men
(画像=BlueBoeing/Shutterstock.com)
銀行員から事業承継を経験した経営者へ質問
経営者保証が事業承継の障害となっているとよく聞きますが、取引先からそうした声を聞くことはありません。現実には、経営者保証はどのように取り扱われ引き継がれるのですか。教えてください。

私は、会社の4代目社長を18年間務めた後、血縁のない5代目社長に経営をバトンタッチしました。この事業承継にあたり、最も神経を使ったのが、「経営者保証の引継ぎ」です。経営者保証は、会社の債務のために債権者に提供する個人保証のことで、私の場合、億単位の借入金の経営者保証をしている状態で事業承継計画に着手しました。

後継者候補としたのが他人であったこともあり、簡単に経営者保証を引き継いでくれるとは思えませんでした。そこで最初に考えたのが、借入金をなくすか、極めて少なくなるまで減らすことでした。事実上、経営者保証の負担をなくすことで、後継者が社長職を引き継ぎやすくしようと考えたわけです。

ところが、借入金を急激に減らすことが現実的ではないとすぐに気がつきました。なぜなら当時、会社の経営を支えているのは他ならぬ借入金だったからです。設備や不動産は長期の借入金で購入したものですし、人件費などの固定費は短期の借入金によって賄われています。

資産を売却して経営規模を一気に縮小するならともかく、少なくとも現状の業容を維持するなら借入金を返済することなどできません。事業承継のためとはいえ、収益構造まで変えてしまうような変革は、リスクが高すぎます。つまり、経営者保証を不要にするため借入金を返済することは、経営の継続性を阻害すると考えたのです。

その結果、私は、経営者保証はそのまま後継者に引き継いでもらうのが良いと決めました。

経営者保証の必要性をまずは社内に周知