近代セールス
(画像=PIXTA)

金融排除や銀行不祥事の一因は情報の非対称性の問題にある

情報の非対称性は、金融機関が行っているビジネスにどのような問題をもたらしているのでしょうか? 金融機関の経営で話題になっているようなことと関係はありますか?

今回は、情報の非対称性が金融機関の融資ビジネスにどのような問題を引き起こすのか掘り下げたい。情報の非対称性の2つの側面である逆選択とモラルハザードをテーマに、こんな例で考えてみよう。

貸出金利ザヤが低下し続けることに業を煮やしたある銀行のトップが、「これからはミドルリスク融資の強化だ!」と考えたとする。そこで「中小企業100社限定、無担保プロパー、限度額1000万円、金利一律5%」というローン商品を作った。他の商品に比べて高い金利だが、ミドルリスク向けなのであえてこの金利とした。

100社が審査を通過したら最終的に何社が倒産するだろうか。資金調達コストをゼロとすれば、この商品は単純計算で最大5%(100社中5社)がデフォルトしても採算が取れる。だからある程度リスキーな中小企業にも貸せる商品になる。こうトップは考え、審査は厳しくしすぎないようにと現場に伝えたとしよう。

ハイリスク先が申し込む「逆選択」が起こる