みなさんもよくご存じのように、地方都市の多くでは例外的に好調な地域を除き、昼間でもシャッターを下ろしている店が目につきます。

少子高齢化に加え、東京・中京・近畿といった大都市圏への人口集中が地方に打撃を与えています。更に過疎地に目を向けると、コミュニティーを維持できないまでに人口が減少した限界集落が各地に点在します。

しかし何もこうした問題は地方だけの話ではないのです。

急速に進むスポンジ化

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(写真= stockcreations/Shutterstock.com)

今、東京郊外の住宅地で、「スポンジ化現象」が急速に進行しています。スポンジ化とは、エリア一帯に空き地や未利用地が点在し、スポンジのように低密度化を引き起こす現象です。

1都3県でも、空き家は増加しつづけています。1都3県の空き家率は、昭和63年の8.2%から11.3%に上昇しました。

それでも全国平均(16.4%)と比べればそれほど深刻ではないとも言えますが、エリア別にみると状況は変わってきます。ここで、狭義の空き家率(賃貸・売却用物件を除いた数値)を都心からの距離別に比較してみます。

30km圏(府中市・横浜市ほぼ全域・さいたま市等)までは、空き家率が2%台にとどまりますが、40㎞圏(町田市・相模原市・川越市・千葉市等)では3%を超え、60km圏(平塚市・鳩山町・東金市)では4%台、70㎞圏(小田原市・熊谷市・九十九里町)では6%台に達します。そして郊外部の方がより強く上昇傾向が表れています。

都市部と郊外部で人口推移に格差が

県別人口推移でみる限り、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)は少子高齢化に伴う自然減(出生数-死亡数)の一方で、全国からの人口流入が続き、平成12年以降一貫してプラス基調を維持、同時に全国平均を大きく上回っています。

一方で郊外部に目を移すと、人口増加の鈍化傾向(一部地域は減少)が強くなっています。

都心から京浜急行で1時間、米海軍基地でも有名な横須賀市は、湘南鷹取や馬堀海岸などが古くからのベッドタウンとして発展、昭和30年は28万人に過ぎなかった人口が平成2年には5割増の43万人にまで増加しました。

ところが、そこから人口は減少に転じます。海岸線が入り組む地形や山間部の多さ、バス便の少なさなどが災いし、若年層を中心に横浜市等への流出が続いているようです。

典型的なのが、谷戸と呼ばれる谷間エリアに作られた細い路地が入り組む住宅地です。こうした地域は高齢化が進み6軒に1軒が空き家という状況です。

人口増加が続く横浜市でも18行政区のうち実に9区で人口が減少、その中には高級住宅地としても名高い青葉区が含まれています。人口が増えているのは、横浜駅が位置する西区など利便性が高いエリアです。

港北4区(港北・緑・青葉・都築)は東京都に隣接することから人気が高く、高度経済成長期の頃から都会の若者が結婚するとこのエリアに住宅地を求めて流入してきました。ちなみに昭和30年代には12万人程度だった人口が、現在は100万人を超えています。

そうした若者たちの初期世代が、ちょうど相続の時期を迎えています。世の流れは都心回帰・利便性重視に代わり、バス便の戸建ては敬遠されがちです。

子供たちが住宅の管理を怠れば、それは空き家と化します。国土交通省の調査でも、空き家が生まれる原因の半分以上は相続によるもので、所有者の自宅から車等で1時間以上離れた物件も少なくありません。

人口は頭打ちな一方で、宅地開発は相変わらず続き、住宅総数は増えています。税収が欲しくて背に腹は代えられない自治体は人口増のため開発計画を認可しています。それが一層、空き家増加に拍車をかけます。

空き家問題が本格化するのはこれから

郊外の空き家問題は、団塊の世代が相続時期を迎える2030年前後により深刻な事態を迎えるとも予測されています。

空き家の増加は、景観の悪化・ゴミの投棄・害虫の発生といった直接的な影響だけでなく、地域イメージの悪化や活力の低下を招きかねません。

行政はコンパクトシティなど有効な対策を打ち出せるでしょうか、今後の動向に注目が集まります。(提供:WEALTH WINDOW

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