住宅ローンには保証料の負担がつきものだったが、最近は「保証料無料」というローンも増えている。そもそも保証料とは何なのか、なぜ無料が増えているのか。住宅ローン選びに当たって、保証料の有無をどうとらえればいいのか、保証料無料だから選んでいいのかなど、住宅ローン選びに失敗しないための保証料について解説する。

住宅ローンの保証料って何?

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(画像=PIXTA)

住宅ローン制度が始まった頃は、ローン契約に当たっては連帯保証人を立てることが不可欠だった。契約した本人が収入の減少、病気、ケガなどで返済できなくなったとき、連帯保証人が本人に代わって返済する仕組みだ。

しかし、住宅ローンという高額な借金の連帯保証人になると、万一の際には連帯保証人も家庭崩壊の危機に陥る。そのため、友人、知人などの第三者にはなかなか頼めず、どうしても叔父、叔母、兄弟などの親族に依頼することになる。とはいえ、高額な借金の肩代わりは簡単ではないので、親族でもなかなか連帯保証人になってもらえないのが現実だった。それが、住宅ローンの普及の大きな障害になってきた。

「保証人」から「保証会社」への移行が進む

そこで、金融機関は連帯保証人に代わって債務を保証する「保証会社」を関連会社として設立。住宅ローン契約者が保証会社に一定の保証料を払い込むことで、債務を保証するようにした。つまり、契約者が返済不能に陥ったときには、この保証会社が金融機関に対して代位弁済を行い、住宅ローンの債権は保証会社に移行し、保証会社が契約者から債務の取り立てを行うようになる仕組みだ。

契約者からみれば、債権者が金融機関から保証会社に代わるだけで、もちろん債務が免除されるわけではない。むしろ、保証会社は金融機関より厳しい取り立てを行うのがふつうなので、任意売却などの売却代金で穴埋めして、残った債務を分割して支払うなどといった悲惨なケースに陥ることが多い。

個人的に連帯保証人を立てる必要はなくなる

つまり、延滞が続いて代位弁済などになると、契約者は自宅を失う上に、残った債務を返済しなければならない厳しい事態に陥る。保証会社が保証してくれるといっても、保険のように契約者の生活を保障してくれるのではなく、債務を保証するだけなので、その点は明記しておきたい。

ただ、この保証会社に保証を依頼することによって、契約者本人が個人的に連帯保証人を立てる必要はなくなる。住宅ローンの利用に当たっては、連帯保証人の確保が最大のネックになっていただけに、この保証会社による保証制度によって住宅ローンが飛躍的に借りやすくなって、住宅ローン市場の拡大につながったといわれている。

住宅の保証料の相場

このように、保証会社は万一のときには住宅ローンの契約者に代わって責任をとらなければならないため、保証料は決して安くない。

金融機関にもよるが、大手銀行の例をみると、保証料は図表1のようになっている。返済期間や返済方法、その人の信用力などによって保証料は変わってくる。当然のことながら、信用力が高い人ほど、そして、返済期間が短いほど保証料は安くなり、また元利均等と元金均等では、元金均等のほうが若干安くなる。

これは、1000万円当たりの保証料なので、借入額が3000万円ならこの3倍、5000万円なら5倍ということになる。 たとえば、返済期間35年の元利均等で5000万円借り入れるとすれば、20万6110円の5倍で、保証料は最低103万550円ということになる。 この数字は、最も信用力の高い人に適用される最低水準の保証料であり、年収が低い、勤続年数が短いなどのマイナス要素があれば高くなってしまうので、その点を考慮しておく必要がある。

図表1 一括外枠方式の保証料の例(1000万円当たり)
返済期間 元利均等返済 元金均等返済
5年 4万5800円~ 4万3060円~
10年 8万5440円~ 7万6060円~
15年 11万9820円~ 10万2100円~
20年 14万8340円~ 12万2770円~
25年 17万2540円~ 13万9300円~
30年 19万1370円~ 15万2750円~
35年 20万6110円~ 16万3720円~

(資料:みずほ銀行ホームページ

住宅ローン保証料の支払い方法は2つ

保証料は決して安くないので、住宅ローンの契約時にこれを一括払いするとなると、けっこうな負担になる。上でみたように5000万円のローンだと100万円を超える保証料がかかってくるのだから、資金計画に大きな影響が出てくる可能性もある。 そこで、契約時に一括して支払うだけではなく、毎月の返済と同時に分割して負担する制度も用意されている。

