相続の対応実務から取引深耕までを解説
(画像=PIXTA)

お客様から、自身が亡くなると預金が下ろせなくなり妻が困るのではないかと聞かれました。どう答えればよいですか。

金融機関では、お客様(契約者)の死亡を知ると、まず死亡登録および支払停止登録を行う。これは契約者の死亡を知りながら特定の相続人に契約者の預金を払い戻した場合、後日他の相続人や受遺者からクレームがあると「二重払い」のリスクが生じるためである。

一方で、相続人からすると、預金が払い戻せない場合、被相続人の葬儀費用の支払い、相続人自身の生活資金、被相続人が残していった相続債務の返済などができなくなってしまう。

このような事態に対応するため、金融機関によっては被相続人の死亡確認、資金使途の必要性などを確認のうえ便宜扱いとして払戻しを行うところもある。また後述する最高裁決定前は、相続人の法定相続分の範囲内で預金払戻し請求に応じる金融機関もあった。

しかし、平成28年12月19日の最高裁大法廷で「預貯金も遺産分割の対象となるものと解するのが相当である」という従前の判例を覆す決定がなされた。つまり、相続人の一人から相続預金の払戻請求があっても、相続人全員の同意や遺産分割協議書等がない限り、払戻しができなくなったわけだ。

もっとも、相続人全員の同意を得るには時間がかかることも多く、相続人が喫急に資金が必要な場合、困ってしまう。そこで今回の相続法改正で「預貯金の仮払い制度」が創設された。

家庭裁判所に申立てを行う方法もあるが…