不動産投資をする場合、法人の方が個人より節税できるという話を耳にすることがあります。とはいえ、法人化について正しい知識がないまま法人化するのは危険です。法人化のメリットやデメリット、タイミングや注意すべき点を十分に検討することが大切です。

不動産投資で法人化するメリットとは

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(写真=Sureeporn Teerasatean/Shutterstock.com)

不動産投資をする際、個人と法人のどちらが有利なのでしょうか。まず、個人で不動産投資をする場合と法人で不動産投資をする場合の違いについて解説します。

法人化するということは、個人と法人とで財布を分けることを意味します。個人で不動産投資をした場合、不動産投資で得られた所得は個人のお金として自由に使うことができます。 一方、法人化した場合は、不動産投資で得られた所得は法人の通帳で管理され、個人のお金として勝手に通帳から引き出して使うことはできません。個人で使いたい場合は、一度、法人から役員報酬として個人に支払う必要があります。

このように法人で不動産投資をすることは一見、不自由にみえますが、税金の観点からはどうでしょう。個人で不動産投資し、得られた所得は給与所得などの他の所得と合算され、所得税の対象となります。一方、法人で得られた所得は法人税の対象となります。ここで注意したいのが、所得税の税率は一定以上になると法人税の税率より高くなるということです。

個人で不動産投資をしている場合、毎年の所得に対して最高で45%の所得税が課せられます。しかし、法人で不動産投資をしていれば、個人と法人とで所得を分散し、税率を下げることができます。法人税の税率は中小法人等で利益が800万円超のケースでは23.2%、利益が年800万円以下のケースに対してはさらに低い19%の税率が適用されます。

また、個人として使いたい分だけを役員報酬として支払い、残りを税率の低い法人の利益として計上することもできます。役員報酬の金額は決算後3ヶ月以内であれば変更することができます。 他にも、法人の場合は個人に比べ、経費として計上できる項目が多かったり、家族を役員にして報酬を支払うなどの節税対策ができるなどのメリットがあります。

不動産投資で法人化するタイミングは2つ

では、不動産投資で法人化するのは、どのようなタイミングがいいのでしょうか。不動産投資で法人化するタイミングは2つあります。

1つ目は、個人で不動産投資を始め、所得が一定規模に達した時です。目安として、所得が900万円を超えると所得税率は33%となり、法人税率を上回ります。毎年の節税効果を試算した上で、法人化を検討しましょう。

2つ目は、不動産投資を始めるタイミングです。最初から一定規模の不動産を所有する場合はもちろん、今後も不動産投資を続け、拡大していく予定なら、はじめから法人で不動産を購入することをおすすめします。

不動産を購入すると、不動産取得税がかかります。個人で不動産を購入し、後で法人化する場合でも、法人が個人から不動産を取得することになるため、不動産取得税が発生します。そのため、途中で法人化すると不動産取得税を二重で負担しなければなりません。規模拡大の予定があるなら、最初から法人化しておく方が安心です。

不動産投資で法人化する時の注意点

メリットの多い法人化ですが、一度法人化すると簡単に後戻りはできません。法人化する前には、注意点を十分に理解し、シミュレーションをしたうえで意思決定することが大切です。

法人化には、初期費用が発生します。特に個人で不動産を購入し、後から法人化する場合、不動産取得税を見落としてはなりません。他にも登記費用や印紙代など様々な費用が発生します。

法人化する時は、初期費用を算出し、節税による効果で初期費用を何年で回収できるのか事前にシミュレーションをしましょう。また、賃料変動リスクや空室リスクを加味して、法人化した方が有利とされる水準を維持することができるかどうか、十分に検討しなければなりません。

また、法人化すると法人税の申告が必要になります。個人の所得税の申告なら、自分で行うこともできますが、法人税の申告は複雑なので税理士に依頼するのが一般的です。毎年のランニングコストとして、税理士報酬も加味して法人化シミュレーションを行いましょう。(提供:オーナーズ倶楽部