できるだけ多くの財産を家族に遺したいと思ったときに問題となるのが相続税の負担です。

何も対策を立てないと思いのほか相続税がかかり資産を売却して現金を準備することにもなりかねません。生前にできる相続税の節税対策についてお伝えします。

相続が発生すると財産を取得した人が相続税を負担する

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(写真=88studio/Shutterstock.com)

相続税の負担を減らす代表的な3つの方法があります。

1.「財産そのものを少なくする」。
遺産の額が多ければ多いほど相続税の負担も大きくなるため、財産を減らすことによって税負担も減らすという考え方です。

2.「財産の評価額を低くする」。
手元の財産を別の財産に組み換えることによって、相続財産としての評価額を低くして税負担を軽減する方法です。

3.「制度を利用して税負担を減らす」。
相続税にはさまざまな制度や特例がありますので、それを活用して税負担を少なくする方法です。

ではこの3つの方法にはどのようなものがあるのか順にお伝えしていきます。

相続税を減らす3つの方法の概要

「財産そのものを少なくする」

「財産そのものを少なくする」方法として代表的なものは「生前贈与」です。

生前贈与には毎年贈与を行える「暦年課税贈与」と、暦年課税贈与よりも多くの財産を一度に贈与できる「相続時精算課税贈与」の2種類あり、贈与したい額や財産の種類によって使い分ける必要があります。

暦年課税贈与は贈与を受ける人(受贈者)一人あたり年間110万円の基礎控除額があり、20歳以上の「直系卑属」に贈与した場合には税率が優遇される特例がありますので、複数の子、孫に毎年現金を贈与する場合に適しています。

ただし、相続発生前3年以内の贈与財産については相続税の課税対象として持ち戻しの対象となりますので、早い時期から行っておくことが必要です。

相続時精算課税贈与は、2,500万円までの財産を無税で生前に贈与することができ、それを超えた金額部分には一律20%の税金がかかります。

相続発生後には他の相続財産とこの制度を利用して贈与した財産の「贈与時」の評価額を合わせて相続財産の総額とみなされますので、財産を生前に前渡しする制度と言えます。

今後評価額が上がりそうな財産や、不動産の評価額が大きくなる財産を生前に渡したい場合に適した制度です。

なお、この2つの贈与の制度は一人の受贈者に対しては併用できませんので、どちらの制度を活用したほうがよいのかは事前に検討する必要があります。

「財産の評価額を低くする」

「財産の評価額を低くする」には、現金や預金を不動産に換える方法があります。

現金や預金の評価額は相続時の残高そのものですが、これを建物や土地などの不動産に換えることによって、建物は自宅などの自己使用の場合には「固定資産税評価額(時価の約7割)」になり、賃貸用建物の場合には「固定資産税評価額-固定資産税評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合」が相続財産としての評価額になります。

また土地については自己使用の場合(自用地)には「路線価(時価の約8割)」をもとに相続税評価額が計算され、さらに賃貸用建物が建っている土地の評価額は「貸家建付地」として「自用地評価額-自用地評価額×借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合)」になります。

このように現金や預金を不動産に換えることによって、時価よりも低い評価額で財産を遺すことが可能なのです。

「制度を利用して税負担を減らす」

「制度を利用して税負担を減らす」方法としては主に「非課税限度額」「普通養子縁組」「税額軽減」があります。

生命保険金には「500万円×法定相続人」の非課税限度額があり、この範囲内の死亡保険金には相続税がかかりません。

また孫などと普通養子縁組をすることで、実子がいる場合には1人、いない場合には2人まで、法定相続人を増やすことができ、相続税の基礎控除額や生命保険金の非課税限度額を増やすことができます。

さらに「配偶者の税額の軽減」を活用することで「1億6,000万円」「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い額までは、配偶者は無税で財産を受け取ることが可能です。

専門家に相談しながら何が良いか考えるべき

相続税の節税対策として代表的な3つの例を挙げましたが、いずれの場合にも行う前に専門家への相談が不可欠です。

例えば生前贈与であれば、贈与した場合としない場合を比較してどちらが税負担の総額が少なくなるのかを試算する必要があります。

現金を不動産に換える場合にも、節税対策にはなってもその後の賃貸経営がうまくいかなくては本末転倒です。

また不動産は現金に比べて分割しづらい財産となりますので、遺産分割対策と合わせて検討する必要があります。

配偶者の税額の軽減についても、配偶者に相続が発生した場合の税負担も考慮して検討する必要がありますので、税や不動産、遺産分割の専門家のアドバイスを仰いだうえで対策を進めるのがいいでしょう。(提供:ANA Financial Journal

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