自分の会社の退職金がどのように支払われるのか、理解していますか?長く働いている人の中には、途中から会社の退職金制度が変わってしまったという人もいるのではないでしょうか。老後のために備えておきたい、退職金と確定拠出年金について解説します。

自分の会社の退職金について、どのくらい理解している?

確定拠出年金,企業型DC
(写真=Tashatuvango/Shutterstock.com)

退職金の支払い方法には、大きく分けて一括で支給される「退職一時金制度」と、年金として受け取れる「退職年金制度」の2種類があります。そこから枝分かれして、企業によって受け取れる年金の種類が異なることをご存じでしょうか。

退職一時金制度と退職年金制度を併用する企業、どちらか単一の制度を採用する企業と、その形態はさまざまです。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」では、退職給付制度がある企業は全体の80.5%で、うち退職一時金制度のみが73.3%、退職年金制度のみが8.6%、両制度併用が18.1%という調査結果がでています。

退職一時金制度、退職年金制度のいずれの支払い方法も見直す企業が少なからずあり、新たな制度に加入したり、他の制度へ移行したりすることもあるようです。今勤めている会社の退職金制度がどのような状況なのか、知らない場合にはあらためて状況を確認したほうがよいでしょう。

退職金制度の種類

退職金制度には、運用の方法などによって、「厚生年金基金」「確定拠出年金(企業型DC)」「確定給付企業年金(DB)」などがあります。

厚生年金基金は、加入することで公的年金である厚生年金にプラスして受け取れるものです。確定拠出年金(企業型DC)は、企業が掛金を拠出して従業員自身が年金資産を運用するため、運用成績によって退職金や年金が変動します。確定給付企業年金(DB)は、従業員が受け取る給付額があらかじめ約束された年金制度で、運用は会社の責任のもと行われるのが特徴です。

確定拠出年金(企業型DC)と確定給付企業年金(DB)の違いは?

確定拠出年金(企業型DC)と確定給付企業年金(DB)の大きな違いは「給付額が決まっているかどうか」にあります。前述の通り、企業型DCは、従業員自身が拠出金を運用することで、将来受け取れる年金を増やせる可能性があります。

DBは、将来受け取れる退職金・年金があらかじめ決められています。退職金が減少することも増えることもない退職金制度です。

拠出金運用の責任の所在にも違いがあります。企業型DCでは、運用による損失も利益も従業員の責任です。DBでは、企業が運用を行い、その責任も企業が負います。万一運用で損失が出た場合でも、従業員が受け取る年金額に変更はありません。

しかし、運用による損失で積み立てがうまくいかなかった場合には、受給者への年金の支払いに経営が圧迫されてしまうことがあります。

確定拠出年金(企業型DC)と確定給付企業年金(DB)の違い
確定拠出年金(企業型DC) 確定給付企業年金(DB)
掛金の拠出 会社 会社
運用の責任 従業員 会社
メリット ・いつでも年金資産の残高の確認ができる
・勤続3年以上なら受給額が減額されない
・自身のDC資産を管理するだけで済むため、その他の従業員の資産運用リスクを負わない
・資産運用は会社が行うため、資産管理を行う必要がない
・将来受け取れる額が分かっているのでライフプランを立てやすい
・老後の安定収入になる
デメリット ・運用は自己責任で損失が出る可能性もある
・価格変動があるため将来受け取れる年金額は見込みでしかない
・中途退職時点で受け取れない(受給は原則60歳から)
・勤続年数に関わらず、給付減額の可能性がある
・会社側が積立不足で年金に圧迫されると、現役の従業員の給与が減る可能性がある

企業型DCにおけるライフプラン選択金とは?メリットは?

企業型DCは会社が掛金を拠出する制度ですが、決められた範囲内ならば従業員自身が掛金を追加拠出することもできます。もしあなたの会社の退職金制度が企業型DCであれば、賢く利用して将来受け取れる年金の額を上手に増やしていきましょう。

また、企業型DCには選択制DCもあります。企業が退職金制度として選択制DCを採用しているのなら、自分はどれを選択しているのかあらためて確認してみましょう。

選択制DCとは、退職金を給与として前払いで受け取るか、企業型DCに拠出するか従業員が選択できる確定拠出年金です。さらに、企業側が負担する拠出金を全額年金に拠出せず、ライフプラン手当として受け取ることもできます。

退職金を前払いするか、拠出するか選択する場合

退職金を前払いで受け取ると、企業型DCにおける税制上のメリットがなくなります。企業型DCの拠出金は非課税ですが、給与として受け取ることで各種税の対象となります。また、手取りが増える分社会保険料の負担も増す可能性があります。

しかし、退職金を前払いで受け取った場合は、社会保険料が上乗せになった分「将来受け取れる厚生年金が手厚くなる」というメリットも含んでいます。手取りが増えるのも利点でしょう。

ライフプラン選択金を選んだ場合

ライフプラン選択金を受け取るようにすると、給与や賞与の一部をライフプラン手当として受け取れます。ライフプラン手当は、その活用方法を従業員自身が選択できます。ライフプラン手当を全額給与とともに受け取れるのはもちろん、そのうちの一部を確定拠出年金に活用できるのがメリットです。

企業型DCは、一度選択すると60歳の年金受取時まで現金の引き出しができません。そのため、老後よりも今の生活を充実させたい人にとってはメリットが少なく感じられるでしょう。しかしライフプラン選択金を選ぶことで、現在の収入と老後の蓄えを自分なりにバランスよく行えるようになります。

退職金の形を知ったうえで、将来に備えた資産運用を計画

このように、退職金にはさまざまな形があります。将来に備えるために、まずは勤めている会社がどのような退職金制度を採用しているのか確認してみましょう。それによって、備える方法にも違いが出ます。

DBであれば、将来確実に入る年金を計算しつつライフプランを練ることができるでしょう。一方企業型DCであれば、拠出金を利用した運用を始めるとともに、ライフプラン選択金など加入している企業型DCの特性をいかした活用方法も考えてみましょう。(提供:ANA Financial Journal