住宅ローンの繰上げ返済とは、毎月返済する額だけでなく、さらに多めに返済して少しでも多額の住宅ローンを軽くしようとする返済方法です。これには、全体の返済期間を短縮できる方式と毎月の返済額を減らせる方式の2種類があります。

どちらの方が有利かはそれぞれに置かれた経済状況が違うので簡単には言えませんが、一般的な話としては言えることはあると思います。まず、それぞれの返済方法について勉強しましょう。

住宅ローン
(画像=Getty Images)

住宅ローンの仕組み

まず繰上げ返済について考える前に、住宅ローンの仕組みについて少し考えておくことが大切です。多くの場合は、銀行が住宅ローンの表を作ってくれるので、その返済額に従って返済していることと思います。でも、その合計がどのようにして計算されたものかをざっと知っておくことは、全体を理解する上で重要です。

例えば、3000万円のローンで利息は年利1%、返済期間30年とすると月々の返済は10万円弱になります。1年目の元利合計は、3000万円+利息30万円、2年目の元利合計は、2880万円+利息28.8万円と30年間計算してその元利合計を30年で割ると月々の返済が約10万円弱となります。ここで重要なのは、月々返済する10万円弱の中で元金返済の部分はどのくらいかということです。

これは住宅ローン返済表をよく見てみれば一目瞭然です。この表には、毎月の返済額、元金返済部分、利息返済部分がきちんと出ています。それをよく見ると、初めのうちはほとんどの返済が利息の返済に充てられていて愕然とすると思います。返済しても返済しても減っていくのは利息部分だけということを知って、3000万円という借金の重さを実感してください。

このような中で、たとえ10万円でも元金を別に返すということがどれだけ凄いことなのか、繰上げ返済の効果を実感してもらえると思います。

繰上げ返済の方法

繰上返済とは、毎月の返済とは別に、借入額の一部を返済することを言います。繰上げ返済には「返済期間短縮タイプ」と「返済額軽減タイプ」2つのタイプがあります。それぞれに長所短所があり、それらについてよく吟味しておくことが大切です。

どちらの繰上げ返済を利用するにしろ、繰上げ返済は、返済開始から早い時期に行った方が支払うべき総利息の軽減幅は大きくなります。これは、住宅ローンの返済では、利息の比率が大きいからです。

返済期間短縮タイプ

「返済期間短縮タイプ」とは、月々の返済額の整数倍かボーナス払いの時の返済額の整数倍を支払い、返済期間を短縮する方法です。繰上げ返済で使われる場合が最も多いタイプです。ただ、いくら繰上げ返済をしても、毎月の返済額が減らないので、生活に余裕ができるわけではありません。

返済額軽減タイプ

「返済額軽減タイプ」とは、返済額に特に条件はなく元金を返済する方法で、そのため住宅ローン全体のうちの利息部分が減るので、月々の返済額が減ります。このため、生活に余裕ができますが、返済期間は変わらないままです。従って、返済期間が定年後まであるような場合でも、短縮することはありません。

「返済期間短縮タイプ」と「返済額軽減タイプ」どちらが有利か では、どちらの繰上げ返済を利用した方が有利なのでしょうか。これについては、いろいろなところで計算が示されているように、同じ金額を返す場合は、「返済期間短縮タイプ」の方が返済すべき総利息が少ないので有利です。

では、誰もが「返済期間短縮タイプ」を使うのでしょうか。経済は、理屈だけでは済まないものが多くあります。理屈と実際とが正反対になる場合も、経済の世界では多く、注意を必要とします。同じ金額を返す場合の計算は確かに正しいのですが、繰上げ返済はたった1度しかしないとは限りません。多くの場合、少し余裕ができれば、できるだけ繰上げ返済をして借金を減らしたいと思うのが普通です。

この点が非常に重要です。

「返済期間短縮タイプ」では、生活面で余裕ができないので、さらなる繰上げ返済はなかなかできません。これに対して、「返済額軽減タイプ」は毎月の返済額が減るので、さらなる繰上げ返済の可能性が非常に高くなります。さらなる繰上げ返済を「返済額軽減タイプ」を使ってすれば、毎月の返済額がまたまた減るので、さらにまた繰上げ返済が可能です。このように考えると、「返済額軽減タイプ」の方がかなり有利なことがわかります。

住宅ローンの返済は、単に利息の計算だけでは判断できません。多くの場合、銀行などでは、「返済期間短縮タイプ」を勧めます。また、繰上げ返済の手数料も「返済期間短縮タイプ」の方が安い場合が多いです。それでも総合的には、「返済額軽減タイプ」の方が優れていると思います。

また、別の観点から見れば、世の中はひと昔前よりずっと不安定になっています。これは、企業間の競争が激しくなり、終身雇用制は事実上崩壊しているからです。正社員であっても景気の動向によっては、いつボーナスや給料が減額されるかわからない、予想しにくい時代です。このような時代には、変化に対応できる借金の方法を選択しましょう。

もちろん借金をしないのが良いのですが、そのようにいかないこともあり、借金をするならなるべく低額、なるべく短期間、なるべく低金利でするのが良いでしょう。ただし、期間については複雑なので後で説明します。

変動の激しい世の中だから

変動の激しい世界では、借金することさえ危険です。できれば、住宅ローンなどは組まずに、賃貸住宅を利用して、生活にあった規模に適当に住宅を住み替えることが最良の方法だと思います。住宅ローンに支払うべきお金は、日経平均やTOPIXに連動するETFか株式で運用すれば、インフレにも対応できます。

しかし、実際に住宅ローンを借りて住宅を購入し返済を始めている人は、「返済額軽減タイプ」の繰上げ返済を繰り返しましょう。住宅ローンはできるだけ借りるなということと少し反する話ですが、住宅ローンは最も低金利な融資であることに注意しましょう。通常のローンというのは、現在では金利が6%程度のものが多く、1%以下の金利のローンは明らかに異常です。なぜなら、このローンを借りてお金を貸し出せば、5%の利息が得られるからです。

住宅ローンの金利は、明らかに経済原則から考えれば異常に低く、これは政府の指導もあるからでしょう。信じられなければ、アパートローンとか教育ローンとかの金利を調べてみてください。ローンは全て普通なら借入期間が短ければ低金利、長くなると高金利になるのが経済原則です。

これは、経済環境も年々変化し、長期になると貸し倒れの可能性が増すので、そのための保険料です。そのため、金利が1%以下で30年も借りられるローンは、借りる側からはたいへん有利なローンとなっています。したがって、「返済額軽減タイプ」の繰上げ返済で借入金の総額が十分に低くなったら、急いで返す必要が減ってきます。ゆっくり返して、定年間際で全額返還すれば良いのです。

繰り上げ返済のメリットとデメリット

「返済額軽減タイプ」の繰上げ返済を利用すれば、毎月の返済額が減るので、手持ちの金銭的な余裕がなくなるということはありません。また、定年後も払い続けなければならないというのも正しくありません。定年間際になる頃は金銭的にも余裕ができて、例えば100万円の住宅ローンが残っていても、全額一括返済はかなり容易です。「返済額軽減タイプ」の繰上げ返済には、ほとんどデメリットは考えられません。

最後に

経済というのは本当に難しく、普通に考えると正しいことが、実際には全く逆効果になるようなことは多くあります。他人の言うことを鵜呑みにせず、自分の努力と経験を頼りに、何が本当かを常に考えていきましょう。(提供: The Motley Fool Japan


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