一括外枠方式

住宅契約時に保証料全額を一括して支払うのが、「一括外枠方式」。毎月の住宅ローン返済とは別に、つまり住宅ローンの前払いとして一括して支払う方式になる。

その保証料は金融機関、保証会社によって異なるが、メガバンクの例としては先の図表1を挙げることができる。たとえば、借入額3000万円、35年元利均等返済だと、最低必要額は20万6110円の3倍の61万8330円となる。この返済期間を30年に短くすれば、57万4110円に、25年にすれば51万7620円に減少する。

また、元金均等にすれば35年返済でも49万1160円に、30年返済では45万8250円、25年返済では41万7900円に減る。 返済計画の立案に当たっては期間、返済方法などによって保証料がかなり違ってくることも考慮しておくといいだろう。

分割内枠方式

「一括外枠方式」に対して、「分割内枠方式」もある。これは、毎回の返済額と合わせて分割して保証料を支払っていく仕組み。契約時に一括支払いの負担がなくなるのは、諸経費の節約になって契約を立てやすくなる反面、毎月の返済額が重くなるという問題が出てくる。 この「分割内枠方式」を利用する場合、適用される住宅ローン金利に0.2%の上乗せになることが多い。 たとえば、0.625%の金利で、「分割内枠方式」を選ぶと、金利は0.825%になるわけだ。

一括と分割ではどちらがお勧め?

契約時に一括外枠方式で支払う場合、分割内枠方式で毎月支払う場合、どちらが得なのか、一括払いと分割払いの総負担をいくつかの条件で試算してみよう。

まず元利均等・ボーナス返済なし・金利1.0%という条件で、3000万円を35年返済で借りる場合を想定する。一括外枠方式だと、図表2の①にあるように保証料は約62万円で、毎月返済額は8万4685円で、35年間の総返済額は約3557万円。当初の一括払いする保証料と合わせると総支払額は約3619万円になる。

それが、分割内枠方式だと、当初の保証料はかからないものの、金利は1.2%に上がって、図表2の②にあるように、毎月返済額は8万7510円に増える。その結果、35年間の総返済額は約3675万円だから、一括外枠方式の総支払額より56万円多くなる。 つまり、当初の負担が多少重くなっても、一括払いするほうがかなりお得になるわけだ。

図表2 外枠方式と内枠方式の保証料の比較
設定条件:借入額3000万円、元利均等・ボーナス返済なし

①一括外枠方式(金利1.0%)

返済期間 1000万円当たり保証料 保証料① 毎月返済額 総返済額② 総支払額(①+②)
10年 4万5800円 約14万円 26万2812円 約3154万円 約3168万円
15年 8万5440円 約26万円 17万9548円 約3232万円 約3258万円
20年 11万9820円 約36万円 13万7968円 約3311万円 約3347万円
25年 14万8340円 約45万円 11万3061円 約3392万円 約3437万円
30年 19万1370円 約57万円 9万6491円 約3474万円 約3531万円
35年 20万6110円 約62万円 8万4685円 約3557万円 約3619万円

②分割内枠方式(金利1.2%)

返済期間 毎月返済額 総返済額
10年 26万5424円 約3185万円
15年 18万2199円 約3280万円
20年 14万661円 約3376万円
25年 11万5798円 約3474万円
30年 9万9272円 約3574万円
35年 8万7510円 約3675万円

返済期間が短いと差は縮小する

返済期間が短くなっても、やはり一括外枠方式のほうが総支払額は少なくてすむのだが、その差は縮小する。

返済期間25年をみると、一括外枠方式の総支払額は約3437万円に対して、分割内枠方式では約3474万円だから、その差は37万円。さらに、返済期間10年だと、一括外枠方式で約3168万円に対して、分割内枠方式は約3185万円、その差は17万円に縮まる。

このように、一括外枠方式のほうが得は得なのだが、そこは考え方による。返済期間10年であれば、当初に支払う保証料約14万円を手元に残しておいて資金運用すれば、利回り1%なら10年で約15万円に、2%なら約17万円に、そして5%なら約23万円に増える。9万円のプラスであり、差額の17万円を埋めるほどにはならないが、それでも手元に一定のお金を残しておける安心感があるし、この程度の差なら、分割内枠方式でもいいかという考え方もあるだろう。

どちらがいいのか、自分たちの条件に合わせて検討していただきたい。

住宅ローンの保証料は必ずかかるわけではない

最近は「保証料無料」とする金融機関が増えつつある。たとえば、住宅金融支援機構と民間提携のフラット35では、原則的に保証料は無料で、一般の住宅ローンでも、ネット銀行などのように保証料を無料とするところが多い。

