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破産管財人である弁護士が来店し「破産者名義の預金口座を解約したい」と言ってきた…
ケースの手続きを考える前に、破産手続きや破産管財人について確認しましょう。
破産手続きとは、多額の債務を抱える者が自身の収入・財産で債務を弁済することができなくなった場合、自己の財産すべてを金銭に換えて(換価)、すべての債権者にその債権額に応じて金銭を支払い(配当)、債務の清算を行う手続きのことで、経済的に破綻してしまった生活の立て直しを図る手段として行われます。
債権者または債務者が、裁判所に対し破産手続開始の申立を行い(破産法18条1項)、裁判所の決定により破産手続きが開始されます(破産法15条1項)。
自己破産とは、債務者がこの申立を行うことをいいます。債務者本人でも行えますが、弁護士が申立代理人として行うことが多いでしょう。なお、破産手続きの申立を行うと、原則として、免責手続きの申立も行われたものとみなされます(破産法248条4項)。
自己破産の申立がなされると裁判所は、申立の際の提出書類を確認し、自己破産の申立に至った事情の聞き取りを行います。そして、債務者が自己の財産だけでは債務を弁済することができない状態にあると認められると、破産手続開始決定を行います。
破産手続開始決定に際し、債務者が破産手続きを進めるのに必要な費用・財産すら有していないと認められる場合、裁判所は破産手続開始決定と同時に破産手続きを終了させる決定を行います(破産法216条1項)。この決定は、破産手続開始決定と同時に行われることから、「同時廃止決定」と呼ばれます。同時廃止決定が行われると、換価や分配が行われることなく破産手続きは終了することになります。