金融機関や投資情報サイトでは、投資信託についてさまざまな種類のランキングが掲載されています。そのうち最もポピュラーなランキングのひとつが運用成績に関する「騰落率」や「トータルリターン」ですが、多くのランクイン商品にはある特徴が共通しています。

純資産総額に注目する

リターン上位,投資信託,意外な特徴
(写真=Peshkova/Shutterstock.com)

まず整理すると、騰落率は一定期間内の基準価額の値動きを示すもので、トータルリターンは信託報酬や分配金なども含めた総合収益を指すものです。どちらも「投資信託がどれだけ儲かっているか」という指標として参考にされることが多く、値上がり率が大きく関係します。

では、どういった投資信託が値上がり率、ひいては大きなリターンを得ているのか。そのヒントとなるのが純資産総額です。

小規模な投資信託が上位に多くランクイン

純資産総額とは、投資信託の規模を表すものです。株式や債券など組み入れ資産の時価総額に配当金や運用費用などを足し引きしたもので、日々変動しています。人気が出て投資家が投資信託を購入すればその資金流入分増えて、売却すれば減少します。

そしてリターン上位ランキングの投資信託では、純資産総額が比較的小規模な商品がランクインする傾向があります。

2019年7月末時点で公募投信の数は6,151本あり、単純平均で1本あたりの純資産総額は約200億円ほど(一般社団法人投資信託協会データより)。一方で、例えば日本経済新聞の投資信託「値上がり率ランキング」(2019年8月時点、QUICK資産運用研究所提供)によると、上位10位の投資信託の純資産総額は100億円未満が大半で、うち6本は10億円未満となっています。

純資産総額は大きいほどいいとは限らない

なぜ、このような現象が起こるのでしょうか。理由としては、純資産総額が大きく資金が潤沢になると、運用会社の売買が個別銘柄の値動きに大きな影響を与えてしまい、運用が難しくなることが挙げられます。また、資産が増えても市場規模が小さい場合、買える銘柄が限られ魅力のないものまで買わなければならなくなり、運用成績が鈍るといったことも要因です。そのため、純資産総額や総口数に上限や下限を定め、ファンドの規模をコントロールしていることが珍しくありません。

一方で、例えば中小企業の株式に投資する純資産総額の小さい投資信託の場合、下落リスクはあるものの集中投資することにより短期間で大きなリターンを得られます。国内株式型の投資信託の場合、高成長が期待できる中小型の銘柄に厳選投資する銘柄が、リターン上位ランキングに見受けられます。

繰上償還に注意しつつ純資産総額を参考にする

では、純資産総額が小さいほうが機動的に投資できてよいかというと、そうとも言い切れません。純資産総額が小さいと運用に影響があったり、コスト負担の割合が大きくなったりして採算が悪化し、運用会社が信託期間中に投資家にお金を戻す「繰上償還」が行われる場合があります。

繰上償還が行われると、含み損を抱えていた場合もその時点で損失が確定されます。また利益が出ていた場合、その利益は他に損失がなければ課税対象となってしまいます。なお、繰上償還の条件は投資信託の商品ページなどで閲覧できる交付目論見書内に、「受益権の口数が○○億口を下ることとなった場合」などと記載されています。

リターン上位ランキングは純資産総額の「小ささ」にも着目して、繰上償還のリスクを検討しましょう。明確な基準があるわけではありませんが、10億円をひとつの目安として、過去の純資産総額の推移をチェックし流出が続いていないかは最低限チェックしておきましょう。(提供:ANA Financial Journal

【おすすめ記事 ANA Financial Journal】
年収1,000万の生活は思ったより地味?年収2,000万円の壁とは
50代男性が始めておきたい、素敵な休日を過ごすための趣味5選
独身・年収1,000万円、資産もそこそこ。「お金の悩みは無い」人が考えるべきこと
貯まったマイルでできること。非日常を体験するANAマイルの使い方
スキル3つで新しい価値を創造!100万分の1の人材になる方法