iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とつみたてNISAは将来を見越した資産形成に有利な制度として国が主導している。節税効果もあり、うまく使うとかなり得する制度だが、まだまだ国民に浸透しているとは言いがたい。「聞いたことはあるけれど、よく分からない」という人のために、iDeCoとつみたてNISAの違い、メリット・デメリットを比較して解説しよう。

資産運用の目的にあった運用方法を選ぶ

つみたてNISA. iDeCo, 個人型確定拠出年金
(画像=PIXTA)

資産運用にあたっては、「資産をつくる目的・理由」を明確にすることが重要だ。なぜなら、投資方法には「長期投資に向いているもの」と「中期投資に向いているもの」がある。たとえば資産をつくる目的が「3年後の進学費用」なら、長期投資に向いた方法は適さないだろう。目的が「老後の資金づくり」なのに、中期投資に向く投資方法を採れば、思ったほど資金が増えないかもしれない。

資産をつくる目的は、人それぞれだ。資産運用を始めるときは、まず目的を明確にすることが大切だ。目的がはっきりしない人は、ライフプランを作ってみるといいだろう。

iDeCoとつみたてNISAを5つの点で比較

iDeCoとつみたてNISAの違いを、「資金の引き出しは自由か」「投資を始められる最低額」「1年間に投資できる額」「投資できる商品」「非課税対象」という観点で比較していこう。

比較その1 資金の引き出しは自由か?

つみたてNISAは自由に資金を引き出せるが、iDeCoは原則60歳になるまで資金を引き出せない。

そう聞くと、つみたてNISAのほうが使い勝手が良いように思える。iDeCoでは、60歳になるまでに急に資金が必要になっても、引き出すことができない。しかし、自由に引き出せると、結局あれこれと使ってしまい、思ったほど資金が貯まらないということもある。このため、「大学資金など中期的な目的」ならつみたてNISA、「老後のための資金づくりなど長期的な目的」ならiDeCoと考えるといいだろう。

先ほどのライフプランで資産をつくる目的を明確にしたら、おのずとどちらが向いているのか分かるはずだ。そのうえで、「いつでも引き出せる資金をどれくらい用意しておけばいいか」も考えて投資をしたい。そうすると、さらに投資効率は高まる。

比較その2 投資を始められる最低額は?

つみたてNISAは最低100円、iDeCoは5,000円から投資を始められる。

あまり投資金額が少ないと運用の効果が見えにくいが、投資初心者は安心して始められるだろう。最初は少額からスタートして、慣れてきたら投資金額を上げていけばいい。

比較その3 1年間に投資できる額は?

1年間に投資できる上限金額は、つみたてNISAで40万円、iDeCoは勤め先など条件によって変わるが、14万4,000円から81万6,000円だ。

期間については、つみたてNISAは最長20年、iDeCoは60歳まで投資できる。

毎月の投資額は変更することができる。上限金額の範囲内なら、つみたてNISAならいつでも、iDeCoでも年に一度、毎月の投資額を変更できる。突然のリストラで収入が減ったときや、予期せぬボーナスをもらえたときでも柔軟に対応できるので安心だ。

中期・長期投資の基本は、「なるべく投資したお金は引き出さない(長く投資する)こと」だ。投資したお金をすぐに引き出さなくてもいいように、家計管理はしっかり行いたい。

NISA比較その4  投資できる商品は?

投資できる商品は、iDeCoなら投資信託や定期預金、生命保険。つみたてNISAは、厳選された投資信託とETF(上場投資信託)だ。つみたてNISAの対象商品は、すべて「金融庁が定める長期・分散投資に適した金融商品」である。

最大の違いは「定期預金などの元本確保型商品の有無」だ。iDeCoにはあるが、つみたてNISAにはない。iDeCoの目的は老後の資産づくりなので、そうした安心感も必要だろう。

iDeCoの対象商品は無数にあるが、つみたてNISAは163本(2019年5月7日時点)のみだ。初心者には、対象商品が少ないつみたてNISAのほうが商品を選びやすいかもしれない。

比較その5 何が非課税対象になるのか?

