様々な場面で活用される帝国データバンクの「信用調査報告書」。このデータにまつわる疑問に迫る帝国データバンクの北野信高氏へのインタビュー。第3回は信用調査報告書の情報をどのように生かしていくか、について聞いた。
平成12年、帝国データバンク入社。内勤を経て、調査部門で延べ2000社の信用調査業務を行う。本社営業推進部に異動後、金融機関をはじめとする大口顧客の課題解決サポートを主な活動とする。
報告書の使い方も会社それぞれに個性がある

――貴社の顧客企業は、信用調査書をどのように活用しているのでしょうか?
信用調査は「攻め」にも「守り」にも使うことができると考えているのですが、どちらで使うのか使用法は変わってきます。
「攻め」、つまり営業やM&Aなど大きな額のディールを行うのに使用するというのであれば、信用調査報告書の情報は大きな武器になりえます。
一方、「守り」つまり与信や債権管理に使うのであれば、調査対象の会社はもちろんですが、その企業の売り上げの80%が1社で占められているということなら、その取引先の会社の動向も押さえておく必要があるでしょう。
営業に使っている企業の事例で一つ面白い事例をあげましょう。
たとえば、調査の概要が書かれた紙1枚のレポートを見て、その情報を基に営業担当者を割り振るとします。その企業をA君に担当してもらうか、B君が担当するかを決めるわけですが、あなたならどうやって決めますか?
――そうですね。社長と同じ大学や出身地といった共通項を探して割り振ると思います。
確かに、そういう会社は多いと思います。しかし、私の知っているある会社は営業先の企業の社長と同じ干支の人間に担当させていました。
それが、正しいかどうかは別ですが、大学は全国に700以上あります。都道府県にしても47あるので、出身地が同じ確率は47分の1です。その企業の方が言うには「干支であれば12分の1だから、合う可能性が高い」と言うことで、そうした使い方をしているそうです。
――なるほど。
ほかには社長の自宅の住所を見て、ストリートビューで自宅を確認するという営業の方もいます。実際の住まいか、商業登記簿上の住所かで違うとは思いますが、ストリートビューで社長の自宅を見て、「車庫の車がアウディだったら、成約度が高い」などと言っている方もいました。