モトリーフール米国本社、2019年10月15日投稿記事より

今後の配当に期待できる米医薬品株として、ファイザー、メルク、イーライリリーを挙げることができます。

3社の現在の配当利回りは業界内では最も高くはありませんが、新薬や既存薬の拡大などで、競合よりも増配幅が大きくなる可能性があります。

配当を重視するポートフォリオにおいて、どの銘柄が優れているかを見ます。

医薬品
(画像=Getty Images)
今後の配当が期待される米医薬品株3選:ファイザー、メルク、イーライリリー
(画像=出典:YAHOO! FINANCE。2019年10月15日時点)

ファイザー:大型M&Aを推進

今年1月1日にファイザーCEOに就任したアルベート・ブーラは、就任時の表明通りファイザーのリストラを進めました。

夏には、同社の消費者向け医薬品部門を切り離し、英国のグラクソ・スミスクラインの一般医薬品部門と統合させ、合弁会社を設立しました。

最近では、特許切れ医薬品事業部門のアップジョンを分離して、ジェネリック(後発医薬品)大手のマイランとの統合で合意しました。

ファイザーの競合であるアッヴィやブリストル・マイヤーズスクイブも大型買収を進めようとしていますが、ファイザーの買収は慎重でかつ巨額資金を伴うものです。

最近の110億ドル(約1兆2000億円)におよぶアレイ・バイオファーマ(がん治療薬のバイオ医薬品企業)の買収は、ファイザーにとって最大規模の買収です。

アレイは悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬を持っており、大腸がんの治療薬としての利用も見込まれています。

ファイザーは、過去1年間に118億ドルものフリーキャッシュフローを創出し、その68%を配当に充てました。

配当性向は63%とかなり高くなっていますが、新薬などでの利益成長でさらなる増配が可能とみられます。

メルク:世界売上ナンバーワンとなる薬を保有

市場調査会社グローバルデータの最新予想によれば、メルクのがん免疫療法薬Keytrudaは、2025年には世界で最も売上が大きい薬になるとみられます。

これは、既に肺がん治療薬ではありますが、他の多くの分野のがん治療でもFDA(米食品医薬品局)に申請し適用拡大を目指しています。

市場投入から5年が過ぎ、Keytrudaの成長ストーリーは終わりを迎えたとの見方もありますが、実際にはその成長ストーリーは第2章に入ったようです。

Keytrudaに関して現在、1000件以上の臨床試験が行われており、多くの企業がメルクのKeytrudaと組み合わせて自社の新薬開発を進めています。

メルクは過去1年間に78億ドルのフリーキャッシュフローを創出してきましたが、まもなく100億ドルの大台に乗る可能性があります。

Keytrudaの現在の年率換算売上は104億ドルで、用途が拡大すれば2025年までに225億ドルに達する見込みです。

メルクの現在の配当利回りは2.6%で大きくはありませんが、Keytrudaの成長により大幅な増配余地が出てくるでしょう。

イーライリリー:買収戦略で成長加速

イーライリリーは、今年初めにバイオ医薬品企業ロクソ・オンコロジーを80億ドルで買収し、新たながん治療薬Selpercatinibを手に入れました。

これは、イーライリリーにとって過去最大規模の買収となりました。

そして9月の同社発表によれば、Selpercatinibは、極めて珍しい遺伝子変異を伴う肺がん患者を対象とした試験で極めて良い結果を出しました。

同治療薬により、初めて発病した患者の85%、再発患者の68%で腫瘍が縮小しました。

また、肺がんは中枢神経を通じて転移するため、転移を防ぐことが極めて困難ですが、脳に腫瘍が転移した患者へのSelpercatinibの投与により91%の確率で腫瘍が縮小しました。

イーライリリーは、年末までにはFDAにSelpercatinibの新薬申請を行う予定です。

なお、同社は年間売上が約100億ドル規模の8つの薬があり、さらに今後5年間には同様に有望な新薬が投入される見込みです。

また、幾つかの既存薬適用拡大でFDAのフェーズ3の承認を最近得たため、増収要因となります。

イーライリリーの現在の配当利回りは2.4%と低めですが、新製品ラインナップが拡大しているので、今後の増配に大いに期待ができるとの見方があります。

結論

上述の3社の中では、今後数年については、ファイザーが最も高い配当成長を期待できます。

ファイザーの株価は今後大きく反発する可能性がありますが、既に配当が大きいため長期的にもその恩恵を引き続き享受できるでしょう。(提供: The Motley Fool Japan


元記事の筆者Cory Renauerは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール社は、マイラン株を推奨しています。