ライナスです。

今回は効率的市場仮説について書いていきます。

【米国株】高収益銘柄で作るポートフォリオ

市場
(画像=Getty Images)

効率的市場仮説とは…

アメリカの経済学者であるユージン・ファーマ氏が提唱した仮説で、「市場は効率的に様々な情報を織り込み、適正な値付けがされている」と言うもの。

もっと噛み砕いて言えば、「あなたが知っていることはみんなも知っているから、その材料は既に株価に反映されていて、今後の値動きに影響するものではないよ。」と言った感じでしょうか。

耳タコなワード?

よく短期売買やキャピタル狙いの個別株投資において引き合いに出されるネタだと思います。

インデックス投資でも耳にするワードかもしれませんね。

例えばこの理論に基づいて、市場を出し抜こうとしても無駄なので、「短期売買でゼロサムゲームに参加するのは市場の養分」だとか、「『イケてると思える情報を入手したのでこのグロース株は絶対儲かる!』なんて自分の分析や勘を正当化するのは馬鹿げている」とか。

そこから、「長期投資で企業や経済の成長に合わせ株価があがる(あるいは配当を受け取る)のが正義ですよ」とか「個別株投資よりもインデックス投資で市場平均を取るのが最適解の一つですよ」と言う理屈に繋がっていくわけです。

妄信していませんか?

経済学の本や投資本、Wikipediaなどで効率的市場仮説について調べている方はそんなことはないと思いますが、昨今の米国株ブームに影響されて米国株を始めた方の中には、勘違いしたまま妄信している方がいるのではないでしょうか。

まず前提として、これは「仮説」であるということです。

この研究自体、経験則のようなもので、完全性について実証しているというわけでも、常に効率性を保証しているわけでもありません。

効率的市場仮説には3種類あります。

  • ウィーク:公開された「過去の情報」が織り込まれている
  • セミストロング:公開された「過去と現在の情報」が織り込まれている
  • ストロング:非公開情報も含めあらゆる情報が織り込まれている

ストロング型が成立するならば、あらゆる株はインサイダー取引の嵐と言うことなので、そもそも健全な市場ではなくなってしまいます。

テクニカル、ファンダメンタルズなどのあらゆる分析は意味をなさなくなりますが、市場参加者全ての人がインサイダー情報を取り込めているわけではないのでコレは現実的には不可能でしょう。

冒頭で書いた「市場を出し抜こうとしても無駄」と言う理屈から見れば、およそセミストロング型を表しているのだと思います。

ストロング型が実現不可能だとして、あなたはセミストロング型の効率的市場仮説によって株価は値付けされているな…と感じますか?

市場が効率的とは思えない

主義主張には個人差があると思いますが、私は現代の市場は非効率であると思っています。と、言うより昔と比べ非効率になっていってると思っています。

こう考える理由として、我々個人投資家の多くは非効率な取引をせっせとしていることが多いからです。私も含めて、です。

昔は投資のハードルが高く、機関投資家を含めた情報に長けた人たちが市場の主役だったかもしれません。

これは今でも変わらず、市場の主役は個人より機関投資家なのかもしれませんが、当時よりは個人投資家の数は増えていることでしょう。

個人投資家にも情報に長けた効率的な人がいるかもしれませんが、非効率な人も多く存在しています。

株価に大きな波がある度に、SNSなどで勝利の快哉と後悔の長嘆が聞こえてくることでしょう。

これは「決算ギャンブル」や「利下げギャンブル」など、不確かな情報…正しく言えば「推測」すら織り込もうとしていることに加え、その推測を信じるか否か、信じたとしても捉える重みが個人により異なるわけです。

つまり、本来は「公開された過去と現在の情報が織り込まれている」ことがセミストロング型の効率的市場仮説なわけですが、公開されていない不確かな「未来の情報」まで「効率的に織り込もうとする」ことが非効率に繋がっているのではないか、と感じています。

こうした非効率な存在が増えていく中で、本当に効率的な市場を保てているのか甚だ疑問です。

シーゲル流長期投資家の矛盾

私も一時、中途半端な理解で効率的市場仮説とシーゲル流投資を妄信していた時期がありました。

その頃の私は「市場は効率的だから出し抜こうとしても無駄」と主張しつつ、「過去に倣えば永続する高配当銘柄を割安で買い、配当を再投資をすれば市場にアウトパフォームできる」と矛盾した主張をしていました。

ウィーク型の効率的市場仮説では「公開された過去の情報が織り込まれている」はずなので、過去の分析から未来の勝利を得ることができないとされています。

シーゲル教授の理論は過去の事実を述べただけで、未来を保証したものではありません。

そしてウィーク型の効率的市場仮説を信じるのなら、過去の事実として公開されているシーゲル流の銘柄たちは、その優位性も既に株価に織り込まれているので、未来において有利になりえないわけです。

しかし未来は正確に予測できないことから、多くの金融理論や投資戦略は経験則に頼らざるを得ず、一つの主張として参考に留める人もいれば、独り歩きした理論に妄信し、過去の私のように矛盾した投資哲学を展開してしまうこともあるのでしょう。

ライナスは市場平均に勝てる?

