

2019年2月14日の日経新聞で「日本生命保険などの生命保険各社が節税目的の経営者保険の販売一時取りやめすることが報道されました。具体的には解約返戻率が50%超の法人保険が対象でした。理由は、国税庁からは全損保険料の資産性が、金融庁からは節税効果を強調した販売手法への問題視が示されたからとされています。それを受けて国税庁は13日に節税保険の課税方法を定めた通達見直しの旨が各生命保険会社に伝えられました。
このほど、4月11日付けで国税庁より「保険料等に関する法人税基本通達等の改正及び保険商品の類型ごとに保険料の損金算入の取扱いを定めている個別通達の廃止」について意見公募手続き実施(いわゆる「パブコメ」。4月11日~5月10日まで実施)がされ、その中で対象となる保険の種類や改正の背景、改正の概要が示されました。
そこで今回はこの節税保険の改正の方向性についてお伝えしたいと思います。
通達の位置づけ
そもそも通達とは、行政機関内において上級機関が下級機関に対し、所管事務について所管機関及び職員に文書通知することを言います。特に税務においては国税庁長官又は国税局長が、国家行政組織法第14条第2項に基づいて下部機関や職員に対して発する職務上の命令のことをいい、国税庁長官は下部組織である国税局長に対し、国税局長は税務署長に対し発せられ、従って各税務職員は、それによって職務を行わなければなければならないこととなります。
故に税務実務上は税務調査における税務調査官の判断指針とされることから、法令ではないながらも間接的に我々納税者を拘束する力を持っています。具体的には法令の解釈を目的とした法令解釈通達(基本通達・個別通達)と各税務職員の仕事のやり方を定めた事務運営指針に二分することが出来ます。
従来、法人に関する保険料等の取扱いは基本的な考え方を法人税基本通達に規定しつつ、各保険商品類型ごとに個別通達を発遣する方法で規定されていました。節税保険に関しては定期保険に関する取扱が法人税基本通達9-3-5に、個別通達で特に長期平準定期保険及びがん保険(終身保障タイプ)に関する取扱が規定されていました。