現在、日本の個人投資家の間では、ベトナムがアジアの投資先ではNo.1の人気を誇っています。もともと安くて若い労働力が豊富にあるので、経済成長が大いに期待されてきました。実際、ベトナムの不動産も株価もどんどん上がっています。

しかし、ベトナムが人気なのは別の驚くべき理由もあるのです。ここでは、実際にベトナムに投資している個人投資家の見方を聞いてみました。

いまはベトナム投資の第二次ブーム

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(写真=David Bokuchava/Shutterstock.com)

ベトナムへの投資は、いまが第二次ブームと言われています。第一次ブームは、2000年代のはじめで、ホーチミンやハノイに証券市場ができ、現地の証券会社や銀行が外国人からの投資を募ったときでした。当時は、日本の個人投資家も続々と現地に証券口座や銀行口座を開きました。当時、サイゴン証券は日本人の投資家向けに「ジャパンデスク」を設けたほどです。

ベトナムは2000年代に入ってから、GDP成長率5%以上がずっと続いています。2018年は7.1%と、過去10年間で最も高い成長率を記録しました。2019年はさらに高い成長率を記録すると予想されています。

これは米中貿易戦争の影響で、中国に拠点を置いていた世界の製造業が、続々とベトナムに拠点を移しているからです。例えば、アップルはワイヤレスイヤホン「AirPods」の生産を中国からベトナムに移管しました。任天堂もゲーム機「Nintendo Switch」の生産の一部を、またアシックスはランニングシューズの生産の一部をベトナムに移管する予定です。つまり、米中貿易戦争はベトナムにとって「追い風」なのです。

そのため、いまは第二次ベトナム投資ブームと言えるのです。2015年に非居住の外国人でも不動産が買えるようになったことも、ブームを加速させました。いまやホーチミンでは、コンドミニアムがプレビルドで続々と売れています。

ベトナム株式投資は大企業が基本

では、ベトナムに投資している個人投資家の見方を紹介しましょう。主にベトナム株に投資しているAさんは、こう言います。

「私はもう10年以上、ベトナム株に投資してきました。いまのベトナムは日本が高度成長期にぐんぐん伸びていったときに似ているので、もっぱらインフラ銘柄を選んで投資してきました。ベトナムにも大企業があります。不動産開発のビングループ(VIC)、幅広くビジネスを展開しているホアファットグループ(HPG)、ベトナムのメガバンクであるベトコムバンク(VCB)などがそうです。どれも好調に推移しています」

「株式投資は、これから伸びる企業を見つける楽しみがあります。しかしベトナムの場合、どの企業もまだ成長していくので、例えば日本経済新聞の『Nikkei Asian Review』が行っている『ASEAN100』企業の中から、ベトナム企業を選ぶのがいいと思います。まだまだ100社のなかでベトナム企業は少ないですが、それでもビナミルク(VNM)、ベトコムバンク(VCB)、ペトロベトナムガス(GAS)などが入っています」

「ベトナムの魅力はなんといっても、若い国だということです。国民の平均年齢は31歳です。高齢社会の日本と大違いで、若い人たちはよく働きます。経済発展しているので、将来に希望がある点も日本と違います」

不動産投資のポイントは高級物件に絞ること

次は、不動産投資をしているBさん。Bさんはタオディエン地区にある高級物件に投資しているといいます。またメトロの開通も、ホーチミンの経済発展に寄与すると期待しています。

「ベトナムで不動産投資を始めたきっかけは、2015年に非居住外国人も不動産が買え、それをレントに回してもいいと知ったからです。もう一つ、100%外資の会社でもベトナムに設立できるようになりました。そこで、それまではタイの物件に投資していたのですが、ベトナムに切り替えました」

「不動産投資は自分の目で見て確かめることが基本です。しかしベトナムでは、物件といってもプレビルドなので実物がありません。そのため、デベロッパーの販売展示場やモデルルームに出向いて確かめました。また、同じ業者がすでに建てた物件も見に行きました。ホーチミンの発展ぶりはすごいので、ともかく投資をと考え、コンドミニアムを2ユニット購入しました」

「買った物件は、ホーチミン市の2区・タオディエンにある物件です。タオディエンはホーチミンでも別格の場所で、ホーチミンのビバリーヒルズと呼ぶ人もいます。日本で言えば田園調布でしょう。ここを選んだのは、経済が発展すると必ずニューリッチが生まれるからです。だから、不動産投資は高級物件に絞るのが基本です」

「一昨年、物件が完成して無事に引き渡され、その後入居者が決まって賃貸契約を結びました。ベトナム人のニューリッチ家族と、オーストラリア人の実業家一家です。キャピタルゲインとともに、インカムゲインも期待できます。ただ気になるのは、この地区を走る予定のホーチミンのメトロ1号線の開通が、当初予定よりも1年遅れて2021年にずれ込んでしまったことです。とはいえ、まだまだホーチミンは発展します」

女性がよく働くのでベトナムに投資する

最後は、株にも不動産にも投資し、ベトナムでビジネスもしているCさん。Cさんは女性の活躍の重要性を指摘します。

「ベトナムに投資している皆さんは、この国が若く成長力があると言います。しかし、それを支えているのは女性です。私はそれを知ってベトナムに投資し、ここでビジネスをしようと思ったのです」

「ベトナムの女性は本当によく働きます。女性がよく働く国は必ず伸びます。ベトナムには上場企業が700社ほどありますが、そのうち30社以上の企業のトップが女性で、女性がトップの企業が時価総額に占める割合は2割にも達しています。それで、私は女性がトップの企業に投資しています。ベトナムには中小企業が山ほどあります。私のところもそうした会社との付き合いが多いのですが、社長が女性という会社がけっこうあるのです」

「ベトナムの女性経営者で最も有名なのは、グエン・ティ・フオン・タオさんです。彼女はまだ49歳と若いのですが、フォーブスの世界女性長者番付(2017年)で、東南アジアで初めてランクインした女性です。彼女はLCCのベトジェットエア(VJC)の創業者の一人です」

ベトナム経済発展のカギは女性の活躍と女性への感謝

「女性がよく働くからベトナムに投資する」この理由に、納得された方も多いと思います。実はベトナムは、労働人口に占める女性労働者の割合が男性と同じです。つまり、ベトナムでは共働きが当たり前で、「寿退社」「専業主婦」などという言葉は存在せず、女性は結婚しても働き続けるのが普通です。

ベトナムのことわざに、「ベトナム女性はライオン、最後はドラゴンになる」というのがあります。ベトナム女性は、本当に強いのです。

ベトナムでは、国が女性の社会進出を後押ししています。祝日のなかに「女性の日」が、年に2回もあります。1回目は3月8日で、この日は「国際婦人デー」。2回目は10月20日で、ベトナム婦人連合会の発足日です。2回目の女性の日は、国を挙げて女性に感謝する行事が行われ、母親、妻、恋人など身近な女性にプレゼントするのが習わしになっています。

ベトナム経済が発展し、アジアNo.1の投資先になったのは、女性の活躍を後押しする制度と風土が整っているためといえるかもしれません。

文・山田順(国際ジャーナリスト)/ANA Financial Journal

(提供:ANA Financial Journal

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