投資に興味を持ち、実際に始めてみると株価の変化に一喜一憂します。下がった時は、いつか上がるのではないかと期待したり、これまでに費やした投資金がもったいなくて中々手放す事が出来ません。しかし、これは投資の世界においては間違った考え方とされています。

今回は、投資の正常な判断を妨げるコンコルド効果に付いて解説します。コンコルド効果と関連しているサンクコストや、どうしてコンコルド効果が正常な判断を妨げるのかも解説しています。ぜひ、最後までご覧ください。

コンコルド効果
(画像=Getty Images)

コンコルド効果とサンクコストとは?

コンコルド効果とは?

コンコルド効果とは、人の心理現象の1つです。名前の由来は2003年に全機が退役した超音速旅客機コンコルドから来ており、「ここで止めてしまうと今まで投資した物が無駄になってしまうから止められない」という状態を表します。当時、コンコルドは超音速で世界中を飛び回る、新しい飛行機として注目され開発が進んでいました。

ところが、開発を進めるにつれて問題が幾つも発覚していき、コストが見合わない物だと判明するとキャンセルが相次ぐようになりました。投じた資金や時間、技術を回収する為に収益性の高い航路だけで運用していましたが、結局収益性が向上することなくコンコルドは姿を消しました。

このように、自分が手間暇をかけて費やした事や、大きなお金を投じた事がこれ以上のリターンを望めないのにこれまで支払った物が無駄になるからという理由だけで止めない状態をコンコルド効果と呼ぶようになりました。

コンコルド効果は心理学の用語ですが、同じ状態を指す言葉が経済学にもあります。それがサンクコストです。

サンクコストとは?

コンコルド効果を経済学では「サンクコスト」、あるいは「サンク・コストの錯覚」、日本語だと「埋没費用」とも呼びます。事業を撤退・縮小・中止した際に回収できない資金や労力の事を指します。

例えば、レストランを経営していて店舗を引き払う際、食器や調理器具、インテリアなどは売却、あるいは別の形で使用できます。しかし、過去に支払った光熱費や家賃、人件費、その事業を構築し運営してきた時間は戻って来ません。これが埋没費用となります。サンクコストは日常生活でも貴方を悩ませます。

例えば、楽しみにしていたコンサートのチケットを当日になって家に忘れてきたとします。会場で当日券を購入できますが、最初のチケット代を含めれば、正規の値段以上を支払ってコンサートを見る事になります。この場合、最初のチケット代がサンクコスト、つまりどうやっても取り戻せない投資になります。

上記の例の場合、経済学では新しいチケットを買ってコンサートを見るべきだとしています。最初のチケットはどうやっても取り戻せない損失であり、重要なのはコンサートを見るべきかどうかという事です。当日券が最初のチケット代と同額なら、貴方は既に最初のチケットを購入する段階でチケットの値段を適正だと納得しているから、当日券を購入する事は論理的に矛盾していません。とはいえ、実際の支出を考えるとチケット代を2回払っている事には変わりありません。

そのため、一般的な人の思考だと2倍の料金を払ってでも見たいかどうか、というポイントで悩んでしまいます。

コンコルド効果は株式投資にもあらわれる

株式投資は自分の購入した株式が、自分の望む方に価値が上下する事で利益を得ます。ですから、値上がりすると踏んで購入した株式が値下がったり、値下がりすると睨んで空売りしたら値が上がったら、どちらも損となります。この時、多くの投資家は二択を迫られます。その株式を保有するか、ここで手放すべきなのかという選択肢です。

保有していれば、株価の動きが反転して利益になるかもしれませんし、反対にそのまま値が同じ方向に傾いていき、損をするかもしれません。損をするぐらいなら、ここで手放して損を少なくする、損切りをするべきではないかと頭を悩ませます。これこそ、株式投資におけるコンコルド効果になります。

自分が投じた資金が無駄になってしまうから、いつまでも株式を手放せないのでいるのです。

コンコルド効果で適切な判断が鈍ることも

ギャンブルやスマホの課金をしていて、あと少しで元が取れる、という風に考えたことはありませんか。傍で見ていると、どうしてこれほど熱中しているのか不思議に思ってしまう場面ですが、実はお金の使い方と脳の感じ方に関係があります。

ある実験で、1万円の商品を購入する際、被験者に100万円が入った財布と2万円が入った財布をそれぞれ持たせて、支払う時の脳の変化を観測しました。その際、100万円の財布から1万円を取り出す時よりも、2万円の財布から1万円を取り出す時の方が、脳が変化しました。前者だと100万円ある内の1万円ですが、後者だと2万円しかない内の1万円になります。同じ1万円なのに、1万円に対する価値観が違っています。

このように、お金に対しての価値観が、状況や経緯によって違ってくる変化を、行動経済学ではメンタルアカウティングと呼びます。人の脳は、同じ金額なのに状況や経緯が違うだけで「もったいない」という心理が働いてしまいます。

このまま保有していても、損をするだけと分かっていても、もったいないという心理が判断を鈍らせてしまいます。

投資において損切りが重要な理由

投資において損切りが重要視されるのは、もちろんこれ以上損をしないようにするのも重要ですが、損切りをする事で資産を次の投資に回せるようになるからです。

例えば、300万円である会社の株を購入したとします。それが250万円まで下がってしまった時、損切りすればまだ250万円の資産が残ります。50万円の損失は埋没費用となったため、どうやっても取り返せません。しかし、250万円の資産が残った事で、他の投資に回すチャンスが生まれています。

このように、経済学や投資の世界では、損切りは撤退じゃなく、次の投資に移るための準備とされています。どうやっても、損を取り戻す事は出来ないのだから、次の投資に切り替える事で、利益を得るチャンスを作る方が得だと考えられています。もちろん、損をした事実を受け止め、どうして損をしたのかという分析を忘れてはいけません。

コンコルド効果に陥らないためには

投資をする上で、感情に支配されるのはマイナスでしかありません。コンコルド効果に陥って、もったいないと思って損切りできないでいると、次の投資のチャンスを棒に振る事になってしまいます。コンコルド効果に陥らないようにするには、ルールを決めましょう。

例えば、購入した金額の何%以下になったら即座に売る、という風にルールを定め、機械的に売却する癖を作るのです。反対に、購入した金額より何%以上値上がったら売る、という風に利益が出た時のルールを定めましょう。

投資において自分の感情や欲望を、意志の力でコントロールするのは難しいです。損をしている時だけでなく、利益を出ている時も、もっと利益が出るのではないかという欲求が生まれてしまいます。それらの感情を律するためにも、自分なりのルールを定めて、ルールの範疇で投資を行いましょう。

まとめ

以上が、コンコルド効果が株式投資の正常な判断を妨げる事の解説となります。投資をする上でルールは重要になってきます。自分なりのルールを決めて、投資に挑戦してみましょう。(提供: The Motley Fool Japan


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