(本記事は、吉澤諭氏の著書、トラブル事例で学ぶ 失敗しない相続対策=株式会社近代セールス社、2019年2月27日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

トラブルの経緯

トラブル事例で学ぶ 失敗しない相続対策
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父は、65歳になったのを機に、自身が創業した会社を長男に任せ、同時に会社の株式(以後「自社株」という)もすべて長男へ贈与し、 以降は相談役として時々会社に顔を出す程度で、ほとんど経営には口出ししなかった。父から会社を継いだ当時、長男は40歳であった。 贈与された自社株の評価は200万円、経営は苦しい状態であった。長男はそこから頑張り、経営を軌道に乗せた。

親族関係図
(画像=トラブル事例で学ぶ 失敗しない相続対策)

父が死亡した、享年78歳。父の相続人は、長男、二男の2人。母は昨年死亡している(図表1)。
父の財産は自宅(相続税評価額2,000万円、時価3,000万円)しかなかった。

遺言がなかったため、息子2人で遺産分割を話し合うことになった。長男は「父から生前に自社株を200万円もらっているから、それを 含めて均等に分けよう。(自社株200万円+自宅3,000万円)÷2 人=1,600万円なので、どちらかが自宅を相続し、もう一方へ代償金(*1)として1,600万円支払う案はどうか」と提案した。

これに対し、二男から「それは計算が違うよ。兄さんが父からもらった自社株は6,000万円だと税理士が言っていた。だから、(自社株6,000万円+自宅3,000万円)÷2人=4,500万円なので、自宅を僕が相続してもまだ足りない。あと1,500万円(=4,500万円-3,000万円)払ってほしい」と言われてしまった。

このことで兄弟仲が険悪になり、未だに遺産分割は成立していない。

(*1)代償分割:特定の相続人が特定の相続財産を相続したうえで、他の相続人へ別の財産(例えば金銭等)を分け与える遺産分割方法のこと。遺産が分割困難な財産の場合に活用される(例:長男が預貯金を全部相続したうえで、二男へその半分に相当する財産を交付する)。

どうすればよかったのか