2019年2月15日、JR東日本は「羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きの実施ついて」を発表しました。その背景には、JR東日本の鉄道ネットワークを活用した、多方面から羽田空港へのダイレクトアクセスを実現する「羽田空港アクセス線構想」があります。

とくに今回の発表では、計画されている3本のルート「西山手ルート」「東山手ルート」「臨海部ルート」のうち「東山手ルート」約7.4 ㎞、および「アクセス新線」約5.0 ㎞について、手続きの準備を進めることが明らかになりました。羽田空港へのアクセスを飛躍的に改善する施策として、「新空港線(蒲蒲線)計画」とともに各方面から注目を集めています。

では、そもそも羽田空港アクセス線構想、および新空港線(蒲蒲線)計画とはどのようなものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

JR東日本の「羽田空港アクセス線構想」

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羽田空港アクセス線(仮称)ルート概要図(東日本旅客鉄道株式会社 2019年2月15日プレスリリースより)

2016年4月20日、交通政策審議会が「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」を答申しました。具体的には、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として、押上駅―新東京駅―泉岳寺駅を結ぶ「都心直結線の新設」構想や、後に述べる「新空港線の新設」構想(蒲蒲線)とともに、「羽田空港アクセス線の新設」構想が取り上げられたのです。

そうした経緯を経て、2018年7月3日、JR東日本が発表した「変革2027」にて「羽田空港アクセス線構想の推進」が盛り込まれました。JR東日本は当時、「羽田空港アクセス線については、具体的な事業スキームや費用負担のあり方などが定まっていないが、事業計画の深度化に向けた関係者との協議・調整を引き続き実施していく」と説明。水面下で進められていきました。

そして、2019年2月15日、JR東日本は「羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きの実施ついて」を発表。構想の具体化に向けて動き出している様子がうかがえます。

背景にある羽田空港の“再国際化”

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羽田空港のターミナルと滑走路(国土交通省航空局「羽田空港のこれから」より)

「羽田空港アクセス線構想」の背景には、羽田空港の“再国際化”があります。これまでの経緯をおさらいしておきましょう。

羽田空港(東京国際空港)では、2010年10月、4本目となるD滑走路が供用開始となり、国際線ターミナルが開業しました。そして2014年8月、国は、首都圏での国際線需要増加や東京の国際競争力の強化、2020年オリンピック・パラリンピック大会の円滑な実施を目的として、羽田空港の機能強化策を提案しています。

2017年度における羽田空港旅客ターミナル利用実績は、年間8,579万3,467人。前年比104.8%の増加です。国際空港評議会が発表した、2017年における旅客数(乗降客数)ベースの世界空港ランキングによると、世界1,202空港のうち羽田空港は第4位です。

現在、飛行経路の見直しなどにより2020年までに国際線を増便し、さらなる輸送人数の増強をめざしています。あわせて、現在の国際線旅客ターミナルビル(2020年3月に「第3旅客ターミナルビル」へ名称変更予定)を拡充するとともに、国内線で利用されている第2旅客ターミナルビルに税関等の国際線対応施設を整備するなど、国際線増便に対応するための拡張工事計画が進められています。

現状の羽田空港への交通網

羽田空港への交通網にもふれておきましょう。現状、羽田空港へのアクセスは、「京急空港線」「東京モノレール羽田空港線」「羽田空港直行バス」の3つがメインとなっています。

・京急空港線

京急蒲田駅と羽田空港国内線ターミナル駅を結ぶ路線です。品川駅から羽田空港国際線ターミナル駅までは最速12分です(2019年3月・Yahoo!路線情報調べ)。

・東京モノレール羽田空港線

モノレール浜松町駅と羽田空港第2ビル駅を結ぶ路線です。1964年の東京オリンピック開催を機に開通し、2002年にはJR東日本の子会社となりました。モノレール浜松町駅から羽田空港国際線ビル駅までは最速13分です(2019年3月・Yahoo!路線情報調べ)。

・羽田空港直行のバス

東京駅、新宿駅、渋谷駅、池袋駅などの主要ターミナルはもちろん、六本木や銀座など都心のホテル、さらには横浜、立川など首都圏の主要市街地からも、羽田空港への直行バスが運行されています。エリアや混雑状況により変動しますが、おおむね1時間程度でアクセス可能です。2014年10月からは深夜・早朝帯の発着便にあわせて「深夜・早朝アクセスバス」も運行しています。

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京浜急行バス「急行バス」

このように、現状では東京駅、新宿駅、渋谷駅、池袋駅など、ターミナル駅として乗降客数が多く拠点性の高いエリアから羽田空港にアクセスするには、品川駅や浜松町駅で乗り換えるか、直行バスを利用しなければならず、利便性の面で課題が残ります。

これに対して「羽田空港アクセス線」の東山手ルートが整備されると、東京駅から羽田空港まで鉄道で直通アクセスが可能となり、所要時間は約18分に短縮される見込みです。現状では乗り換えを含めて約28分かかるとされていますので、時間と労力が大幅に軽減され、絶大な利便性向上が期待できます。

新空港線(蒲蒲線)計画も実現に向けて進行中

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計画の全体像・段階整備案(大田区ホームページより)

「羽田空港アクセス線」とともに、羽田空港へのアクセス改善施策として期待される「新空港線(蒲蒲線)計画」も実現に向けて進行中です。大田区が主導するこの計画では、段階的な整備を経て、東急多摩川線と京急空港線を接続するとされています。

第一段階としては、矢口渡駅付近から東急多摩川線を地下化し、京急蒲田駅まで延伸したうえで、京急線への乗り換えを可能にします。その後、大鳥居駅の手前で京急空港線に乗り入れる部分を整備する方向で進められています。

大田区では、2019年度の予算案にて、整備主体の設立に向けて1.8億円の経費を計上。東急東横線や東京メトロ副都心線までの相互乗り入れが実現すれば、渋谷、新宿、池袋といったビッグタウンが直結されるだけでなく、城南エリアやJR京浜東北線沿線から羽田空港への利便性も向上します。

2020年以降、羽田空港が一つのキーポイントになる

2020年の東京オリンピック・パラリンピック以降、東京という世界都市が継続して発展するためには、羽田空港へのアクセスがカギとなります。その点から考えると、「羽田空港アクセス線構想」「新空港線(蒲蒲線)計画」は非常に重要なポイントと言えます。

現在の交通網に加えて、都心のターミナルから羽田空港へ直通アクセス可能な「羽田空港アクセス線」「新空港線(蒲蒲線)」が実現すれば、東京を含む首都圏の利便性はさらに高まると予想されます。今後の動向に期待しましょう。(提供:マンション経営online

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