「オールウェザー・ポートフォリオ」とは、レイ・ダリオが提唱する投資手法です。

レイ・ダリオは、世界最大規模のヘッジファンドである「ブリッジウォーター」の創業者。

ヘッジファンドは通常の投資信託と異なり、どんなマーケット環境でも利益をだすことを目指します。

オールウェザー・ポートフォリオ
(画像=Getty Images)

しかし、レイ・ダリオは、伝統的なポートフォリオ運用では不況の時に大きな損失がでることを知っていました。

そのため、「どんな環境でも高い実績を上げられる資産配分はないか」と探し始めました。

そこで、マーケット環境を1925年までさかのぼり、どんな環境でも高い実績を上げられるポートフォリオ(資産の組み合わせ)を完成。

1996年に低投資額1億ドルの条件を満たす顧客に対して、「オールウェザーファンド」の提供を始めたのです。

他の投資信託やヘッジファンドの多くは、2008年のリーマンショック時に保守的なポートフォリオを組んでいても、大幅な資産価値の減少となりました。

しかし、レイ・ダリオは2008年のリーマンショック時でも利益をだしたのです。

レイ・ダリオは、「想定外の事態に備える」という信念を持っています。

これまで多くの経済危機が起こってきましたが、レイ・ダリオは「次の経済危機は来るのかどうか」ではなく、「襲来時期はいつか」と常に考えているのです。

資産価格変動の4つの季節

レイ・ダリオは、資産価格の変動を4つの経済の季節に分類しています。

インフレの季節

  • 想定インフレ率より高い
  • 対応商品 商品取引・金・TIPS(米国物価連動国債)

デフレの季節

  • 想定インフレ率より低い
  • 対応商品 長期米国債・株式

経済成長の季節

  • 想定成長より高い
  • 対応商品 株式・社債・商品取引・金

経済停滞の季節

  • 想定成長より低い
  • 対応商品 長期米国債・TIPS(米国物価連動国債)

自然の季節とは違い、経済の季節が訪れる順番は決まっていませんが、季節にあった金融商品は必ず値上がりします。

ただし、どんな商品にも暴落はあり、それを避けることはできません。

経済の季節は4つしかないので、各季節に適した資産を25%ずつ投資してリスクを分散するのです。

そして、レイ・ダリオはこのアプローチを「オールウェザー・ポートフォリオ」と名付けました。

4つの季節のうち、次にどれが訪れるかはわかりません。

しかし、オールウェザー・ポートフォリオを使えば、どの季節がきてもポートフォリオは守られます。

リスクを同量に分けて、どんな経済の季節が来ても利益のでる組み合わせ(ポートフォリオ)を構築するのです。

オール・シーズンズ戦略

レイ・ダリオがオールウェザー・ポートフォリオで対象にしているのは、最低初期投資額1億ドル、投資可能額50億ドル以上の機関投資家。

しかし、資金が少ない個人投資家でも可能な戦略が「オール・シーズンズ戦略」です。

オール・シーズンズ戦略は、「レイ・ダリオの黄金のポートフォリオ」とも呼ばれています。

具体的なポートフォリオは以下の通りです。

  • 株式:30%
  • 中期米国債(7~10年満期):15%
  • 長期米国債(20~25年満期):40%
  • 金:5%
  • 商品取引:5%

債券の比率が55%で株式の比率が30%なので、保守的なポートフォリオに見えます。

しかし、株式の価格変動リスクは債券の3倍あるので、リスクは均等になっています。

さらに、長期国債の比率を高めることで、利回りを高める効果があります。

ただし、ポートフォリオの配分比率を守るために、年に1度はリバランス(資産の再調整)をする必要があります。

金と商品先物はインフレの時に価格が上がりやすい金融商品です。

両方ともボラティリティ(値動き)は大きいものの、インフレ加速時に下落しやすい株式や債券のリスク軽減に役立ちます。

オール・シーズンズ戦略なら、リーマンショックのような金融危機で株式が大きく値下がりしても、債券や金の値上がり益によって損失をカバーし、利益をだせる可能性もあるのです。

つまり、株式のようにリスクの高い金融商品も、別の値動きをする金融商品を組み合わせることで、リスクを下げることができます。

これは通常のポートフォリオ理論と同じ考えですが、オールウェザー・ポートフォリオやオール・シーズンズ戦略は、経済環境がどのようになっても利益をだせるよう考えられているのです。

たとえば、経済が下降している時期には米国債が、インフレが進んでいる時期には商品や金・物価連動国債が上昇します。

株式のパフォーマンスが優れない時期でも、資産を守りながら育てることができるのです。

まとめ

レイ・ダリオの「オールウェザー・ポートフォリオ」、「オール・シーズンズ戦略」は、どの経済の季節でも利益を目指すので、幅広い金融商品に分散投資します。

時期によっては、株式のインデックスファンドに投資しておいた方がいい時期もあるでしょう。

しかし、どんな環境でも大きな損失をださずに着実な利益を目指す投資家には、レイ・ダリオの考え方は参考になるのではないでしょうか。(提供: The Motley Fool Japan


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