日本では、すべての利益に対して課税されるのが原則だ。投資をした場合、「運用で得た利益」(運用益)には20%課税される。しかし、iDeCo・つみたてNISAともに、運用益に対して税金がかからない優遇措置がある。

また、iDeCoについては運用益だけでなく、投資金額も全額所得控除の対象だ。さらに、将来運用益を受け取る際も「公的年金等控除」の対象になる。どちらもその分だけ所得税などが安くなる。税の優遇措置なら、iDeCoのほうが有利と言えるだろう。

このように内容に違いはあるが、どちらにも税の優遇措置がある。利用したほうが有利に資産運用を進められるという点は同じだ。ただし、投資額には上限がある。上限まではどちらかで運用し、超えたら普通の資産運用を検討するといいだろう。

iDeCoとつみたてNISAは併用可、NISAとつみたてNISAは併用不可

iDeCoとつみたてNISAは併用できる。iDeCoは“年金”で、つみたてNISAは“投資”。制度と目的が違うので、併用できるのだろう。

つみたてNISAは「中期的な資産形成」に、iDeCoは「長期的な資産形成」に適している。子どもがいれば、それぞれの目的のための資産形成が必要になる。うまく投資額を配分して、それぞれの恩恵を得ながら資金を貯めていこう。

ただし、つみたてNISAには似たような「NISA」という制度があり、この2つは併用できない。投資初心者ならつみたてNISAを選べば問題ないが、念のため覚えておこう。

効果的なiDeCoとつみたてNISAの併用術

効果的にiDeCoとつみたてNISAを併用したい場合は、節税の恩恵よりも「投資期間」に注目して考えるといいだろう。優遇措置を受けられる期間は、iDeCoで60歳まで、つみたてNISAは20年間。どちらも一定の節税効果があるため、あまりこだわる必要はない。大切なのは目的と期間だ。

老後資金をつくる目的ならiDeCoが適しているし、大学進学資金をはじめとした10~20年以内に必要になるお金のためなら、つみたてNISAが適している。10~20年以内に必要になるお金がないなら基本はiDeCoで運用し、上限額を超える部分をつみたてNISAで運用しよう。

10年以内に必要になるお金の場合は、先ほど少し触れた「NISA」の投資期間が最長10年なので適している。ただし、投資期間が短い中で結果を狙うとリスクも高まるので、特に初心者は注意してほしい。

iDeCoやつみたてNISAを扱うネット証券は?

iDeCoやつみたてNISAは、さまざまな金融機関が取り扱っている。どの金融機関を選べばいいかは一概に言えないが、少なくとも「手数料」はチェックしたい。

銀行と証券会社を比べれば、証券会社のほうが圧倒的に取り扱い銘柄は多い。将来資産運用の幅を広げていくことを考えると、証券会社を勧めたい。手数料は、対面販売を前提とした証券会社よりもネット証券のほうが割安だ。

そこで、iDeCo人気の高いネット証券を紹介しよう。

商品ラインアップの豊富さは随一!SBI証券のiDeCo

SBI証券の特長は、なんといっても商品ラインナップが豊かなことだ。投資信託だけで81本も揃っているため、自分に合った商品を選ぶことができる。簡単な質問に答えるだけでおすすめの運用商品を選んでくれるロボアドバイザー「SBI-iDeCoロボ」もあるので安心だ。ロボアドバイザーはSBI証券に口座を開設していなくても無料で利用できるため、iDeCoに興味を持ったらまずは無料アドバイスを受けてみるといいだろう。

無料のセミナーやスタートガイドで初心者も安心 楽天証券のiDeCo

投資初心者でも安心してiDeCoを始められるよう、無料セミナーやスタートガイドが充実しているのが楽天証券だ。WebセミナーではiDeCoの基礎知識から商品開設まで、あらゆる疑問を解説してくれる。またマイクロソフトやアップルなど米国の有力企業に投資できる「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))など魅力的な商品も多い。

低コスト商品を中心に厳選 マネックス証券のiDeCo

マネックス証券の魅力は、低コスト商品を厳選した選びやすいラインナップだ。現在25本の投資信託から選べるが、信託報酬率が年0.15%未満のものなど運用コストが低いものが揃っている。iDeCo専門スタッフが対応してくれるお問い合わせダイヤルは土曜日も受付しており、専用のロボアドバイザーのプラン提案などサービスも充実している。

厳選した商品が魅力 松井証券のiDeCo

松井証券のiDeCoで選べる投資信託は12本で、他社と比べると決して多くない。しかし、その12本は信託報酬が最安クラスで魅力的なものを厳選しており、他のネット証券会社でも人気の商品のみが揃っている。創業100年の歴史を持つ松井証券が自信を持って勧める投資信託なので選びやすいはずだ。

取引する金融機関は途中で変更できる。ただし、面倒な手続きや手数料が必要になるので、iDeCoやつみたてNISAを利用している間は、あまり頻繁に変更しないほうがいいだろう。末永く付き合えるところを最初にしっかり選ぶようにしよう。

文・婚活FP山本

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