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(画像=Lee waranyu/Shutterstock.com)

葬儀は亡くなった人のために行うものであり、葬儀にかかる費用は、一見、被相続人の財産から支出してもよいように思われます。

法令では、葬儀費用の先取特権(他の債権者より先に債務者の弁済が受けられる権利)が認められていますし(民法306条)、相続税の計算においては葬儀にかかった一定の費用は相続財産から控除することが認められています(相続税法13条1項)。

しかし、葬儀費用の支払いを理由に遺産分割前の相続預金を払い戻すことが可能になるわけではありません。遺言等がない状況においては、相続預金は相続人が持分を準共有している状態です。そのため、相続預金の払戻しは、相続人全員の合意を得た状況の遺産分割で行われる必要があります。

遺産分割前なら、相続人が自分の財産から葬儀費用を支払うことが本来の取扱いです。ただし、相続人に十分な自己資金がないこともあります。

そこで、金融機関では、葬儀費用を支払うための相続預金の払戻依頼に対しては、遺言等がなければ相続人全員の同意を得て受け付けることがあります。この場合、相続人全員の同意は相続人全員の署名・実印の捺印がある同意書を受けて、全員の印鑑登録証明書と突き合わせることで確認します。

葬儀費用の請求書を提示してもらい確認する