目次

  1. 通達の位置づけ
  2. 「節税保険の見直し」が必要となった理由
  3. 「節税保険」改正案の概要
  4. 「節税保険の新ルール」の適用時期は?
元野村證券PBの税理士が語る税制講座(9)全損などの節税保険にメス 新ルールはいつ?加入済みの人はどうなる?
(画像=PIXTA、ZUU)
佐野 比呂之
佐野 比呂之(さの・ひろゆき)
佐野比呂之税理士事務所、合同会社パープル・リングス代表。1998年、立教大学経済学部卒業。複数の中小税理士事務所に勤務。2006年、中央大学国際会計研究科修了MBA取得。税理士登録。2007年、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社(一時期、野村證券へ派遣)、主にオーナー企業向け税務顧問及び事業承継業務、国際相続案件に従事。2011年、野村證券株式会社にて上場・未上場企業オーナー向けプライベートバンキング業務に従事。2014年、佐野比呂之税理士事務所を開所。2015年、合同会社パープル・リングスを設立。税理士、行政書士、1級FP(CFP)、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、証券外務員一種(内部管理責任者)。

2019年2月14日の日経新聞で「日本生命保険などの生命保険各社が節税目的の経営者保険の販売一時取りやめすることが報道されました。具体的には解約返戻率が50%超の法人保険が対象でした。理由は、国税庁からは全損保険料の資産性が、金融庁からは節税効果を強調した販売手法への問題視が示されたからとされています。それを受けて国税庁は13日に節税保険の課税方法を定めた通達見直しの旨が各生命保険会社に伝えられました。

このほど、4月11日付けで国税庁より「保険料等に関する法人税基本通達等の改正及び保険商品の類型ごとに保険料の損金算入の取扱いを定めている個別通達の廃止」について意見公募手続き実施(いわゆる「パブコメ」。4月11日~5月10日まで実施)がされ、その中で対象となる保険の種類や改正の背景、改正の概要が示されました。

そこで今回はこの節税保険の改正の方向性についてお伝えしたいと思います。

通達の位置づけ

そもそも通達とは、行政機関内において上級機関が下級機関に対し、所管事務について所管機関及び職員に文書通知することを言います。特に税務においては国税庁長官又は国税局長が、国家行政組織法第14条第2項に基づいて下部機関や職員に対して発する職務上の命令のことをいい、国税庁長官は下部組織である国税局長に対し、国税局長は税務署長に対し発せられ、従って各税務職員は、それによって職務を行わなければなければならないこととなります。

故に税務実務上は税務調査における税務調査官の判断指針とされることから、法令ではないながらも間接的に我々納税者を拘束する力を持っています。具体的には法令の解釈を目的とした法令解釈通達(基本通達・個別通達)と各税務職員の仕事のやり方を定めた事務運営指針に二分することが出来ます。

従来、法人に関する保険料等の取扱いは基本的な考え方を法人税基本通達に規定しつつ、各保険商品類型ごとに個別通達を発遣する方法で規定されていました。節税保険に関しては定期保険に関する取扱が法人税基本通達9-3-5に、個別通達で特に長期平準定期保険及びがん保険(終身保障タイプ)に関する取扱が規定されていました。

「節税保険の見直し」が必要となった理由