2018年度の税制改正で、所得課税の見直しが行われた。働き方改革をふまえ、様々な形で働く人を応援する観点からの改正となる。具体的には、給与所得控除、基礎控除、公的年金等控除等の改正となり、周知の期間を経て2020年分以後の所得税、2021年度分以後の住民税から適用されることになる。

そもそも給与所得控除、基礎控除とは何か?

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(写真=Pcess609/Shutterstock.com)

会社等に勤務して給与(収入)をもらっている場合、そのまま課税されるわけではない。給与所得者にも個人事業主と同じような必要経費を引くことができ、それが「給与所得控除」である。給与収入から給与所得控除を差し引いた金額(給与所得)からさらに各種の所得控除を差し引き、その金額(課税所得)に応じて税金がかかる仕組みである。

・給与収入-給与所得控除額=給与所得
・給与所得-所得控除(基礎控除など各種)=課税所得

所得控除の種類は14種類あり、代表的なものには、配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除等々がある。そして誰でも適用することができる所得控除が「基礎控除」である。

給与所得控除は10万円ダウン

給与所得控除は、収入金額によって金額が異なるが一律10万円引き下げられる。また、給与所得控除額の上限額が適用される給与等の収入金額が1,000万円超から850万円超となり、その上限額も220万円から195万円に引き下げることになった。給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて以下のとおりとなる。控除額が減るということは、税金が増えるということを意味する。

【現在の給与等の収入金額と給与所得控除額】
・162.5万円以下:65万円
・162.5万円超180万円以下:その収入金額×40%
・180万円超360万円以下:その収入金額×30%+18万円
・360万円超660万円以下:その収入金額×20%+54万円
・660万円超1,000万円以下 その収入金額×10%+120万円
・1,000万円超:220万円

【2020年分以後の給与等の収入金額と給与所得控除額】
・162.5万円以下:55万円
・162.5万円超180万円以下:その収入金額×40%-10万円
・180万円超360万円以下:その収入金額×30%+8万円
・360万円超660万円以下:その収入金額×20%+44万円
・660万円超850万円以下:その収入金額×10%+110万円
・850万円超:195万円

なお、給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除額が195万円に引き下げられるが、子育て等に対して配慮する観点から、23歳未満の扶養親族がいる場合や特別障害者控除の対象である扶養親族等がいる場合は、負担増が生じないよう調整される(所得金額調整控除)。

基礎控除は10万円アップ

基礎控除額は、現在所得にかかわらず一律38万円であるが、改正後は10万円増える。ただし、合計所得金額が2,400万円を超える場合は、その合計所得金額に応じて控除額が次第に減り、合計所得金額が2,500万円を超える場合、基礎控除はゼロとなる。2020年分以後の基礎控除額(所得税)は、合計所得金額に応じて以下の通りとなる。

【2020年分以後の合計所得金額と基礎控除額(所得税)】
・2,400万円以下:48万円
・2,400万円超2,450万円以下:32万円
・2,450万円超2,500万円以下:16万円
・2,500万円超:0円(適用なし)

給与所得控除から基礎控除への振替

給与収入が850万円以下の給与所得者にとっては、給与所得控除が一律10万円減るものの、基礎控除が10万円増えるため、プラスマイナスゼロとなり負担する税金は実質変わらないことになる。財務省によれば96%の給与所得者は、負担増にならないと見込まれている。

一方でフリーランス等は、給与所得控除がないため、基礎控除のアップはその分メリットとなる。ただし、e-TAXによる電子申告を行うなど所定の条件を満たしていない場合、「青色申告特別控除」が現行の65万円から55万円に引き下げられる。65万円をキープできる条件の確認が必要だ。

なお、公的年金等控除についても公的年金等収入が1,000万円を超える場合、控除額に上限が設けられることになった。また、公的年金等収入以外の所得金額が1,000万円を超える場合には、控除額が10万円引き下げられ、同2,000万円を超える場合には、控除額が20万円引き下げられることになる。

上記の改正は、いずれも2020年分以後の所得税、2021年度分以後の住民税より適用される。特に個人の所得税に関わる税制改正は、生活に直結するため、日頃からその内容や適用時期等に注意を払うことが大切である。(提供:確定拠出年金スタートクラブ

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