近年、急成長しているEC市場。

その中でも、BtoB・BtoCといった既存の取引形態だけでなく、D2Cという新しいビジネスモデルが増えています。

この記事では、D2Cとはどのようなビジネスモデルなのか、注目企業とあわせて解説します。

D2C
(画像=Getty Images)

D2C(Direct-to-Consumer)とは

D2Cはオンライン専業かつ直販の事業形態で、ファッションや食品・雑貨など分野は多岐に渡ります。

米国では数年前からD2Cが活況で、ユニコーン企業(企業の評価額10億ドル以上の未上場企業)も複数でています。

BtoB、BtoCとD2Cとの違い

既存の取引形態であるBtoB・BtoCと、D2Cとの違いはどのような点でしょうか。

BtoBとは、「Business to Business」の略で、企業間取引のこと。法人向けのシステムや設備を作っている企業が該当します。

またBtoCとは、Business to Consumerの略で、企業と消費者の取引のこと。家電販売やスーパーマーケット、飲食業などが該当します。

一方、D2CとはDirect to Consumerの略で、消費者に直接販売する形態のビジネス。自社ブランドを自社で販売するモデルです。

D2Cのメリット

D2Cのメリットは「高品質」と「低価格」です。

メリット1:高品質

D2Cは、動画やSNSを活用してユーザーと直接繋がり、ユーザーの声を収集して製品の開発に反映しています。

ひと昔前までは、テレビや新聞などによるマス広告が主流でしたが、現在はSNSや動画などによって、特定層に向けた商品のブランディング作りが大切だからです。

また、D2Cなら限られた商品でもスタートでき、特定層からの支持獲得を目指すので、低リスクで始められ、ブランドイメージのコントロールが容易です。

メリット2:低価格

通常の小売モデルのように、店舗や仲介業者のような流通チャンネルがないため、低コストで販売できます。

米国では、オンラインでスタートしたD2Cブランドが、実店舗を抱えるケースが増えています。

軌道に乗ったD2C企業の次の一手は、店舗などオフライン強化による顧客層の拡大なのです。

その結果、2017年には、米ラルフローレンがニューヨークの旗艦店を閉鎖。

2019年9月には米フォーエバー21が破産申請をするなど、既存のブランドビジネスは苦境にたたされています。

D2Cのデメリット

D2Cは、規模の急拡大が難しい、自社で製造や販売などすべて行うための投資が必要な点がデメリットです。

しかし、商品が人気化するとSNSの口コミを利用することによって一気に知名度が上がるので、最初はリアル店舗がなくても、ある程度までは規模を拡大することが可能です。

米国でのD2Cブランドの動向

米国では数年前より多くのD2Cブランドが誕生し、既存大手が無視できない存在になりました。

既存の大手企業やプラットフォーマ(基盤)にも影響を与えるなど、米国の小売業界に様々な変革をもたらしています。

そこで、既存の米大手企業は、以下のような買収や提携によりD2C領域へ進出しています。

  • ウォルマートがD2Cブランドの先駆けともいわれるメンズアパレル「Bonobos」を3億1000万ドルで買収
  • P&Gが生理用品のD2Cブランドの「ディス・イズ・エル」を1億ドルで買収
  • ユニリーバがひげそりの「ダラー・シェイブ・クラブ」を10億ドルで買収

日本の動向

日本でも新興のD2Cが出始めていますが、売上が3億円未満と小規模の企業がほとんどです。

今後、国内市場において重要になるポイントは、以下の3つです。

  • 自社店舗の拡大や流通企業との提携など顧客体験の場の拡大
  • 特定分野のブランドの確立
  • 自立した自社サイトの運営

海外のD2C成功企業

それでは、海外の代表的なD2C企業を見ていきましょう。

Warby Parker(ワービーパーカー)

D2Cとは?米国市場の動向を踏まえながら今後のポイントを解説
(画像=出典:ワービーパーカー)

ワ―ビーパーカーは、ニューヨーク発のアイウェア(メガネ・サングラス)ブランド。

D2Cの先駆者として、小売業にイノベーションをもたらしたプランドといわれ、10億ドル以上の企業価値を持つ「ユニコーン企業」です。

ワ―ビーパーカーは、製造と販売の間の中間業者を排除。自社でデザインや製造を行うことにより、低コストで品質の良い商品を販売することを実現しました。

D2Cという革新的なビジネスモデルと圧倒的な低コストが評価され、2015年には米国ビジネス誌Fast Companyで、「世界で最もイノベーティブ(革新的)な会社」に選ばれました。

EVERLANE(エバーレーン)

D2Cとは?米国市場の動向を踏まえながら今後のポイントを解説
(画像=出典:エバーレーン)

エバーレーンは、米国サンフランシスコを拠点とするブランドです。

店舗を一切持たずにインターネット通販だけで展開。

アンジェリーナ・ジョリーやジェシカ・アルバなど世界中のセレブから注目されています。

リーズナブルな価格が魅力ですが、米国のサイトでは販売価格だけでなく、人件費や材料費、送料などのコストも公開し、ビジネスモデルの透明化を図っています。

Casper(キャスパー)

D2Cとは?米国市場の動向を踏まえながら今後のポイントを解説
(画像=出典:キャスパー)

キャスパーが提供するのは、高品質なマットレスを中心とした寝具。

D2Cの走りで、2014年に事業を開始。設立当初には185万ドルの資金調達をしました。

寝具を買うには、ショールームに足を運ばなければいけません。

しかし、短時間の確認では自分に合うマットレスを見つけるのは困難です。

そこで、キャスパーは購入後100日以内であれば、無条件で返品できるサービスをオンラインで開始。

この方法が好評で、創業から2年で売上は100億円に達したのです。

まとめ

消費者に対して商品を直接販売する「D2Cブランド」が、米国中心に数年前から活況です。

企業としての評価額が10億ドル以上のユニコーン企業も誕生し、既存の小売大手にとって脅威的な存在になっています。

日本でも小規模ながら、新興D2Cが出始めています。

まだ一般的ではありませんが、「自分たちに必要なものを必要な分だけ買う」という傾向が強まっているので、日本でも裾野は広がっていくと考えられます。(提供: The Motley Fool Japan


記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。