預貯金や有価証券と違い、土地など不動産の相続財産としての評価額はさまざまな計算を基に算出されます。土地の評価額を把握しなければ相続財産全体の評価額は把握できず、相続税額を知ることができません。今回は相続財産としての土地の評価方法の流れや計算方法についてお伝えします。

土地の評価方法は2種類

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(写真=cdrw/Shutterstock.com)

土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。

路線価方式は、毎年国税庁が公表する「路線価」を基に計算する方法で、道路に接している土地の1平方メートルあたりの標準的な価格が路線価として定められています。市街地や住宅街などの道路には路線価が定められており、路線価に土地の形状などを考慮した各種補正率を掛けた後に、評価する土地の地積(土地の面積)を掛けて評価額を算出します。

倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地を評価する方法で、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価額を算出します。

路線価方式による土地の評価方法とは?

今回は、計算方法がより複雑な「路線価方式」の評価方法についてお伝えします。

土地の地積は地番(一筆[いっぴつ]=土地登記簿における一つの土地を表す単位)ごとに法務局に登記されており、登記簿謄本(登記事項証明書)で確認することができます。ただし相続税の土地の評価は地番ごとに行うのではなく、その土地の利用形態(利用区分)ごとに行います。

主な利用区分には「自用地(自宅など、所有者自身のために利用している土地)」「貸家建付地(賃貸マンションやアパートなど、他人への賃借のために利用している土地)」「貸宅地(他人に貸している土地)」「借地権(他人から借りている土地)」「私道(道路として利用されている土地)」などがあり、それぞれの利用区分ごとに土地の評価を行っていきます。

土地の形状などによって評価額を減額できる

評価を行う際は、まず「自用地」としての評価額の算出を行い、その後利用区分に応じた計算式で最終的な評価額を算出していきます。自用地の評価をする際には評価額を減額できる場合があり、その代表的なものが土地の形状による減額です。間口が極端に狭い場合や奥行が極端に長い場合には補正率に応じて減額ができ、また長方形や正方形と比較して形が「不整形」な土地の場合は評価額を減額できます。このように土地ごとの減額要因を考慮したうえで自用地の評価額を算出します。

利用区分に応じて評価額を減額できる

自宅など、所有者自身で利用している土地については自用地の評価額が相続財産としての評価額となりますが、他の利用形態の土地についてはさらに評価額を減額することができます。代表的なものを3つお伝えします。

・貸家建付地=自用地の評価額-自用地の評価額×借地権割合×借家権割合(およそ30%)×賃貸割合
こちらは、自身の土地に賃貸マンションなどを建て他人に貸しているケースが当てはまります。自己使用の土地と比較して換金性が低くなることから、その分評価額を減額することができます。

・貸宅地=自用地の評価額-自用地の評価額×借地権割合
こちらは、他人に土地を貸し、その土地に他人の建物が建っているケースが当てはまります。貸家建付地と同様、貸宅地も自用地と比較して換金性が低いという観点から評価額の減額を行います。なお、借地権の評価額は「自用地の評価額×借地権割合」となります。

・私道=自用地の評価額×30% または 評価額0
私道は、袋小路など「専ら特定の者の通行の用に供するもの」か、通り抜け道路など「不特定多数の者の通行の用に供されているもの」かによって評価が変わります。前者は自用地の評価額の30%評価、後者は評価額が0となります。

計算方法が複雑になる場合も

上記の通り土地はその利用区分ごとに評価を行い計算していきますが、計算方法が複雑になる場合もあります。例えば一筆に自宅が建っている場合などはその地積を基に計算ができますが、一筆に複数の利用区分がある場合や、複数の筆に複数の利用区分が入り組んでいる場合は、登記されている地積を基に計算することができません。

利用区分が塀やフェンスなどではっきり分かれていれば良いのですが、そうでない場合には利用区分の境界を確認・判断しなければなりません。いずれにしても現地での測量を行うなど、利用区分ごとの地積を求めていく必要があります。

また、賃貸アパートが複数棟並んで建っている場合には、利用区分は同じ「貸家建付地」ですが、土地の評価は1棟ごとに行うので、この場合は実際の利用形態を基に1棟ごとの利用区分を判断し地積を求めていくことになります。

詳細な計算は専門家へ依頼する

このように利用区分の判断が難しい場合や、各種補正率をどのように適用していくかの判断が難しい場合があります。評価の方法によって相続財産全体の評価額に影響することから、複数の土地を所有している場合や異なる利用区分が隣接している場合などは、相続税の土地評価に詳しい専門家の判断を仰ぐ必要があります。(提供:ANA Financial Journal

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