2019年9月に日銀が発表した資金循環統計によると、日本の個人金融資産は1,860兆円に達し、そのうち8割以上が「安全資産」と呼ばれる預貯金・保険で運用されています。

これら安全資産の利回りは、日銀の超低金利政策の影響もあり、0.1%を下回る水準で低迷しています。ほとんど金利がつかないのにそれでも平気なのは、日本がデフレ社会だからです。

ではデフレは、この先も続くのでしょうか。もし日本がインフレ社会に変貌したとき、わたしたちの資産運用はどうあるべきなのでしょうか。

かつて日本はインフレ社会だった

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(写真=Montri Thipsorn/Shutterstock.com)

20年前を100とした場合に2018年のCPI(消費者物価指数)は101.2です。つまり、過去20年間で物価はほとんど変わっていないのです。そのため、20代・30代の層には「物価が上がる世の中」に実感がわかないかもしれません。

2013年に黒田総裁が就任して以来、日銀は物価上昇率2%をめざして異次元の金融政策を推し進めてきましたが、結果は芳しくありません。各年の上昇率は1%以下、2014年だけは2%を超えましたが、これは消費増税(5→8%)の影響です。

一方、日本は昔からデフレ社会だったわけではありません。昭和40年代の平均物価上昇率は9.11%、年によっては2割を超えました。昭和40年を100とすると、昭和50年のCPIは226.3ですから、2倍以上にはね上がった計算です。

少子高齢化がインフレを招く

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(写真=richardjohnson/Shutterstock.com)

デフレ現象は、今が特別なのかもしれません。状況が変わってくれば、将来インフレが再燃してもおかしくないのです。引き金を引くのが、少子高齢化です。

アルゼンチン(34.28%)やトルコ(16.33%)など、物価上昇率が10%を超える国は、世界で20あります。

一方、アルゼンチンの政府債務残高が対GDP比86%で世界ランキング30位です。一般的に、政府の借金が多いとインフレが起きるとされています。日本の場合、政府債務残高の対GDP比は237%で世界1位です。

それでもインフレが起きないのは、家計部門が大幅に黒字(1,500兆円)だからで、政府の赤字700兆円を充分カバーしています。

影響は海外資産保有残高1,000兆円にも表れており、これだけの厚みがあれば、当面は盤石そうです。

ただし少子高齢化の進行で貯蓄に励む世代が減り、高齢者が老後生活のために預貯金を取り崩し始めると、前提が崩れてきます。インフレリスクは決して低くないのです。

デフレで生じた、海外との価格ギャップもインフレリスクです。日本の物価は割安で、訪日観光客が押し寄せる一因とされています。欧米では10ドル以下でまともなランチは食べられませんが、新橋のオフィス街ならワンコインで満足です。ビッグマックに至っては、ソウルやバンコクの方が安いぐらいです。

このような価格は人手不足などが続けばいずれは値上げせざるを得ず、ギャップはやがて解消されるでしょう。

高インフレ社会で預貯金は目減りする

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(写真=C. Fish Images/Shutterstock.com)

昭和40年代の高インフレ下で、何に投資した人が一番得していたのでしょうか。

この時期の郵便貯金金利(1年満期)は5%から7%、現在と比べると破格の高金利ですが、当時の物価上昇率を下回っていました。つまり預貯金で運用していたら目減りする時代だったのです。

この間に、住宅地の地価は13.2から49.0と4倍近く上昇しています。田中角栄首相の「日本列島改造論」による開発ブームや過剰流動性の追い風に乗った格好です。

実はこの時以前の地価高騰はもっとすさまじく、住宅地の地価は30年代に10倍値上がりしています(この間の物価上昇は約5割)。

株価も大きく上昇、日経平均は1,417円から4,358円と約3倍です。

もちろん、若年人口が爆発的に増加し高度成長を続けていた当時と、少子高齢化・低成長社会の現在を同一視することはできません。それでも、インフレ時代の資産防衛策を考える上でのヒントにはなるはずです。

預貯金からリスク資産へのシフトにより目減りを防ぎつつ、株式なら業種・銘柄、不動産ならエリア・ターゲット層を絞る、そんな「新しい時代の資産運用」を考えていきましょう。(提供:Braight Lab

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