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(画像=Jirapong Manustrong / Shutterstock.com)

預金者であるお父様が亡くなり、息子さん(長男)が遺言執行者として相続手続きに来店されました。公正証書遺言を持参されたのですが、どのような点に留意して手続きを行えばよいでしょうか。

相続が発生した場合の遺産分割の目安として、民法では、被相続人の遺産を取得する権利がある人(法定相続人)と、遺産を取得する割合(法定相続分)を定めています。

一方で、生前の被相続人が法定相続人に法定相続分どおりに遺産分割されることを望んでいないこともあります。例えば「特定の法定相続人に多く相続させたい」「相続人以外の人に遺贈したい」といった「遺思」がある場合、その遺思を遺産分割に反映させるために記すのが「遺言」です。

遺言は、紙に書けば何でもよいというものではなく、民法に定める方式に従わなければなりません。前回解説した自筆証書遺言のほか、公正証書遺言が一般的に利用されている方式です。

公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです。証人2人の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に伝えて公証人が筆記し、それに遺言者、証人および公証人が自署押印することにより作成します。この自署押印したものが原本となります。

原本は公証役場に保管され、遺言者は正本、謄本を1部ずつ受け取ります。遺言者本人が保有することになりますが、仮に紛失した場合には公証役場にて再発行できるためより安全に遺言の執行ができる点はメリットといえます。

他方、デメリットは作成に一定の費用がかかること、内容を公証人と2人の証人に知られることなどが挙げられます。

また、公正証書遺言は、自筆証書遺言による相続手続きの際に必要な検認が不要です。自筆証書遺言は、遺言者本人がその責任において作成するものであり、遺言の様式を満たしているかどうか家庭裁判所の検認を受けなければなりません。それに対し、公正証書遺言は、法律上適法かどうかをチェックしたうえで、遺言者本人の意思に基づいた内容であることを公証人が公的に証明しています。法律上の信頼性が担保されていることから、家庭裁判所の検認は不要とされているのです。

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