このように効率的市場仮説に否定的な主張をすると、「自分は市場を出し抜ける投資家だ!とでも言いたいのか?」思われそうですが、残念ながらそうではないです。

私は個別株投資をしていますが、「同じタイミングで購入したVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)」にアンダーパフォームしていることが多いです。

これはまさに私自身が「非効率な投資家」の一人であるためです。

こういう非効率な存在と効率的な存在がある程度拮抗し、収束していくことで効率的な(評価の上振れも下振れも常に織り込んで)市場ができる…と言う意味では市場は効率的なのかもしれませんね。

でもこれは後出しジャンケンみたいなものだと思います。

特定の情報に対して、例えばネガティブな情報に対しては即座に織り込まれ、それだけで出し抜くのは不可能だと思います。

ただ、そこに対しての判断を行っているのは人間です。

最近ではAIも取引をしているようですが、AIは新たな発想を生み出すものではありません。

過去の経験則、プロの知識や理論を基に「学習した情報から判断する」ものに過ぎないのです。

噛み砕いて言えば「かなり博識で頭の回転もよく、常に働き続ける人」みたいなものでしょう。

前述の通り、人が判断する以上それは不正確である程度は効率的であり、同時に非効率でもあります。

例えば私が保有する銘柄では、先日アラガン買収で株価が急落したアッヴィ(ABBV)なんかがいい例かもしれません。

一気に十数パーセント下落しましたが、翌日からグイグイ上げました。

結局買収の発表当日が短期的な底で、そのニュースを織り込んで考えて売却した何人かは損をしているわけです。

もちろん、今後長期的に見れば上がるか下がるかは不明ですから、その後の上げで購入した人が損する可能性もありますけどね。

まとめ

投資の勉強している方はここまで読んで「何を当たり前のことを」と思った方も多いかもしれませんね。

そもそも効率的市場仮説は一つの理論であって、この仮説を推す人でも「絶対の理論である」とまで主張していない場合もあります。

しかし昨今、初心者向けの投資本やブログには効率的市場仮説を引き合いに出し、これが他の理論を知らないとある程度納得感のある理屈であることから、これこそが絶対の理論である!と思い込んでいる初心者の方が一定数見受けられます。

もちろんコレは主義の問題なので、初心者だろうがベテランだろうが、効率的市場仮説こそ絶対の理論!と信じる方はそれで構いません。

己の信じるポリシーを貫けば良いと思います。私に否定はできません。正解は未来で待っています。

ただし、「色々な理論も調べた上で、自分にとって納得感あるものを選んでね」とだけ言わせてください。

最初に1個の理論だけを信じて投資ルールを作ってしまうと、視野が狭くなりがちです。

膨大な情報が広がる投資の世界では己の信じる道を進めども、常に選択肢は頭の片隅に置いておくべきだと思っています。

それでは今回はこの辺で。明日は大吉!(提供: The Motley Fool Japan


フリーレポート配信
モトリーフールの日本進出にあたって日本の投資家、また、これから投資を始めたい方に向けて無料で「株式投資にどう臨むか -スペシャルフリーレポート-」を配信しております。

また、テクノロジー分野に投資したい投資家として知っておくべき情報も無料で配信しております。「人工知能というテクノロジーの「第三の波」が、日本の年間GDP以上の付加価値を生み出す」こちらからご覧ください。

ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。公式ツイッターアカウント@motleyfooljp公式フェイスブックアカウントをフォローする。


記事の筆者ライナス@米株仮面は、ビザ株、マスターカード株、マイクロソフト株、アップル株、アルファベット株、ジョンソンエンドジョンソン株、ファイザー株、アムジェン株、アッヴィ株、コカコーラ株、P&G株、ブリティッシュアメリカンタバコ株、マクドナルド株、AT&T株、USバンコープ株、アメリカンステーツウォーター株、ユニオンパシフィック株を保有しています。