年金の仕組みも複雑ですが、遺族年金はさらに複雑になります。これは、いろいろなケースが出てきて、その場合ごとに大きく変わるからです。不幸にして、自分が配偶者に先立たれた場合は、自分がどのケースに該当するかをよく検討しましょう。

また、このような仕組みを理解する時には、単に文面だけでなく、その背後にあるものの考え方も推測するとわかりやすくなると思います。

遺族年金
(画像=Getty Images)

年金の仕組み

公的年金の仕組みについて少し考えてみましょう。公的年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建てになっています。

このうち一階部分の老齢基礎年金は、国民年金に加入し60歳まで保険料を支払えば、65歳から支給されるものです。この老齢基礎年金の受け取り額は、最高で月6万円で、普通は5万円から6万円の間、年額で60-70万円で支給されます。

2階部分の老齢厚生年金は、60歳まで働いた会社の事業主と本人が折半して国に支払った厚生年金の保険料から支給されます。したがって、老齢厚生年金額は、人によってかなり違います。

また、厚生年金と共済年金は、2015年に厚生年金へ一元化されたので、両者とも同じものと考えてください。

遺族年金とは

遺族年金とは、基本的には年金生活に入った夫婦で夫に先立たれた主婦が年金で生活ができるように考えられたものです。遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

遺族年金の受け取る順は、まず本人の老齢基礎年金と本人の老齢厚生年金を受け取ります。その上に遺族年金の一部が加算されるような仕組みです。

専業主婦や結婚までしか会社で働かなかった主婦は、自分の老齢基礎年金は、満額近くもらっていても、老齢厚生年金は少なく、これだけでは生活が成り立ちません。このような時には、亡くなった夫の年金の一部を遺族年金として受け取り、生活が可能となります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは、国民年金に加入している人が死亡した時に、その配偶者または子どもに支給される年金のことを言います。

老齢年金のように、65歳以降からでないともらえない年金ではありません。子どもが18歳の年度末まで受け取ることができます。ただし、18歳未満の子どもがいない場合には、受給することができません。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、遺族基礎年金よりもずっと複雑です。支給対象者は、夫によって生計維持されていた妻と子供以外にも父母、孫、祖父母までとなり、支給優先順序はこの順になります。

注意しなければいけないのは、妻は30歳以上なら直ちに支給されますが、55歳未満の夫・父母・祖父母には受給権が発生しないこと、55歳以上であっても65歳になるまでは支給されません。また、子どものいない妻が30歳未満で夫を亡くした場合は、5年間だけ有期給付になりますが、これはまだ若いので自分で働いて生活費を稼ぎなさいとの意味でしょう。

遺族厚生年金は、遺族基礎年金と違って、18歳未満の子どもがいなくても受け取ることができます。18歳未満の子どもがいる場合には、遺族基礎年金の上に加算されます。給付額は、大雑把には死亡した人が受け取る予定だった老齢厚生年金の3/4程度と考えてください。細かい数字は、計算式で求めることができます。

中高齢寡婦加算

中高齢寡婦加算とは、妻が40歳以降で夫に先立たれて遺族となった時に、「遺族厚生年金」に加えて、40歳から65歳になる前まで支給される「有期年金」です。遺族厚生年金に加算されるものですので、大前提として、遺族厚生年金を受け取っていることが必要です。

また、寡婦とは、「夫と死別した後も再婚せずにいる女性」のことを言いますので、加算制度の対象は妻であり、「妻が死亡したときの夫」にはこの中高齢寡婦年金やそれに類する給付はありません。加算額は、60万円弱で、遺族基礎年金の代わりと考えるとわかりやすいです。65歳になると、妻は自分の老齢基礎年金を受け取ることができるようになるので、この加算は終了します。

全体的に見ると、30歳以上で40歳未満の時に夫を失った妻は、この加算が得られず少し不公平な気がしますが、40歳より若い妻は、まだ正社員として働ける可能性があり、中高齢寡婦加算程度の金額(60万円弱)は、自分で稼ぎなさいということなのでしょう。

経過的寡婦加算

寡婦となった妻が65歳になった時に中高齢寡婦加算の支給が終了し、妻自身の老齢基礎年金の支給に切り替わります。ただし、妻の生年月日によっては、この老齢基礎年金の支給額が少なくなってしまう場合があります。そうした際には、経過的寡婦加算を加えることで差額をカバーします。

つまり経過的寡婦加算は、年金額の低下による差が生じるのを防ぐことを目的に支給されるものです。経過的寡婦加算の支給対象となるには、以下の2つ条件が必要です。

  1. 寡婦となった妻の生年月日が1956年4月1日以前であること
  2. 中高齢寡婦加算の受給に必要な要件をすべて満たしていること

このどちらが欠けていても支給対象とはなりません。

最後に

長い間の社会の仕組みの変化や考え方の変化に伴って、遺族年金制度はその度に変更されてきています。そのため、いろいろなところに完全でないところがあり、疑問を感じることもあると思います。しかし、年齢が増すほど年金の占める重要性は増すばかりで、特に遺族年金ではその重さが大きくなります。

遺族年金は複雑ではありますが、良く調べたり、年金事務所に相談したりして、間違いなく受給するようにしましょう。(提供: The Motley Fool Japan


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