2020年4月1日から施行される120年ぶりとなる民法改正。今回の民法改正では、「敷金返還に関するルール」「設備の一部滅失による賃料減額のルール」など不動産賃貸にかかわるさまざまなルールが変更になります。この記事では、「賃貸人・賃借人の修繕に関するルール」について紹介していきます。

オーナーの義務が変わった?

民法改正,修繕義務
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

現行の民法606条において「オーナーは、賃貸建物について入居者の使用に支障のある不具合が生じた場合に、必要な修繕をする義務を負う」と規定されています。つまり、自分が所有している建物を貸して家賃をもらうわけですから、入居者が使える状態にしておきましょうということです。これは、オーナーとして当然の役割といえます。

問題は、入居者の過失や故意によって故障や不具合が発生したときです。この場合は、オーナーと入居者、どちらに修繕義務が発生するか、ルールが明確になっていませんでした。そのため、これまでは修繕が原因でトラブルに発展するケースもあったのです。そこで、改正民法では入居者側の責任で修繕が必要となったときには、オーナーに修繕の義務はないことが明文化されました。

借り主は勝手に修繕していい?

もう一つ民法に加わったのは、入居者の権利についてです。たとえば、備え付けのエアコンが壊れたときに入居者は、オーナーに対して修理を依頼します。従来は修理を依頼しているにもかかわらずオーナーがなかなか修理してくれずにトラブルに発展してしまうケースもありました。建物や設備は、あくまでもオーナーのものですから入居者が勝手に直したり手を加えたりすることはできません。

しかし、実際に住んでいる入居者にとって、「エアコンなどの設備が壊れて使えない」という状況は大きな問題です。改正前の民法では、このような状況になったとき「入居者が自分で修繕できるかどうか」を定めた規定はありませんでした。しかし、今回の民法改正で下記の場合は、「入居者が自分の判断で修繕をしてもいい」ということが記載されたのです。

・借り主が貸し主に修繕の必要があることと通知したか、または貸し主がそのことを知ったにもかかわらず、貸し主が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
・急な事情のあるとき

たしかに、「夜間にトイレが壊れて使えない」などの急な事情があるときには、管理会社やオーナーに連絡をし、修理業者への手配までしていたら大変です。そんなときには、「自分で修理業者を呼んで後からオーナーに請求する」というやり方ができることになったわけです。しかし、この改正によって新たなトラブルが発生する可能性もあります。なぜなら、入居者の判断で修理してもいい範囲や、緊急性の有無、費用負担などがあいまいだからです。

たとえば、本当は設備が壊れたのが昼間なのに、入居者の都合で土日の夜中に修理業者を呼んで、高額な割増料金が発生してしまうということがあるかもしれません。また、修理すれば使えるものを入居者の勝手な判断で新品に交換してしまうといったケースも考えられます。

トラブルを防ぐには契約が大事

このようなトラブルを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。やはり、契約書のなかで明文化することが大事です。たとえば、修繕の範囲について「どこまでがオーナーの義務になるのか」を明確にし、「小さな修繕は入居者の負担で対応する」といった一文を、金額とともに契約書の中に盛り込むようにするべきでしょう。また、故障などが発生したときには、下記の内容も契約書のなかに盛り込んでおくとトラブルを防ぐ手立てになります。

居室内で故障が発生したときは、
・入居者は速やかに管理会社に連絡をする義務があること
・管理会社が対応できない時間帯にはあらかじめ指定の業者に連絡すること
・修繕工事は基本的には平日に実施すること
など

改正民法は2020年4月1日から施行されます。改正される内容をしっかりと把握したうえで、オーナーとしてできる対策は事前に講じておきましょう。(提供:オーナーズ倶楽部