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(画像=ZUU)

佐野 比呂之(さの・ひろゆき)
佐野比呂之税理士事務所、合同会社パープル・リングス代表。1998年、立教大学経済学部卒業。複数の中小税理士事務所に勤務。2006年、中央大学国際会計研究科修了MBA取得。税理士登録。2007年、税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社(一時期、野村證券へ派遣)、主にオーナー企業向け税務顧問及び事業承継業務、国際相続案件に従事。2011年、野村證券株式会社にて上場・未上場企業オーナー向けプライベートバンキング業務に従事。2014年、佐野比呂之税理士事務所を開所。2015年、合同会社パープル・リングスを設立。税理士、行政書士、1級FP(CFP)、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、証券外務員一種(内部管理責任者)。
金融セールスの中には投資信託の販売を得意とされている方もいらっしゃるかと思います。近年はNISAや積立てNISA、ジュニアNISAなどの制度も手伝って、投資信託の購入に関する専門書籍も書店でよく見かけるようになりました。ただ、どうせなら相続対策もからめた買い方が提案できれば、さらに魅力的ではないでしょうか。そこで今回は、投資信託を購入して行う相続対策についてご紹介したいと思います。
そもそも個人が投資信託を購入した場合の課税は?
個人が投資信託を購入した場合、一般的には20.315%の申告分離課税による所得税課税がされ、また証券会社の特定口座(源泉徴収あり口座)を通じて購入すれば、損失の繰越しや損益通算を行う場合などを除いては確定申告も不要です。所得の増加に応じて税率が逓増していく総合課税の場合や23~35%の税率が適用される法人税に比べて優遇された課税方法になっています。
ただ一方で、法人に課せられる法人税と比べると、損益通算の範囲が他の有価証券との損益とのみ可能であり、不動産を譲渡した場合等の損益とは通算できないこと、また損失の繰り越しも法人税の場合は原則10年可能なのに対し、所得税の場合には3年しか繰り越せません。相続財産の観点では、投資信託は相続時点での時価である基準価額で評価されるので特段、投資信託購入が相続対策につながることもありません。
なんとか投資信託を購入して相続対策ができないか
上記の通り、単に現預金で投資信託を購入したとしても、直接的には相続対策にはなりません。そこで検討したいのが資産管理会社を通じた投資信託購入です。