上場会社オーナーの資産管理会社を利用した相続・事業承継対策は広く一般的に知られるようになってきましたが、上場会社からの配当金は、オーナーのような大口株主とその他の少数株主では課税関係が全く異なるため、別途の対策が必要となります。
そこで今回はオーナーに係る株式配当金に着目し、特に「配当の3%ルール」と「受取配当金の益金不算入制度」をお伝えしたいと思います。
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「3%ルール」とは?オーナーが受け取る株式配当金課税の概要
企業オーナーは自身が所有する会社から配当金を受領しますので、その配当金に対して所得税と住民税(以下「所得税」とします。)が課税されます。通常、上場会社からの配当金は証券会社における特定口座で管理されており、その特定口座内で20.315%(所得税及び復興所得税15.315%、住民税5%)の源泉徴収(源泉分離課税)も行われます。
なおかつ株式の譲渡損がある場合には確定申告することもなく当該譲渡損と配当金の損益通算も自動的に行われることとなり、総合課税が適用される事業所得等の他の所得と比べ非常に優遇されています。
一方、企業オーナーは通常3%以上の株式保有割合であることから別途「大口株主」として扱われることとなります。大口株主が内国法人から受ける上場株式等の配当金については、一般口座での受け取りはできますが、特定口座(源泉徴収あり)への受け入れはできません。
しかも課税方式が総合課税に限定され、高額な役員報酬等と合算した後に課税されることとなり、最高税率は49.44%(配当控除考慮後)と少数株主とは比べものにならない重課がされてしまいます。この3%のバーを俗に「3%ルール」と呼ぶこともあります。
資産管理会社利用によるオーナー受領配当金への税効率の改善
大口株主判定は株式保有割合が3%未満か3%以上かで形式的に判定されるので、保有割合が4%のような場合には非常に悔しい思いをすることになります。では、保有割合4%の企業オーナーに対する配当金課税を回避する方法はないのでしょうか?