こんにちは、まだまだ寒さが激しい頃ですね(本稿執筆時2014年2月です。先日は大雪がありました)。この時期は確定申告が近くなってきており、各種資産を保有されている方は確定申告の手続きが必要となる頃だと思います。

申告が近くなっているこの時期、税理士さんから保有資産について尋ねられることも多いと思います。保有資産は何も日本には限らず、海外に資産をお持ちの方も多いと思われます。そこで今回は海外資産の相続税・贈与税の取り扱いを見ていきたいと思います。


海外の資産には税金がかからないはもはや嘘

一時、海外に資産を保有されることで「タックスヘイブン」の効果を期待することが流行しました。現在でも「タックスヘイブン」を期待して海外に資産を保有されることを期待される方はおられるようです。しかし、そもそもの誤解として、タックスヘイブンは海外に実態として居住していないと認められません。

アメリカに不動産を所有しながらも日本に居住されていれば税金は発生します。また、海外に資産を保有することで、事実上、国税当局に「バレない」ということを期待し、事実上の脱税を企図する方も少なからずおられたかもしれません。

しかし、法的には国際租税条約に基づいて日本の税務当局は世界中の資産を調べることができます。特に、インターネット環境の整備は海外資産の調査を容易にしています。さらに、日本に居住の方が(脱税的な意図をもち)海外で出生した孫(国籍はアメリカなど)に資産を贈与して租税を回避するという事案が多発したため、平成25年4月以降は、海外に居住している外国人の方への贈与・相続も課税対象となりました。

(参考)

「日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産を、相続税又は贈与税の課税対象に加える。(平成24年度税制改正大綱)」

このように海外資産への課税がされるようになったのは、一部の税理士さん、コンサルタントなどによる脱税的なアドバイスがあったこと大きく影響しており、専門家としての倫理も問題であるが、納税者としては海外に財産を持つことにより税金を回避できるという発想を「過去のもの」という認識を持つことがまずは大切と言えます。
つまり、海外の資産に対しても日本に居住されている限りは相続税・贈与税が課税がされることになります。


国外財産調書の提出義務の新設について

とはいえ、実際問題として国税当局も海外保有の資産を完全に把握することは容易ではありません。例えば、海外で贈与契約があってもその契約の事実を税務当局が知ることは不可能です。そこで、平成25年の確定申告から導入されたのが「国外財産調書」の制度です。これは、端的に言えば、国外へ持ち出した財産の明細書を作成して確定申告の際に添付するように求める制度です。

いくら租税条約やインターネットなどが発達したとしても、海外の魅力的な金融資産・不動産に対する投資が増えている中で、税務当局自らが海外の日本資産を調査することは出来なくなっています。

そこで、確定申告の際に海外資産の自己申告を求めたのが国外財産調書の制度です。これにより自己申告によって海外に資産を持っていても税務当局が把握することとなるので、相続税の算定基礎財産(遺産)として海外保有の財産が把握されることになります。

提出義務の対象は5000万円以上の海外資産を保有しておられる方となっています。国外資産調書の不提出・虚偽記載の場合には刑罰として最悪の場合、懲役があり得ます。これらのことから海外資産についても税務当局が把握していることを念頭に置いて(むしろ海外資産を保有できるほどの資産がある方こそ税務署は「狙っている」とさえ言えるでしょう)相続税の対策が必要となります。

海外資産をお持ちの方は早めに海外資産も含めた相続税対策ができる税理士を探されることが大切と言えます。