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(画像=Syda Productions/Shutterstock.com)

ケース8 遺産分割協議成立前に法定相続割合での払戻しを依頼されたら?

共同相続人全員による遺産分割協議が未了の段階で、相続人の1人が「自分の法定相続割合に対応した金額だけ預金を払い戻したい」と求めることは、かつては認められていました。

しかし、2016年12月の最高裁決定によって、この見解が覆(くつがえ)されました。預金は遺産分割協議を踏まえて相続人各人に分割されるものであり、それが済むまでは共有財産状態にあり、一部の払戻しはできないとされたのです。以降、各金融機関の対応もこれに沿っています。

しかし、相続人の中には様々な事情を抱えている人がいます。資金的に困窮している相続人や被相続人への立替払いを多くしている相続人などは、早期の払戻しを金融機関に求めることがあります。こうしたことへの実務対応として、共同相続人全員の同意書面を取ることも行われてきました。

一方、相続人が多い、相続人が遠方にいるなどの理由で、同意書面がなかなか作成されないことがあります。場合によっては、共同相続人間でモメて遺産分割協議がまとまらない状況において、同意書面が作られる可能性は低いでしょう。

また、家庭裁判所に対して遺産分割の調停・審判が申し立てられた場合には、家事事件手続法に基づく預金の仮分割が認められることがありますが、これは調停・審判が前提となっています。

原則応じられない