バリュートラップとは、PERやPBRなどの数字だけを確認し、割安と判断した結果、株価が下落していまい「塩漬け株」になってしまった状態のことです。

どのような原因でバリュートラップになってしまうのか、その対処法はどのようにすれば良いのかを考えてみましょう。

バリュートラップ
(画像=Getty Images)

バリュートラップとは何か

バリュートラップとは、上がると思って買った株が一向に上がらなかったり、さらに下がったりして、売ると大きな損失となるような株式の状態を言い、いわゆる「塩漬け株」の状態を言います。

株式投資を長くやっていれば誰でも経験していることでしょう。

その処理の仕方によって、株式投資で利益をあげられるか、そうでないかがはっきりと別れるところです。

残念なことに、日本では成長株を追う人が多く、割安株投資を本格的にやっている人は少なく、そのため、塩漬け株の適切な処理方法について丁寧に書かれているものは少ないのが現状です。

バリュートラップの原因

塩漬け株の適切な処理の方法を考える前に、なぜ塩漬け株が出てしまうのか、その原因について考えてみましょう。

理由ははっきりしていて、「銘柄の選択の誤り」にありますが、その原因はいろいろです。

一番おこりやすいケースは、割安株投資家が低いPERとPBRだけを見て、これは割安だと思い購入する場合です。

PBRの指標については、株式投資では1以下であれば、その会社には資産があるという程度の評価で十分で、あまり重視しない方が良いでしょう。

いわゆる重厚長大産業では、いろいろな設備が必要でこのため1よりかなり小さくなります。

これに対して、情報系の産業はあまり大きな設備を必要としないため1よりかなり大きくなります。

このように産業の種類によっても、大きく違います。

これに対してPERは、たいへん重要な指標となります。

これは株価を1株あたりの利益で割ったもので、日本の株式の平均値はいつも10〜13くらいの間にあります。

株価は、主として利益で決まりますから、PERが10以下なら割安株ということになります。

しかし、実際には株価は他のファクターによっても大きく変動します。

PERは、人気投票の側面もあり、皆が欲しがれば50でも100にでも上がってしまいます。

したがって、PERがいくら重要な指標であっても、これだけに頼るのは危険です。

実際の投資では常に総合的な判断が必要です。

会社が大きくても小さくても、優れた会社の業務内容は、いろいろなところに断片的に必ず出てきます。

良くない会社も同じことです。そのため、会社の善し悪しの判断は、総合的にする必要があります。

もう一つ、塩漬け株が起きやすい場合があります。

それは、総合的に判断して良い会社だと思って購入した株が、その会社の不始末や予想外の出来事のために、大きく値を下げてしまう場合です。

最近で言えば、日産のカルロスゴーン元会長の失脚、ゾゾタウンからの老舗メーカーの離反、レオパレス21の不正建築など、全く予想外の出来事と言って良いでしょう。

塩漬け株の処理方法

原因はともかく、できてしまった塩漬け株をどのように処理すれば良いのでしょうか?

答えは簡単で、出来るだけ早く的確な処理をすることです。

まず、低いPBRとPERに誘われて買ってしまった株の場合です。

この場合は、その会社の業績を調べます。

毎年きちんと利益が上がっていないとか、自己資本比率が小さいとか、悪いウワサがあるとかなどに該当すれば、躊躇せずに売却です。

格言に「見切り千両、損切り万両」と言って、損切りは身を切られるほど辛いですが、とても重要です。

人生、潔さも時には必要です。

しかし、いくら調べても良い会社のデータしか出てこない場合もあります。

その時は、どうすれば良いでしょうか。

その時は、腹をくくって長期保存です。

経済の原則は、自然科学の原則に似ています。

中間子の存在がなかなか認められなかった湯川博士が晩年のエッセイで、「現実のほかにどこに真実があるかと問うなかれ、真実はやがて現実となるのである」と言っているではありませんか。

長期的には良い会社の株価は上がります。

突発事件が起こって株価が下がった場合は、その対応は少し複雑です。

会社側の不祥事で起こった場合は、不祥事の内容にあります。

その内容が悪質な場合には、傷口を広げないためにも即座に売却すべきです。

悪質な会社は、一時的にどのように成功していても、いつか必ず躓きます。

社会の役に立たないような会社は、長い風雪には耐えられません、共に沈没するのは避けましょう。

避けられない事故やそれほど悪質とは思われない不祥事の場合は、業績がしっかりしているなら保持ということになります。

たとえ、一時的に株価は下がってもまた盛り返して来るでしょう。

米国で起こったトヨタ車の事故の事件とエアバッグの最大手だったタカタの事故隠しの事件などは、これらの好例になります。

2009年から2010年にかけてトヨタ自動車により北米や日本などで大規模なリコールが行われました。

米国でトヨタ車を運転中に発生した急加速事故について、原因がトヨタ車にあると言われ、その原因調査が米国運輸省で行われました。

この騒動は、「トヨタ・バッシング」とも呼ばれ、一種の日本たたきでした。

結局、2011年に米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)による最終報告で、トヨタ車のアクセルの材質に不具合はあったものの、電子制御装置に欠陥はなく、急発進事故のほとんどが運転手のミスとして発表されました。

調査の過程で、米国議会の公聴会に豊田章男社長自らが出席し説明をしていた姿を見て、その真剣な姿に何かひたむきさのようなものを感じたものでした。

トヨタは蘇るだろうとその時に確信しました。

一方、タカタは2015年NHTSAから、自社のエアバッグの欠陥のリコールや情報開示を行わなかったとして最大2億ドルの民事制裁金を科されました。

NHTSAが一社に科す制裁金としては過去最高額にのぼります。

この時点でもタカタの対応は、呑気としか思えませんでした。

制裁金、リコール費用、訴訟費用などが巨額に膨らむ可能性があり、会社存続の危機を迎えていたのですが。

さらに、最大顧客であるホンダが、今後はタカタ製インフレーター(膨張装置)を使わない方針を表明し、続いてマツダや富士重工業なども続き、タカタは2017年に経営破綻しました。

バリュー投資

バリュートラップにかかりやすいのは、バリュー投資家だろうと思います。

バリュー投資家はどうしてもPERやPBRの低い銘柄を選びますから、少し選択の幅をもたせたりするとバリュートラップにかかりやすい銘柄を選ぶ傾向が高くなります。

初心者の場合はこの経験から、バリュー投資は儲からないと思いやめてしまうか、成長株投資の方に移っていく場合が多いようです。

しかし、成長株投資は巷で言われているほどうまくはいかず、特に銘柄の選択はもっと難しくなります。

低いPERやPBRの銘柄の中には、総合的に判断すれば本当に割安の銘柄が必ずあります。

また、元々が割安なので、購入時以上に大きく下がる可能性も少なく、成長株投資よりはずっと安全で初心者向きな投資になります。

日本では、ウォーレン・バフェットのような有名なバリュー投資家がいないので、バリュー投資家が育たないのは残念なことです。

最後に

バリュートラップは、株式投資を長く続けている人なら誰もが経験することです。

その時にどのような態度をとるかということが、その後の投資人生に大きな影響を与えます。冷静に状況を判断して、うまくバリュートラップを乗り越えてください。(提供: The Motley Fool Japan


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。