(本記事は、木内清章氏の著書、金融機関担当者のための やさしくわかる民法〈債権法・相続法〉改正株式会社近代セールス社、2019年10月刊の中から一部を抜粋・編集しています)

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A社から債権を譲渡されたのならA社と結んだ取り決めも引き継いで!

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譲渡制限の意思表示をしていたら、譲渡は無効か!?

ここでは債権譲渡を取り上げます。例えば、近代銀行が私に貸し付けた住宅ローン債権を、グループ会社の近代住宅保証㈱に売却してしまう……というのは、よくある話です。私(債務者)としては、相手が誰であろうと借りたお金を返していけばいいわけで、基本的に文句はないはずですが、もし仮に契約段階で、近代銀行と私の間で「譲渡制限の意思表示*」がされていたにも関わらず、譲渡されてしまったらどうなるでしょうか?

私は翌月からの返済を拒めるでしょうか?
*ちなみに改正前は、「譲渡禁止特約」という表現でした

答えはNOです。このことが466条2項に「債権の譲渡は、その効力を妨げられない」と明記されています。もっとも、この例でいえば、近代住宅保証㈱に重大な落ち度があって譲渡制限の存在に気づかなかった……というときには、私は「近代住宅保証㈱への返済ではなく、引き続き近代銀行に返済します!」という主張が通ります。これが466条3項です(当たり前の話ですが、誰にも返済しなくてよくなる、ということはありません)。

また、もし近代住宅保証㈱が譲渡禁止を知っていたり(悪意)、落ち度があったり(重過失)したときには、近代住宅保証㈱に差押えをかけたファイナンス会社があったとしても、私はやはり「あなた方には払いません、今までどおり近代銀行に返済しますから!」と言えます。このことは、466条の4に定めてあります。

ところで、事例を変えて、私が商売がうまくいっていない工務店を経営していたとします。私は、建売住宅の建築代金1,000万円を来月施主さん(債務者)から受け取ることになっているのですが、一方で私は消費者ローン会社から借金をしており、こっちのほうはずっと前から延滞したままだったとします。すると業を煮やした消費者ローン会社は、建築代金1,000万円という債権に対して、差押えをかけてくるわけです。当然、施主さんと私の間では「譲渡制限の意思表示」があるのですが、この差押えは有効になるでしょうか?