「そろそろ相続対策を」と考えた時には、何から進めれば良いのかを検討・計画をしていく必要があります。相続税を減らしたいのか、納税資金を準備したいのか、スムーズな財産の移転を目指したいのかなど、いろいろな相続対策があります。今回は、相続対策を考える時の注意点などをお伝えします。

節税ありきで考えていると、思わぬ落とし穴が……

相続対策,注意点
(写真=Burdun Iliya/Shutterstock.com)

相続対策というと節税対策を思い浮かべる場合も多いでしょう。例えば、単に税の軽減だけを考えた場合、配偶者が多くの財産または全ての財産を相続すれば、「配偶者の税額の軽減」によって一時的には相続税の負担が少なく済みます。ただし、配偶者から子などへの相続(二次相続)の場合には税額の軽減はありませんので、2つの相続を考えた場合には相続税の負担が大きく、場合によっては財産の一部を手放すことになるケースもあります。

土地を所有している場合には、賃貸物件を建築して相続税評価額を軽減する方法がありますが、周辺環境や賃貸需要などによっては不向きの場合があり、結果として優良でない財産を次世代に遺すことにもなりかねません。借り入れをして建築をした場合にはその分相続財産の圧縮になりますが、債務も相続させることになりますので、相続税の評価額を下げることだけを考えるのではなく、そもそも賃貸物件の建築に適しているエリアなのかを検討する必要があります。

また節税ありきで対策を進めると、他の対策がうまくいかないケースもあります。例えば不動産によって相続税評価額を下げたとしても、遺産分割の対策が進まず相続時には共有名義にして一時的には良かったとしても、次の相続の際は相続人が増え、所有か売却かなどで揉めるケースも考えられます。

その他、納税資金を遺すことができずに相続人の税負担が大きくなったり、負担できない場合にはその不動産を売却せざるを得ないということも起こり得ます。節税対策も重要ですが、他の対策も併せて考えておくことが必要となります。

相続対策を何もしないと負担が増す可能性もある

相続対策にはさまざまな方策が考えられますが、最初に行うことは「相続財産と相続人の確認」になります。相続財産については、被相続人となる人の預貯金・不動産・有価証券・自社株式・債務など、総額でいくらの財産がどこにあるのかを確認する必要があります。不動産のうち、特に土地については、実際の売買価格などと乖離している場合がありますので、事前に専門家に相談・依頼をしたうえで土地の「相続税評価額」を早めに把握することが必要です。

相続が複雑になるケースもある

相続人については、夫の相続を考える場合に家族が「妻と子だけ」であれば容易に確認できますが、先妻の子がいたり親や兄弟姉妹が相続人になる場合には、それぞれの相続人の「法定相続分」が変わってくるので注意が必要です。

例えば兄弟姉妹が相続人となる場合、そのうちの誰かが亡くなっている場合には、その子(夫にとっては甥や姪)が相続人となり、複数の兄弟姉妹が亡くなっている場合には相続人の人数が思いのほか多くなるケースがあります。このように相続財産の総額と相続人の人数が把握できなければ相続税の総額も把握できず、各相続人が負担する相続税の試算も行えません。

そのうえで遺産分割・納税資金・税軽減といった対策を考える必要がありますが、何もしない場合にはこの3つが原因で相続発生後に相続人に負担がかかることも考えられます。遺産分割の対策をしない場合には相続人間で遺産の分割方法を決めなければなりませんし、相続人が多い場合には話し合いがまとまらないこともあります。

納税資金準備の対策を行わない場合には、相続人自身の財産から負担することになります。資力があれば問題ありませんが、そうでない場合には相続財産を売却して捻出しなくてはなりません。税軽減対策も同様で、結果的に相続人に負担がかかってしまうことが考えられます。

優先順位をつけて考えることが重要

相続対策を考える際には、まずは相続財産と相続人の確認をしたうえで、「遺産分割」「納税資金」「税軽減」のどれを優先して考えるのかを検討する必要があります。この場合にも、一つの対策だけではなく、それぞれの対策を考慮したうえで話を進めることが大切となります。(提供:ANA Financial Journal

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