プルデンシャル生命保険で個人で業績日本一とチームで業績日本一のダブルの偉業かつTOTを達成した小林一光氏のマインドセットや習慣術、紹介を生むワザ、富裕層にアプローチする方法について聞いた。(編集構成:ZUU online 編集部 菅野陽平)※本インタビューは2018年11月26日に実施されました

生命保険業界「伝説の男」が教える 結果に差が出る富裕層マーケティング
(画像=ZUU online)
生命保険業界「伝説の男」が教える富裕層マーケティング
小林 一光(こばやし・いっこう)
株式会社アイタッグ代表取締役、ファウンダー。株式会社ジェイティービー(JTB)を経て、1994年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社。わずか5年で同社の営業職の最高位であるエグゼクティブライフプランナーに認定される。2002年に売上成績日本一、 2005年に営業マネージャーとしてチームを業績日本一に導く。2007年に支社長に就任。プルデンシャル生命の中で、個人、チームともに日本一を達成した唯一の人物であり、世界の保険営業で頂点を極めた者のみに与えられる称号「TOT(Top of the Table)」にも輝き「伝説の男」と呼ばれる。2009年独立。2010年株式会社アイ・タッグを設立、代表取締役に就任(現任)。著書に『世界最高位のトップセールスマンが教える 営業でいちばん大切なこと』(SBクリエイティブ)など。※画像をクリックするとAmazonへ飛びます

売り込むのではなく自分自身のファンになってもらうことがベース

――1回目はマインドセットのお話です。営業したり営業マンに伝えたりする際に、心構えとして最も重視していることはありますか?

私はトップと普通の営業を隔てている差は、考え方やマインドの違いでしかないと思っています。営業職を「モノを売る商売」だと思っている時点で、私の考え方とは違うんですね。当たり前ですが相手の立場に立たないと商品は売れない。もっと大きく言うと営業は「ファンづくり」だと思うんです。これが私のベースにあるマインドです。

いくらこちらが売り込もうと思っても売れるものではない。お客様からいかに選ばれるかどうかが勝負どころ。その視点の違いが最大の落とし穴で、どうしても多くの営業は自分を中心に考えてしまう。お客様からの契約が欲しいがために、どうしてもこの人に買ってもらいたいというスイッチが入ってしまう。

すると営業活動の名のもとに、結果的にお客様が嫌がることや迷惑な行為を平気で行ってしまうんです。それを日常の対人関係に置き換えて冷静に考えると、ありえないことをしていることが分かります。それなのに、営業目標や数字必達のマジックに惑わされると我を失ってしまう方が非常に多いのです。

自分中心になった結果、相手から拒否をされることが多くなってしまう。「売ってやろう」という感じがお客様に対して伝わった時点で心を閉ざされてしまいます。

私の場合は生命保険の営業に携わっていましたから、名刺を交換するだけでお客様たちは引いてしまうことが多い。世間一般の保険営業のイメージが頭に浮かんで「強引に売り込まれたくない」と思われてしまうわけです。生命保険の商品の話をする段階に辿り着く前に、心のシャッターを閉じられてしまう。

閉じられないようにするには、いかに相手との関係性を築いていけるかどうかがとても大事になります。いつも若手に伝えていることでもありますが、そこから先は自分の欲を抑えるという戦いになります。お客様にとってメリットにならないことであれば平気で提案を引っ込めることができるような営業じゃないと、長い目でみた場合に突き抜けた売上数字は残せません。

もちろん、このマインドがなくても数年のうちは結果が出せるかもしれません。しかし、突き抜けた営業数字を10年以上出し続けるとなると、それでは難しい。この視点の違いがもたらす結果の差は、一番初めに覚えていただきたいとても重要なことなのです。

「相手の立場に立ちましょう」とだけ言ってもピンと来ないと思うので、営業マンにはこんなたとえ話をします。「君たちは、好きな人にアプローチするときに、いきなり最初から自分のことを売り込むかい?」と。「俺はすごくいいところに住んでいて、金持ちだから付き合って」なんていきなり言ったら、相手は速攻で逃げますよね。

相手の立場で喜んでくれることを与え続けて初めて、相手はこちらに対して好意を持ってくれる可能性が出てくる。これと同じで、営業は「選ばれる」立場であるという考え方がとても大事です。それにも関わらずモノを売り込むことが仕事だと思って、ボタンを掛け違えたままキャリアを重ねてしまう。そのようなケースが圧倒的に多いんです。

両親や親友にも売れるかどうかを自問する

もっと極端に「何でもいいから売ってこい」という営業スタイルになると、ある意味「騙してでもいいから売れ」ということですよね。私は、本当に心から使命感や意義を見出だせない仕事は絶対に長続きしないと思います。

意義が見いだせるかどうかの判断基準の1つとして、こういうことを営業マンに言います。「その商品についてお父様やお母様、あるいは恋人や一番の親友に話しましたか?」と。「こんなのは話せない。売れない」となればもう仕事を辞めたほうがいい。

自分が心から本気でいいと思っている商品やサービスなら、まずは身近な人のところに行くべきだと私は考えているんです。営業の指導をするときは「一番大切な人から必ず話しに行きましょう」「なぜこの仕事をしているのか、その熱い想いだけを伝えてきなさい」と言っています。今の時代は特にその想いの部分がないと、お客様から選ばれる理由が1つ減ってしまいます。

もし商品そのものがずば抜けていれば売れるでしょうが、今の時代はあらゆる商品がコモディティ化していてどの商品も会社もあまり差がありません。たとえば証券営業の場合、株や証券なんて今ではどこから買っても同じなわけです。ではどこで差別化をするかというと、自社に対する誇りや自身の仕事に対する使命感が大事になってくるのです。

そうしたマインドを持てないようなら、職を変えたほうがいい。使命感を持っていないとまず売れません。「とにかく売り逃げして、稼ぐんだ」という考えは、特に地域へ根ざしてお得意様と商売をする日本では成立しづらい。だから信頼が重要だと思います。

結果はコントロールできない。できるのは見込み客の発見のみと割り切る

――日々の営業活動をする際に重要なマインドセットを、具体的に教えてください。

「見込み客の発見とアポイントに8割を注力する」ことです。