休戦と再燃を繰り返す米中貿易戦争。その行方を世界が注目しています。G20の米中首脳会談では一旦は歩み寄りを見せた両者ですが、今後の米中関係はどうなっていくのでしょうか。米中貿易戦争の背景や景気に与える影響、今後の見通しについて解説します。

2018年から始まった米中貿易戦争。実は以前から兆しがあった?

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(画像=(写真=Frederic Legrand - COMEO/Shutterstock.com))

2018年以降、米中貿易戦争がいよいよ本格化しています。G20(金融・世界経済に関する首脳会合2019年6月28〜29日)の会期中に行われた日米首脳会談で一時休戦に合意したものの、その後関係は再び泥沼化しました。各所で米中の今後の行く末が懸念されています。まず、米中貿易戦争の流れをおさらいしてみましょう。

2018年、米中間で追加関税発動

米中貿易戦争は、2018年にアメリカと中国がお互いに追加関税を実施し始めたことによって顕在化しました。しかし、それ以前も2016年ごろから現アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏が選挙活動中に中国との貿易における不均衡を唱えるなど、後の米中貿易戦争につながる動きがみられます。

アメリカ合衆国通商代表ロバート・ライトハイザー氏が中国の貿易のあり方を批判し、中国政府が反論するといった事態もありました。同氏は国の補助金によって自国製品の輸出を促進する中国のあり方を批判しましたが、中国は政府の干渉はないと発表しています。

2018年7月、アメリカが中国製品に対する追加関税措置を実施しました。これを受けて中国が報復としての追加関税を課すことを発表し、米中貿易戦争は本格化しました。

その後もお互い歩み寄りを見せることはあれど、アメリカは追加関税措置の規模を拡大させ、それに応じるように中国も報復を繰り返すという状況が続いています。

2018年末〜2019年、ファーウェイ制裁から一時休戦

ここまで緊迫した状況が続いていましたが、2018年11月にトランプ大統領が習近平国家主席と電話会談を行い、良好な対話ができたと発表しました。また、同年12月に開催されたG20の米中首脳会談で貿易問題が取り上げられ、関税の引き上げは延期されることとなり、一時的な休戦となりました。

ところが2019年に再び事態は悪化し、追加関税措置は結局その後も米中ともに拡大しています。2019年5月にアメリカは中国通信機器大手「ファーウェイ」と関連企業68社への制裁を強化すると発表し、中国はレアアースの輸出管理強化方針を定めました。6月末に再び一時休戦に合意しましたが、その後も油断できない状況が続いています。

米中貿易戦争の背景とは?急成長する中国がアメリカを脅かす

米中貿易戦争の背景には、急成長する中国を危険視するアメリカという構図があります。世界最大の人口を誇る中国は、GDP(国内総生産)においても急成長をみせ、2030年までにはアメリカを抜いて世界最大の経済大国になると予測されています。

このことが、アメリカが中国に対して厳しい態度を見せる要因だとする見方は専門家の間でおおむね共通しています。同時に、中国がアメリカとは異なり社会主義であることも、アメリカが中国を敵視する一因だとする見方もあります。

またトランプ大統領にとって、貿易赤字の解消によって大統領選での公約を実現し、支持率を上昇させたいという思いがあることも否定できないでしょう。とはいえ、関税引き上げ前の駆け込みなどで現在一時的に対中貿易赤字は拡大しています。

今後の予測としては、中国の経済成長が鈍化したタイミングで米中の対立は緩和するのではないかといわれています。一般的に経済成長をし続けることは困難であり、どこかで必ず金融危機に見舞われるなどして成長は鈍化します。そのタイミングが米中関係を変えるきっかけとなるかもしれません。

米中貿易戦争が景気に与える影響は?ベトナムの経済成長を押し上げる?

米中貿易戦争によって、2018年の株式市場は乱高下を繰り返しました。また、政治リスクを懸念する企業が慎重な経営判断を下すため、設備投資などが抑制される可能性もあります。

米中貿易戦争によって日本の製造業が打撃を受けたように、米中貿易戦争は両国の景気だけでなく世界経済に深刻な悪影響を及ぼすでしょう。

一方で、東南アジアにおいては経済成長のチャンスとする見方もあります。アメリカの関税措置を受けて、世界の製造企業が生産拠点を中国から他国へと移す動きを見せているからです。

地理的な近さや人件費の安さから、移動先の候補地として東南アジアが一気に世界の注目を集めました。特に中国と地続きのベトナムは候補地の最有力候補であり、これを受けてベトナム経済のGDP成長率も2018年に過去10年で最大を記録するなど、すでに好影響が出始めています。

米中貿易戦争は世界全体で見ると景気に悪影響を及ぼすことが懸念されますが、一方で成長のチャンスがないわけではありません。慎重に成長分野を見極めながら、政治リスクに配慮した投資判断をすることが大切です。(提供:ANA Financial Journal

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