韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を表明し、日韓関係は悪化の一途を辿っています。韓国は日本にとっては有力な貿易国であり、関係悪化による影響は計り知れません。日本株では、どのような業種や銘柄が影響を受けるのでしょうか。

GSOMIA破棄で軍事的緊張が高まるか

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(画像=Poring Studio/Shutterstock.com)

経済産業省は、2019年8月28日より安全保障上の輸出管理で優遇する「ホワイト国」から韓国を除外する政令を施行しました。韓国は、輸出優遇対象国のランクがグループAからグループBに降格になったことで反発を強めています。その報復措置としてGSOMIA(ジーソミア)の破棄を決定しました。このことで、今後軍事的緊張が高まるのでしょうか。

日本にとっての大きな脅威に北朝鮮のミサイル問題がありますが、GSOMIA(ジーソミア)の破棄により、日本は韓国から北朝鮮のミサイル発射の兆候や発射直後のレーダー情報を直接得ることができなくなります。米国を介せば情報を得られるものの、これまで強固だった日米韓の同盟関係に亀裂が生じ、軍事的に大きなマイナスになることは間違いないでしょう。中国や北朝鮮、ロシアにとっては、米国に軍事的な弱点ができることは好都合です。米国は、同盟国の日本や韓国に対しては中立の立場を取っているため、仲裁に入るにしても限界があります。

日韓それぞれが受ける影響は?

この対立は経済的に見て、両国にどのような影響を与えるのでしょうか。

韓国への影響

半導体王国の韓国にとっては、ホワイト国から脱落し、半導体部品の輸入に支障が出ることは大きな打撃です。サムスン電子やLG電子、SKハイニクスの半導体大手は部品の供給がストップすれば製造が滞る恐れがあります。

代替部品を使う手もありますが、品質が落ち、競争力が低下する可能性もあります。単に輸出が減るのと製造ができないのとでは影響のレベルがまったく違います。その意味では、韓国のほうがより大きな影響を受けると言えるでしょう。

日本への影響

韓国内では日本製品の不買運動が起きています。韓国からの訪日観光客も減っており、好調だったインバウンド需要にも悪影響を及ぼしそうです。一方、「大きな影響はない」という回答が7割を超えるアンケート結果もあります。

直接影響を受ける日本株は何か

では、日韓関係の悪化で影響を受ける日本株には、どのような銘柄があるでしょうか。

まず、ストレートに影響を受けるのは、半導体材料関連銘柄でしょう。すでに半導体材料3品目(半導体レジスト、フッ化水素、フッ化ポリイミド)の対韓国輸出管理は7月から厳格化されています。半導体材料関連銘柄の中では、フッ化水素でステラケミファ、半導体レジストでJSR、東京応化工業が韓国への輸出比率が高く、輸出規制で打撃を受ける可能性が高いです。

また、韓国の訪日観光客数は中国に次いで2番目に多いことから、大幅に減るようなことがあれば日本航空や全日空などの航空株や、ホテル・旅行関連株、小売り・外食株などにも影響が出そうです。

カルビーも韓国での展開を強化していただけに、日本製品不買運動で影響を受けそうです。

米中とのダブルショックで株式市場は厳しい状況

ところで、日韓状況と同時にもう一つの懸念材料である米国と中国の対立も報復関税の応酬が続いており、未だ出口が見えない状況です。輸出規模の違いから米国優位の情勢は変わらないものの、中国も簡単に折れては国家の威信に関わるため、一歩も引かない構えです。

ニューヨーク株式市場も、「いずれ解決に向かう」との楽観論で上昇、対立が深まるとの報道を受けて急落を繰り返しており、一本調子の上昇は見込めない状況です。東京株式市場も依然としてニューヨーク市場への依存から抜け出せない中、韓国との対立が加わって、ダブルショックを受けている状況です。

これらの地政学リスクに投資家も警戒を強めており、REIT(不動産投資信託)や金(ゴールド)といった現物資産や不動産関連商品に資金をシフトし始めています。堅調なREITと金、低迷する株式市場。この状況から脱却するために、米中と日韓、2つの対立が解決に向かうことを市場関係者は願うばかりです。(提供:アセットONLINE


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