「君の船を荒波の海へ向けろ」――。

米アップルを率いるティム・クック最高経営責任者(CEO)は、2019年5月に米テュレーン大学の卒業式で行ったスピーチの中盤、話すスピードを一瞬落とし、マイクの前で拳を握り、こう卒業生たちに“げき”を飛ばした。

アップルはいま「荒波の海」の中にいる。稼ぎ頭であるiPhoneのシェア低下、米中貿易戦争の長期化による中国事業への懸念、そしてAI(人工知能)技術などを活用した自動車の自動運転分野では、ともにGAFAの一角を成すグーグルに後塵を拝している。こうした状況の中だからこそ、冒頭で紹介したフレーズにはより力がこもったはずだ。いまのアップル社にとっての荒波をクック氏はどう乗り越えようとしているのか。

iPhone事業での功績と現在の不振

経営トップ, ティム・クック, Apple
(画像=Josh Brasted / GettyImages, ZUU online)