債務超過の先の事業承継
(画像=PIXTA)

【今回の事例】
X社(金型製造業)の代表取締役A氏から「長男Bへ承継したい。ただ、自分から会社への貸付金が多い」との相談を受けた。

*規模:売上高1億円/当期利益0(繰越損失3000万円)/資本金1000万円/純資産▲2000万円/借入金4000万円/業歴40年

*役員・株主構成:A氏(代表取締役社長、株式100%、73歳)

*A氏の個人資産:金融資産500万円/不動産時価7000万円(自宅土地・建物2000万円、敷地150㎡、工場土地5000万円、敷地300㎡)/会社への貸付金3000万円

※工場の建物は法人名義、工場の土地・建物には金融機関の抵当権設定有

*A氏の家族構成:妻と子ども3人

これまでの事例は、どちらかというと純資産額が大きく、財務内容も優良な会社を取り上げてきました。ただ、事業承継はそのような会社ばかりが行うものではありません。経営改善先や純資産額がマイナスの会社――すなわち債務超過の会社でも、事業承継は必要です。最終回である今回は、そのような会社の事例を紹介していきます。

X社は、業歴40年で、主に自動車部品の金型を製造している会社です。毎年、黒字計上しており、そろそろ息子へ承継しようとした矢先に、リーマン・ショックが発生。一気に業況が悪化し、売上もそれまでの半分以下となって赤字に転落し、債務超過になりました。当時は、先行きがまったく不透明ということで、A氏は金融機関からの借入れをせず、自分の今までの蓄えを会社へ注ぎ込みました。

この2~3年でやっと赤字から脱却し、収支トントンまで回復してきました。A氏の年齢も70歳を超え、体力的にも厳しくなってきたため、今度こそは長男に承継したいと思っています。