生命保険は人が亡くなった場合に死亡保険金が受取人に支払われるもので、相続との関わりも深くなっています。今回は相続財産としての生命保険の特徴、相続対策としての活用方法や注意点をお伝えします。

他の財産には無い生命保険の特徴

相続税対策,生命保険
(写真=Burdun Iliya/Shutterstock.com)

生命保険には、現金・不動産・有価証券など、他の財産には無い特徴があります。ここでは3つの大きな特徴をお伝えします。

1つ目は、死亡保険金は「受取人固有の財産」となり遺産分割の対象にはならない点です。また原則として「特別受益」(相続人が被相続人から受ける特別な利益)には該当せず、相続財産としての持ち戻し(組み入れて精算する)対象とはならないとなっています。

2つ目は、被保険者(被相続人となる人)の健康状態によって活用できるかが決まる点です。過去に病歴がある場合や現在治療中の病気がある場合などは、生命保険に加入できない場合があります。ただしそのような場合には、健康状態に関わらず職業告知だけで加入ができる「一時払終身保険」を相続対策として活用するケースもあります。

3つ目は、契約形態の違いによって死亡保険金が、相続税・所得税・贈与税の3つの課税対象となる点です。このうち、主に活用されている相続税・所得税の契約形態については後述しますが、どの税の対象となるかによって相続人が負担する税負担の額も変わってきます。

3つの対策に活用できる生命保険

相続対策には大きく「遺産分割」「納税資金準備」「税軽減」の3つの対策が考えられますが、ここではそれぞれの対策について生命保険をどのように活用できるのかをお伝えします。

遺産分割対策

現預金は相続財産として遺産分割の対象となりますが、前述の通り、死亡保険金は受取人固有の財産となります。現金を生命保険に換えることで受取人(相続人)を指定することができ、現金を渡したい人に渡したい額を遺すことができます。

また、特定の相続人が取得する財産が多くなり、他の相続人の「遺留分」を侵害することになる場合には、財産を多く受け取る相続人を死亡保険金の受取人として契約し、受け取った死亡保険金を、遺留分を侵害された相続人へ「代償金」として支払うことも可能です。代償金は相続人自身の財産から支払うことになっていますので、受取人固有の財産として受け取った死亡保険金を代償金に充てることができます。

納税資金準備対策

生命保険の死亡保険金は、多くの契約において契約期間中の保険料支払い総額を上回ることから、現金よりも多くの財産を遺すことができます。現金を生命保険に換えることで、相続時の納税資金を準備することもできます。中小企業のオーナーが生命保険に加入して、在任中に亡くなった場合に死亡保険金を「死亡退職金」として遺族に支払う規定を作成しておくことで、納税資金準備をすることも可能です。

税軽減対策

生命保険の死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があり、限度額の範囲内であれば死亡保険金は相続税の課税対象とはなりません。「一時払終身保険」など、一時払い保険料の額が死亡保険金となる生命保険に加入すれば、非課税限度額と同額の現金を死亡保険金に換えることができます。相続人の数によっては限度額があまり大きくならない場合もありますが、相続税の税率を考慮すれば税軽減額が大きくなるケースもあります。

また生命保険は、契約者(=保険料負担者・被相続人)と被保険者が同一で受取人が相続人の場合には「相続税」の課税対象となりますが、契約者(=保険料負担者・相続人)と受取人が同一で被保険者が被相続人の場合の死亡保険金は「所得税」の課税対象となります。

このことを考慮して、生前に保険料相当額を毎年贈与し、相続人が所得税の対象となる形態で契約する活用方法もあります。死亡保険金を相続税の課税対象として受け取った場合と、毎年の贈与税+所得税の課税対象として受け取った場合とを比較して、税負担が少ない形態で契約をすれば、手元に残る財産も多くなります。

活用する際の注意点は?

前述の通り、死亡保険金は原則受取人固有の財産となりますが、他の相続財産の総額と比較して、特定の相続人が極端に多い額の死亡保険金を受け取るなど、他の相続人と比較してあまりにも不公平となる場合には、「特別受益」に該当し相続財産として持ち戻しの対象となる場合があるので注意が必要です。

また生命保険は一時払いの商品を除き、長期間にわたって保険料を支払うことで契約した死亡保険金を受け取ることができますので、何らかの理由で保険料の支払いができなくなった場合には、当初予定していた死亡保険金が受け取れなくなります。

生前贈与を活用して毎年保険料を贈与する方法についても、相続発生前3年以内の贈与については相続税の課税対象となりますので、贈与開始から短期間で相続が発生した場合には、当初想定していた税効果が得られない場合もあります。

いずれにしても、生命保険を相続対策に活用する場合には、どの対策を優先するかを考えたうえで、他の財産の種類や金額などを考慮しながら検討したほうが賢明と言えます。(提供:ANA Financial Journal

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