AI(人工知能)市場が広がりを見せる中、いくつかの国内大手メガバンクが、融資の際の審査にAIを活用する「AI融資」を始めました。フィンテック関連のベンチャー企業が続々と誕生している近年、大手ならではの戦略で、業務の効率化に向けて動いているようです。

メガバンクも参入するAIが審査を行う融資とは、一体どのようなものなのでしょうか。ここでは、AI融資とは何か、そのメリットとデメリットについて解説します。

そもそもAI融資とはどういったものか

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(写真=PopTika/Shutterstock.com)

AI融資では、人工知能(AI)が、口座の入出金情報やクラウド会計データ、イーコマース情報などを元に、企業あるいは個人の信用力を判断します。

例えば、中小企業が銀行に融資を申し込む際、従来の方法では損益計算書や貸借対照表などの財務諸表が判断の基準となっていました。しかしこれには、経営者によってデータの改ざんが行われたり、情報が足りずに融資の判断に時間がかかったりといった欠点がありました。

AIによる審査では、銀行口座への入出金や決済データを自動で分析し、融資可能かどうかを判断します。

メリットは融資時間の短縮、デメリットは?

AI融資の一番のメリットは、審査と融資実行の時間短縮にあります。資金調達を行いたい中小企業にとって、融資の手続きが簡素化されるAI融資はとても便利に感じられるでしょう。各種資料をそろえたり、書類に必要事項を記入したりといった手間を省くことができます。

資金調達に時間をとられない分、経営陣は経営に注力できるようにもなります。銀行員との関係性に頭を悩ますこともなくなるでしょう。

AI融資はこのようなメリットがある一方で、審査の際はより数字にシビアになる傾向が出てくると考えられます。経営者の人柄やこれまでの経歴などは考慮されず、企業の収支が審査基準を満たさなければ融資不可、という判断がなされるかもしれません。

みずほ銀行が国内大手初の法人向け融資にAIを活用

みずほ銀行は2019年5月から、みずほ第一フィナンシャルテクノロジーおよびクレジットエンジンと連携して、中小企業向けのオンライン融資を始めます。「みずほスマートビジネスローン」という名称のこのサービスは、申し込みから融資実行まですべてオンラインで完結するのが特徴です。

これはオンラインレンディングと呼ばれるもので、AIやビッグデータを用いて企業や個人の信用力を測り、融資可能かどうかを判断します。

みずほスマートビジネスローンでは、融資申込者の同意を得て、イーコマース情報やクラウド会計情報、評価サイト情報などのデータを自動で収集し、ローンに関する資料を作成します。さらに、正式審査の申し込みから、最短2~5営業日で融資が実行されます。

銀行窓口に通って融資の相談を行う必要がないというのは、融資申込者にとって大きな利点でしょう。このサービスを利用できるのは、同行に口座を持つ企業に限られます。

住宅ローンでもAI融資

審査実行までに複雑な手続きが必要なイメージのある住宅ローンにおいては、ソニー銀行や三菱UFJ銀行がAI融資を導入しています。

仮審査に要する時間を大幅短縮(ソニー銀行)

ソニー銀行では、2018年5月10日から、住宅ローンの仮審査にAIを導入しています。近年では、インターネット上から住宅ローンの仮審査を申し込める金融機関が増えています。しかし、それらも審査自体は人間が行うことから、ソニー銀行でも仮審査には2~6日かかっていたといいます。AIによって、最短60分で仮審査の結果が分かるようになりました。

NECの最先端技術を活用(三菱UFJ銀行)

三菱UFJ銀行も住宅ローンの仮審査にAIを導入しました。2018年10月から提供されているこのサービスには、日本電気(NEC)の最先端AI技術を利用しており、最短15分で仮審査の結果が確認できます。

AIが融資の形も変えた

今ではさまざまな分野でAIが活用され、各々の業界にあった課題を解決しながら新しいサービスが展開されています。AIは、今後も進化していくでしょう。AIによる新技術が潤滑油の役割を果たし、お金がスムーズに動く未来もそう遠くないかもしれません。(提供:ANA Financial Journal

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