保証料がかからない金融機関の住宅ローンは難易度が高い

ただ、保証料無料にすると、金融機関はローン延滞やローン破綻などのローン事故が発生するリスクを自分でとらないといけなくなるため、審査を厳しくする傾向がみられる。その人の返済能力などをより慎重に吟味して、保証会社の保証を使わなくて大丈夫と判断できないと融資を出すことはできない。チェックの目が厳しくなるは当然のことだろう。

そのあたり、実際にどう厳しくしているのか、その内容については非公開のところが多いが、たとえば、ネット銀行のなかには利用者の条件として「年収400万円以上から」としているところがある。メガバンクなどでの保証料がかかるローンでは、原則的に200万円からOKなので、かなりハードルは高くなる。 さらに、審査基準として、同じ会社での勤続年数を引き上げるといった金融機関もある。

保証料が必要・不要な金融機関一覧

実際に、保証料を無料とする金融機関にはどんなところがあるのだろうか。最もよく知られているのは、先ほども触れたフラット35(買取型)だろう。現在、フラット35(買取型)は大手銀行から地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などのほか住宅金融専門会社などもあって、取扱会社は300社を超えているが、どの会社で申し込んでも保証料無料という点は変わらない。民間金融機関が消費者に融資した債権を住宅金融支援機構が買い取る仕組みで、実質的に住宅金融支援機構が保証していることになり、保証料の支払いが不要になるわけだ。

そのほか、保証料がかかる金融機関、そうでない金融機関は以下のようになっている。

図表3 保証料がかかる金融機関とかからない金融機関の例

★保証料がかからないローン
・フラット35

★保証料がかからない金融機関
・ネット銀行
 例:ソニー銀行、住信SBIネット銀行、楽天銀行
・新興の銀行
 例:イオン銀行

★保証料がかかることが多い金融機関
・大手銀行や地方銀行
・信用金庫・信用組合
・労働金庫など
(ただし、融資手数料型のローンは保証料がかからない)

保証料が無料という理由だけで住宅ローンを選んではいけない2つの理由

保証料が無料になるということだけで住宅ローンを選ぶと後悔する可能性がある。たしかに、ローン契約時に数十万円から100万円かかる保証料が無料になるといえば、それだけ飛びついてしまいそうだが、おいしい話には必ずウラがあるものだ。

なぜなのか、そのひとつが先に触れたように、金融機関が貸し倒れリスクを避けるために、保証料無料の代わりに住宅ローンの個人に関する審査を厳しくするというケースが多いということだ。と同時に、保証料無料のローンには、ローン契約時にかかる事務手数料が高くなりがちということにも注意が必要だ。

手数料が高い場合がある

この事務手数料が高くなるケースが多いのが、すべての機関において保証料が無料になっているフラット35(買取型)。2019年8月のフラット35(買取型)の金利は、返済期間35年で1.17%だが、この金利で利用できる金融機関のローンでは多くの場合、事務手数料が高くなる。金融機関によると、借入額の1~2%程度とするところが多い。

借入額の2%なら、3000万円のローンだと60万円で、5000万円なら100万円に達する。先の一括外枠方式の保証料とほぼ同じような水準といってだろう。保証料無料とはいっても、この事務手数料が高くなっているので、実質的に保証料がかかるローンとさほど変わらない水準といっていいかもしれない。

手数料が安いフラット35は金利が高い

フラット35(買取型)を取り扱う金融機関のなかには、一般の民間ローンと同様に、事務手数料が3万円台のところもあるが、その場合は、金利が高くなる。金利が低いローンは手数料が高く、金利が低いローンは手数料が高くなるのだ。具体例をあげると、金利1.17%が適用されるローンを提供する金融機関の事務手数料は借入額の1.836%と高い。事務手数料が3万2400円の定額制になっているローンを提供する金融機関は金利が1.39%とやや高くなるといった具合だ。

住宅ローンを選ぶ際には総合的に判断しよう

審査が厳しい

結局のところ、住宅ローンの選択においては「保証料無料」だけに目を向けていると、たいへんな間違いを犯す可能性が高いということだ。「保証料無料」というメリットの裏側には、さまざまなデメリットが隠されている可能性がある。

それを十分に理解した上で申し込まないと、「保証料無料」の住宅ローンによくある厳しい個人審査で、申し込み段階ではねられてしまい、振り出しに戻ってしまうこともあり得る。時間の無駄になるだけではなく、その間に希望していた物件が売れてしまい、チャンスを逃すことにもなりかねない。

当初から、しっかりと「保証料無料」のメリット、デメリットを理解して、総合的に判断するのが安全で確実な住宅ローン計画につながるはずだ。