三井住友信託銀行本店(東京都千代田区)にて金融パーソン向けイベント「超富裕層向けのウェルスマネジメント徹底解説」が開かれ、ZUU代表の冨田が登壇した。講演内容をレポートとしてお届けする。(編集構成:ZUU online副編集長 菅野陽平)※イベントおよび講演は2019年4月に行われました

目次

  1. さまざまな角度からプライベートバンクを見る
  2. 個人のバランスシートの見方とは
  3. 事業法人オーナーや医療法人オーナーが持つ特別な資本とは
  4. ゴールを設定し運用の目的を明確にする
  5. 信頼関係を2つに分けて考える
  6. 欧米とは違う日本特有の課題「税金対策」
  7. すごく稼いでいる個人事業主への支援方法
元野村證券トップセールスが語る「プライベートバンカーに必要な3つの核心」
(画像=ZUU)
冨田 和成
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野にて起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。新人時代は220件のオーナー社長を開拓し、同期トップになる。2年目以降は優良対象先に特化し、3年半で300件のオーナー社長を開拓。3年目終了時、7年目までの全セールスで営業成績トップに。史上最年少で本社の富裕層向けプライベートバンキングへ異動。シンガポールマネジメント大学でウェルスマネジメント、イエール大学でオルタナティブ投資のビジネススクールに通い、卒業後はASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。2018年6月マザーズ上場。

さまざまな角度からプライベートバンクを見る

まず簡単に自己紹介します。ZUUという会社は6年前、野村證券さんを退職した後に作った会社です。起業して約6年が経ちました。野村證券さんには丸7年いましたので、ちょうど、あと1年で証券マン時代と同じくらいの長さのキャリアになります。

大学時代に1度、事業を自分で立ち上げて、野村證券さんに入社しました。最初の3年間は支店営業で、飛び込み営業から始めました。当初はノウハウもなく、住宅街外交もしていましたし、すし屋や美容室のようなところにも飛び込みました。でも最初の3ヶ月はあまり結果が出ず、下から数えて何番目ぐらいの社員でした。

そうやっているうちに「自分たちが提供する情報に価値を感じてもらえるのは、やはり経営者や法人だ」と思って、途中からは経営者や法人にターゲットを切り替えました。結果として、入社直後の5月末から翌年の5月末までの間に220件のオーナー経営者を開拓することができました。営業日がだいたい年間200日ぐらいですから、1日1件以上のペースで開拓したということになります。

途中から1件1件対応していては間に合わなくなって、「同時に口座開設の説明をするので集まってもらえませんか?」といった形を取ったりしたこともあります。たとえば、バーのオーナーがお客さんの中にいれば、そのバーに集まっていただいて、口座開設の書き方教室みたいなことをするわけです。企業オーナーを開拓していたので、金融商品の売買仲介だけでなく、ビジネスの話、本業の話もよくしました。

今は相続税法の改正で使いにくくなってしまいましたが、当時は生命保険を使った相続税対策もよく行われていました。相続税法24条で定められていた「年金受給権の評価方法」を使ったスキームで相続対策も手がけていました。

法人保険を使ったスキームもやりました。今は規制も厳しくなっていますけれど、当時は法人保険でも「全損型」が非常にはやった時代だったので、そうした保険を使った相続税対策もありました。

為替スワップ、為替予約みたいなビジネスは銀行のほうが強かったのですが、銀行と取引していて、大きな損失を出しているお客さんがいたので、それに対して逆為替予約をぶつけるという、要は「もうこれ以上、損失が膨らむと会社がつぶれてしまいますから」ということで、損失を確定させて損失が膨らむことを防ぐといったこともしました。

そのようなさまざまなビジネスを事業オーナーの方たちに対して行っているうちに、入社4年目に本社のプライベートバンキング(PB)へ異動し、超富裕層向け部隊に参加することになります。

PBですから、超富裕層のアカウント(口座)ばかりを扱うわけです。上場企業オーナーが多いです。主幹事を務める会社も多いですから。もちろん、そうした顧客の中でも取引額が多い方たちは、シニアバンカーや先輩たちが担当するので、直接担当することはありませんでしたが、そういう部署で経験を積んだ後に、今度はシンガポールに行かせてもらいました。

シンガポールには大学が3つありますが、その中のシンガポールマネージメントユニバーシティという大学に世界で唯一、ウェルスマネジメントの学位が取れるコースがありました。そこへ送っていただき、ウェルスマネジメントやプライベートバンキングを理論的に学ばせて頂きました。

そこからタイで1年間、経営戦略をやったあとに東京に戻って起業したというのが、私の金融パーソンとしてのキャリアです。私のキャリアを振り返ると、どぶ板営業しながら新規開拓するという実戦を積んだ後、PBで思い切り実務をやって、そのあとにビジネススクールで理論を学び、今はどちらかというと、上場企業オーナーとして顧客側の存在になっているという感じでしょうか。

今はPBのバンカーの方たちに担当していただく立場になったので、また違った面でPBを見ることができるような気がします。本日は様々な角度からから見たPBというものをお話したいと思っています。今日の私の話が、皆さんの実務のヒントになれば嬉しく思います。

個人のバランスシートの見方とは

今日のポイントは3つあります。まず1つ目「個人のバランスシートと4つの資本」という話をします。その中で「超富裕層の方たちが求める究極のものは何か?」に対する私なりの考え方を披露したいと思います。

2つ目は資産運用。その中で、AIには絶対越えられないプライベートバンカーの壁、つまりAIがプライベートバンカーに敵わない部分とは何かについてお話します。

3つ目は税金対策です。一言で税金対策といいますが、税金対策の本当の意味とは何か?という話です。私は欧米と日本では意味が全く違うと思っています。

では1つ目からいきます。まず個人のバランスシート。PBに関わっている方たちであれば、なんとなく聞いたことがある、もしくは会社で「このスキームでお客さんと話している」という方もいらっしゃるでしょう。2011年にスイスのチューリッヒにあるUBSの本社へ行かせてもらったときに教えていただいたことです。