消のため、一定の専門性や技能を持つ外国人に対して新たな在留資格を与えるというものです。これにより、単純労働を含む分野でも外国人労働者の受け入れが始まります。

政府は今後5年間で、介護業6万人、外食業5万3,000人、建設業4万人など14業種で最大34万人の外国人受け入れを想定しています。

一方で、インバウンド(訪日外国人旅行者)も増加しています。2018年の訪日外客数は、前年比8.7%増の3,119万人となり、過去最高を記録しました。政府は2020年までに、訪日外国人旅行者を4,000万人とすることを目指しています。2020年東京五輪、2025年大阪万博などの国際的イベントの開催ともあいまって、インバウンド市場の活況はしばらく続くでしょう。

インバウンドの増加によって宿泊施設の不足が問題となり、既存のビルをホテルに転用するケース、賃貸住宅の空室を民泊にして貸し出すケースも増えています。また、日本に観光で訪れた旅行客が、日本に魅力を感じ、そのまま日本に定住する人も出てくるでしょう。外国人労働者の増加やインバウンドの活況は、賃貸市場にとってプラスの方向に作用すると考えられます。

総務省の統計によると、日本に住む外国人の総数は約250万人、世帯数は139万世帯に達し、その数はいずれも増加傾向にあります(総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 平成30年1月1日現在」より)。また、日本に住む外国人のほぼ半数の世帯が賃貸住宅に入居しています。

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出典:法務省「平成29年末現在における在留外国人数について(確定値)」

外国人に部屋を貸す時に心配なのは……

在留外国人が今後も増え続ける中で問題となるのは、住宅です。外国人向けの賃貸需要は増加しているにもかかわらず、実際の受け入れがスムーズに行われていない実情があります。その理由としては次の3点が挙げられます。

・入居までの言葉の壁(不動産会社や近隣住民とのコミュニケーション不足)
・礼金、更新料、保証人など賃貸住宅に関する慣行の違い
・生活習慣の違い(日本の生活ルールの理解度の低さ)

こうした理由によるトラブルを避けるために、外国人の受け入れに消極的な不動産会社や賃貸オーナーは多くいます。

外国人を入居者として受け入れるために

こうした問題がある一方で、人口減少により賃貸需要も下がっており、外国人入居者の受け入れは避けがたい課題となっています。外国人向け物件がまだまだ少ない中で、積極的に外国人を受け入れることができれば、他の物件と差別化を図ることができ、入居率の維持・向上につながります。

外国人を受け入れる際のポイントとしては、次の5点などが挙げられるでしょう。

・外国語対応可能な不動産会社に入居者募集を依頼する
・家具・家電付きにして短期滞在外国人にも対応する
・「礼金ゼロ」など、入居時の負担を軽減する
・外国人専用の家賃債務保証会社を利用してリスクを軽減する
・生活ルールについて入居時にしっかりと伝えておく

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会では、外国人向けの「部屋探しのガイドブック」「外国人住まい方ガイド(DVD)」を用意しています。各自治体でも、多言語のパンフレットや外国人専用の相談窓口を設置するケースが増えています。これらのツール・制度をうまく活用し、不動産会社にも相談しながら、外国人の受け入れを始めてみてはいかがでしょうか。(提供:オーナーズ倶楽部