銀行の融資攻勢や低金利に支えられた不動産投資ブームも、金融庁の締め付けもあってようやく一服しつつあります。最近は投資価格を低めに抑えられて利回りも高い中古物件が注目されている傾向です。ただし中古物件は特有のリスクを抱えているケースが多く、投資に当たっては充分注意しなければいけません。

この記事では、中古物件のリスクを解説すると同時に、そもそも「中古が本当にお買い得」なのか、改めて検証してみます。

中古物件の営業マンは「お買い得」がセールストーク

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(写真=Just dance/Shutterstock.com)

築年数が経った木造アパート・中古の鉄筋コンクリートマンション・古家に近い戸建てが利回り面から一部投資家の注目を集め、これらを取り扱った書籍や経済紙の記事も多く見かけます。最近はWEBでの掲載も充実し、条件を入れれば中古賃貸物件を探し出すことも簡単です。中古物件の営業マンが使うセールストークで多いのが以下のような2つの内容になります。

・中古物件はお買い得
・安い家賃でも短期間で投資を回収できる

ただし家電や自動車と同じで、中古物件を買うときには気を付けなければいけない点がいくつかあります。

中古が抱える健康上・安全上のリスク

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(写真=Just dance/Shutterstock.com)

ここでは、中古物件が抱える代表的なリスクを3つ紹介します。物件価格が安いからといってこれらのリスクを抱える物件に手を出すと、「入居者も見つからずリセールもできずローンも返せない」最悪の事態を招きかねません。

アスベスト

アスベストは耐熱性・耐久性・耐薬品性・絶縁性などに優れ、かつ安価であることから広く建築部材として使われてきました。ところが2005年にクボタの旧神崎工場で大規模な健康被害(肺がん・中皮腫)が発覚し、2006年に使用が全面的に禁止されました。一方で禁止前の中古物件にはアスベストが多く使われている可能性もおおいにあります。

2019年7月時点では野放し状態ですが、今後は解体・回収に当たって届出義務が課されると同時に、飛散防止に関する規制も強化されそうです。当然これらはコスト要因であり、そうでなくてもアスベスト含有物件は入居者から敬遠されます。

耐震性

1981年建築基準法改正により耐震基準は大幅に強化され、震度7レベルの大地震でも倒壊を防げる水準にまで引き上げられました。実際阪神淡路大震災で、新耐震基準で建築された建物は倒壊を免れたとされています。改正前に建築確認を受けてその後に耐震補強を施していないような賃貸物件は、入居者からも嫌われがちです。

郊外の造成地

中古物件は、郊外の造成地に立地する物件も少なくありません。造成は丘陵地や傾斜地を平たんにするため切土・盛土と埋め戻しを繰り返すので、どうしても地盤は軟弱になりがちです。そのため購入前の地盤チェックは必須になります。

中古アパートが安いのは安いなりの理由がある

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(写真=Just dance/Shutterstock.com)

たとえ健康・安全面でリスクを抱えてないにせよ、格安の中古物件にはそれなりの「ワケ」があります。例えば以下のような物件は当然入居者からも敬遠されます。

・みすぼらしい外観
・古く薄汚れた部屋
・収納の少なさ
・旧式の給湯設備やキッチン
・日当たりの悪さなど

「中古物件だから家賃を下げても採算は確保できる」と安易に考えがちですが、中古不動産投資はそれほど単純ではありません。家賃を下げれば集まってくる入居者の質は下がり、住民同士のトラブル・家賃滞納などが高まる可能性もあります。「あそこの住民はガラが悪い」といううわさが広まれば、ますます入居者を遠ざけてしまうでしょう。

低家賃の物件は、入居者を紹介する仲介業者にも嫌われがちです。紹介料が安いうえに、周辺の家賃相場を引き下げかねないからで、業者も積極的には紹介しません。ビジネスは、「何が顧客の利益につながるか」を考えることが最優先事項で、それは賃貸経営も同じです。いくら家賃が安くても、古くて汚くて健康・安全面が懸念されるような賃貸物件が入居者の利益につながるでしょうか。

多少家賃が高くても、入居者が快適に暮らせる「喜ばれる」住まいを提供する、それが賃貸物件オーナーの使命なのかもしれません。(提供:Braight Lab

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