主債務者から情報提供を受けたか表明する

㋑個人保証人への情報提供

改正債権法では、個人が保証人となる場合、主債務者は「財産および収支の状況」「主債務以外に負担している債務の有無、その額および履行状況」「主債務の担保として他に提供し、または提供しようとするものがあるときは、その旨およびその内容」について保証人に情報提供をしなければならない。

主債務者から「細かいことは言えないが、迷惑はかけないから保証人になってほしい」と頼まれた保証人が、債務の状況が分からない状態で保証契約を結んでも、無効となるおそれがあるのだ。金融機関としては、保証契約にあたり「主債務者はきちんと保証人に説明を行ったか」「保証人は主債務者から説明を受けたか」を確認しなければならない。

この点についても金銭消費貸借契約証書や保証約定書に条項を設けることが必要になる。具体的には「主たる債務者から、財務収支の状況・他の債務の状況・担保の内容について、十分に情報提供を受けたことを確認します」との文言を追記することが必要となるだろう。別途、保証人に情報提供を受けたことの表明書を差し入れてもらう方法も考えられる(この場合、条項の追加は不要)。

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㋒公正証書作成義務

改正債権法では、個人が事業用貸金等債務の保証人となる場合、公正証書でその保証意思を表明しなくてはならないとされた。ただし、主債務者が法人の場合、その代表取締役の地位にある者や主債務者の発行済株式数の過半数を有する者、主債務者が個人の場合、共同して事業を営む者や主債務者の事業に従事する配偶者などは公正証書の作成を要しないとされている。

そこで保証約定書等にも「私は主債務者の代表取締役の地位にあることを、確認書類の提出によって表明します」といった文言を入れることになる。これにより公正証書の作成が不要であることを担保しておくわけだ(別途、表明書の差入れでもよいと思われる)。

ここで問題となるのが、保証期間中に保証人の立場が変わったときである。例えば、会社の債務を保証していた経営者が、途中で辞めて第三者となったらどうなるのだろうか。公正証書による保証意思の確認が必要となるのだろうか。

この点については対応が分かれると思われる。条項に「かかる地位を喪失した後も何らの手続きをとることなく本約定書に定める極度額の範囲において主たる債務について保証の責に任じます」と追加して、引き続き保証人を続けてもらうルールを決めておく。または「かかる地位を喪失したら、その旨を金融機関に連絡し協議のうえで保証の責に任じます」という条項を加えて協議を行うことも考えられるだろう。いずれにせよ、公正証書の作成が義務付けられることを踏まえて条項を追加しておく必要性がある。

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