後継者がいない、けれども、自分の事業をなくすのは惜しい。そんな時には、第三者への事業承継を考えてみましょう。第三者に事業を承継して会社を存続させることは、現在抱えている社員の生活を守ることにもつながります。ここでは、埼玉県における事業承継の現状やサポート制度について解説します。

経営者の高齢化と増加するM&A

おさらい,事業承継
(写真=fizkes/Shutterstock.com)

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことで、親族への承継、役員や従業員への承継、M&Aなどによる第三者への承継などがあります。これまで、特に中小企業においては、自身の事業を親族へ引き継ぐケースが多く、第三者へ継承される件数はそれほど多くありませんでした。

ところが近年では、M&Aを含め、親族ではなく、まったくの第三者に承継するケースが急増しています。中小企業庁が公表している2018年度版「中小企業白書」を見ると、2017年の国内企業のM&Aの件数は1997年の4倍にも増えています。

経営者の高齢化が進む中、遠くない将来に多くの経営者が、事業承継の課題と向き合うことになるでしょう。2017年度版「中小企業白書」では、経営者の引退時期は68~69歳ごろが一つの目安とされています。社員のためにも、スムーズに事業承継を行えるように、事前に準備を整えておきましょう。

事業承継における埼玉県内での取り組み・補助金

事業を自分の代で廃さずに継続していきたいのなら、事業承継に関する情報は今から収集しておきたいところです。埼玉県では、さいたま商工会議所にある「事業引継ぎ支援センター」で事業承継支援が行われています。後継者問題に悩んでいる経営者はこちらに相談してみてもよいでしょう。

また、中小企業庁とさいたま商工会議所が連携して、「埼玉県事業承継ネットワーク」を設置しています。事業承継に悩む中小企業や個人事業主と、金融機関、士業団体、中小企業団体中央会などを結ぶ支援を行っています。

事業承継の補助金について

事業承継を受ける側は、一定の要件を満たすことで事業承継補助金を受け取ることができます。事業承継補助金には、経営者交代タイプのⅠ型と、M&AタイプのⅡ型の2種類があります。これは事業承継後に新しい取り組みを行う企業を応援するための補助金です。

事業承継補助金は、事業承継にかかった経費の一部を補助金として受け取ることができます。対象となる経費は人件費、設備費、委託費、広報費、旅費、マーケティング調査費などです。

Ⅰ型の場合、親族内承継や外部人材招へいによる事業承継が対象となります。事業承継後、新商品を開発したり、新システムを導入したりした場合に、補助金が受け取れます。補助率は経営革新に要した費用の2分の1から3分の2以内で、その上限額は150~200万円です。また、事業転換となって、事業所の解体費や処分費が発生した場合には、さらに225~300万円が上乗せされます。

Ⅱ型の場合には、企業の合併、株式交換、株式譲渡、事業譲渡などを受けた企業が経営革新を行うことで補助金の対象となります。補助率は2分の1から3分の2以内で、上限額は450~600万円、事業転換とみなされる場合にはさらに450~600万円が受け取れます。

事業承継補助金の給付は、2019年も引き続き行われる予定ですが、補助金を受けるためには決められた期間内に申請を行う必要があります。事業を承継したい経営者、事業承継を受けて新規事業にチャレンジしたい人は、事業引継ぎ支援センターに相談してみましょう。

さまざまな制度を利用する際の留意点

事業引継ぎセンターや事業承継ネットワークを活用するときには、以下の点に気を付ける必要があります

事業引継ぎセンターを利用する場合

埼玉県における事業引継ぎセンターの2017年の実績は、相談件数331件に対し、相談回数は1,058回、成約件数は15件となっています。他のセンターとのマッチングも積極的に行い、PRにも余念がない埼玉県のセンターは、中小企業庁からも高い評価を得ています。しかし、引継ぎセンターを利用した事業承継の成約実績は、まだまだ少ない状況です。事業を譲渡したい経営者が引継ぎセンターを利用する際には、センター任せにするのではなく、自分でも積極的に動いていく必要がありそうです。

事業承継ネットワークを利用する場合

事業承継ネットワークは、事業承継を行うための準備をサポートする機関です。事業承継診断を行い、適切な支援機関を選定し、支援機関と事業承継を考えている人をつなぎます。直接的に事業承継を支援する団体ではないため、「長い時間をかけて事業承継の準備を念入りに行っておきたい」人向けといえるでしょう。今すぐに事業承継を考えたい人は、事業引継ぎセンターや金融機関に相談しましょう。

金融機関への相談

事業承継の支援は、金融機関でも行われています。日頃から金融機関に経営相談を行っている経営者は、取引のある金融機関などに相談したほうがスムーズに事業継承を行えるかもしれません。

事業の今だけでなく、未来を見据えた選択を

日本銀行が2018年に作成した資料「金融機関における事業承継支援」によると、埼玉県の後継者不在比率は全国平均よりもやや高くなっています。そう遠くない将来、埼玉県にある多くの中小企業が後継者問題に悩まされることになるかもしれません。事業の今を追うことも大切ですが、将来を見据え、早い段階から事業承継の準備を始めましょう。(提供:プレミアサロン

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