2018年のIPOでは、将棋ウォーズで有名なHEROZ(ヒーローズ)<4382>がマザーズ市場に上場し、初値が公募価格の10倍を超えて過去最高となりました。IPOで初値が大幅上昇する銘柄にははっきりとした傾向があります。しっかりとその特徴を分析してIPO投資の戦略を立てましょう。

2018年IPOの勝率は約9割、平均上昇率は約2倍

IPO投資,大幅上昇,銘柄の特徴
(写真=Stuart Monk/Shutterstock.com)

2018年はIPOが89件ありました(TOKYO PRO Market、札証アンビシャスを除く)。IPOの初値の勝率は、79勝9敗1分けで89%でした。初値上昇率は単純平均で2.1倍と公募価格から倍以上になっています。IPO神話は健在です。

初値上昇率のトップはHEROZ<4382>の10.9倍。これは別格としても、トップ5は以下、SNS分析でコンサルティングするアジャイルメディア・ネットワーク<6573>が5.2倍、サブスクリプションプラットフォームを提供するビープラッツ<4381>が4.5倍、業務用食材や厨房機器のオンライン市場のMマート<4380>が4.3倍、放射光用ナノ集光ミラーのジェイテックコーポレーション<3446>が4.3倍と大きく上げた銘柄が目立ちました。

ワースト5は、ポート<7047>がマイナス37%、自律制御システム研究所<6232>がマイナス17%、Delta-Fly Pharma<4598>がマイナス8%、キュービーネットホールディングス<6571>がマイナス6%、ワールド<3612>がマイナス5%でした。

初値大幅高銘柄はマザーズの小型成長企業

初値が大きく上がる会社は、高成長イメージを持った企業です。新たな市場を開拓するビジネス、次世代テクノロジーで既存の事業を変革していくようなビジネスを手がける企業です。業種で言うと、IT系、WEB系、情報通信系、テクノロジー系などの会社が多くなります。

現在、特に注目されるキーワードには、AI(人工知能)、ビッグデータ、IoT、シェアリングエコノミー、サブスクリプションモデルなどです。さらに、時価総額や上場時の売出し株数(市場調達額)が少ない小型銘柄は人気化する傾向があります。2018年初値が大きく上昇した銘柄はほとんどこの条件を満たしています。

HEROZは、将棋の名人に勝ったという将棋AI「Ponanza(ポナンザ)」の知名度の高さに加えて、世界的に注目されているAI分野で日本企業としては初めての専業会社であることが人気を押し上げたのです。

人気はマザーズ銘柄

マザーズ市場のIPOの人気が圧倒的です。マザーズはそもそも、成長や拡大が期待される分野の企業や、現在がたとえ赤字でも優れたビジネスモデルを有し成長の可能性が高い企業などが、比較的簡単な条件と審査で上場できるように設立された市場だからです。ちなみに2018年のIPOの初値倍率ランキングでは、1位から14位までをマザーズ銘柄が独占しています。

VC比率が高い銘柄は人気化しない?

小型成長株でも注意しておきたいのは、大株主です。大株主にベンチャーキャピタル(VC)が多い会社は、人気化しづらい傾向があります。VCはあくまでも投資として出資しているので、いつかは必ず株を売るからです。2018年のIPOでマイナスランキング上位のポートは就活サイト運営、自律制御システム研究所はドローン専業のマザーズ銘柄ですが、初値がマイナスとなったのにはVC保有比率が高かったことも影響しているかもしれません。

上場日にも注意

またもう一つ重要な点は、上場日です。ポートと自律制御システム研究所はともに2018年12月21日の上場です。前日20日のNYダウは464ドル安と急落していました。日経平均は前日20日に595円安と急落しており、21日も226円安でした。市場心理が最低な日のIPOだったのです。

2018年12月はNYダウが月間で1,777ドル安(6.7%)、日経平均は2,336円(10.5%)安、マザーズは199ポイント(19.7%)安と急落していました。個人投資家の多くは評価損を抱え、信用の追い証なども入りはじめ、既存のポジションを整理するのに精一杯な状態でした。ポートと自立制御システム研究所のIPOが公募価格割れとなったのには、このような背景もありました。

このように、初値が上がるIPOの条件を分析することで人気化しそうな銘柄はある程度予想できます。 しかし、人気銘柄はなかなか当選するものではありません。なにか他にIPO投資の戦略はないでしょうか?

IPOはセカンダリー投資も有効

上述の公募価格割れの930円が初値だったポートは、19年に入ってその後一時1,540円まで上げました。自律制御システム研究所も公募価格割れの初値2,830円からその後一時5,430円まで上げました。株式市場の急落時に安く寄り付いた銘柄は、もしかしたら逆に買いのチャンスなのかもしれません。

また、公募価格割れでなくても、IPO後の初値から大きく上げる銘柄はたくさんあります。IPO銘柄を上場後に投資する事をIPO銘柄のセカンダリー投資といいます。IPO投資を考えているのならば上がる銘柄を分析し、公募株が当たらなくても上場後のセカンダリー投資を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。ただIPO後に大きく下げる銘柄もあるので銘柄分析は慎重に。(提供:ANA Financial Journal

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